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春なのに(短歌2)

 今年は3月1日から15日間の入院生活。3月3日に出た「ひな祭りメニュー」の夕食に涙がこぼれました。春なのに入院生活。退院すると季節が変わっていいました。そんな生活の間に詠んだ駄作を紹介しています。

 私の祖母は東北の出身で、頭のいい人でした。私には、優しい祖母で、私は祖母の家に時々連れて行ってもらって、人形の洋服を作ってもらうのが好きでした。器用な人でしたが、決して幸福な人生ではありませんでした。そんな祖母が残してくれた人生の教えを最近見つけました。祖母は、癌になり当時の医療の限界で、六か月後に亡くなりました。その闘病中に残した「人生の教訓の詩」は心に響きました。祖母は64歳で亡くなりました。私は祖母の年を超えているのに、その域には達していません。

   半世紀前亡くなりし祖母が書く言葉に涙生きる力得て

 入院中は、「病棟から出ないように」というお知らせがあったりして、余計に閉じ込められたような気になりました。窓から見えた三日月をとてもうれしく思いました。家のベランダから毎夜空を眺めてあれこれ考えるのが好きな私に、限られた空間から見えたお月様でした

  退屈な病室の窓の三日月に見つけた嬉しさ手を合わせ

 今の大きな病院では、電気カルテが普及しているようです。看護師さんが、すごい勢いで病状や血圧・体温などをキーボードに打ち込む音を聞くと、本当に医療現場も変わってきているのだと実感します。そして、患者さんに関わる方たちがチームとなって、治療にあたってくださっているのだと思うと嬉しくもありますが、逆にちょっと違和感があるのは私だけでしょうか。

   電子カルテ便利な道具だけれど私が共有されているんだ!

 入院の後半になると、春の息吹が病室にいても感じられる頃になりました。リハビリの先生と病院の敷地内を少し歩きました。外の空気はいいものです。色々おしゃべりをしながら、早咲きの桜を見つけたりしまいた。リハビリを担当してくださったお二人の療法士さんは、若くてとても優しく、楽しくおしゃべりを楽しむことができました。私がこのような仕事をしたら、様々な患者さんにこんなに親切に接することができるかなと思いました。

  吹く風は未だ寒く感ずれど 入院続き散歩の嬉しき

 病室が暑いので、看護師さんが、窓を開けてくれました。「花粉症大丈夫ですか?」と看護師さんが尋ねると「鼻をかむから大丈夫です。」と同じ病室の方が答えました。春霞がかかる春の夕暮れ時でした。私も花粉症歴30年なので、その日は、たくさんティッシュペーパーを使いました。

  早々と今日の夕日は春霞花粉も飛散でハークション

 土曜・日曜は、外来の患者さんもなく、病院内は静かです。病棟をいくら歩きまわっても面白くないので、少し冒険で広いロビーをリハビリがてら歩くことにしました。ちょっと外に足を延ばすと、向こうの公園にピンクの花が咲き、子供たちの元気な声が聞こえてきました。なんと生き生きしていることでしょう。

  いつの間に春の花が満ち溢れ長き入院を振り返り眺む

 次の日はもっと冒険をして、私は外のロータリーを歩きまわりました。ちょっと花壇に腰かけて、休憩をしているとジョギング帰りのご婦人が歩いてきました。早速ピンクの花の正体がわかりました。花の形状や色など丁寧に説明してくださり、ありがたかったです。

  公園の周りに咲しおかめ桜賑やか辺りに春の色

 あまり「おめでとう」とは言えない退院でしたが、家に戻ると、3月1日には芽しか出ていなかったクロッカスが盛りに咲き、チューリップの葉はもう20センチ位に伸びていました。私の大好きな沈丁花も今を盛りに咲いていました。

  溢れ出る春の息吹に心弾む15日後退院の喜び

 そしてこれが今日3月16日の詩です。15日前には寒さに耐えて控え目に咲いていたパンジーが、上を向いてその大きな花びらを広げています。春はいいものですね。密を避けながらの花見の計画もそろそろです。

   大輪の花を咲かせたパンジーよ 春がそんなに嬉しいのかい

 「春なのに」入院生活を送っていた私。今年の春は人一倍嬉しく春爛漫を楽しめそうですね。

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