終わりも始まりも突然に
それは、突然やってきました。
「小麦製品を食べないようにしてください。」
「へ? こ、こむぎ!? た、食べない???」
遡ること、今から5年ほど前のある朝のこと。頭から足先まで全身に蕁麻疹、チアノーゼ、息が苦しい…などの所謂アナフィラキシー症状が出てすぐさま病院へ。アレルギーの疑いとのことで血液検査をしてもらうことになりました。
もともと無類のパン好き。中でも、シンプルだからこそ小麦の味を感じられる食パンはどこのメーカーの食パンかを食べ当てることができるほど。
その日の朝は、いつも食べているシンプルなロールパン1個とブラックコーヒーを食しただけで、まさかそれが原因だと想像もできませんでした。
そんな私に後日、病院で先生から告げられたのは「小麦アレルギー」。
正直なところ、先生の言っていることがすぐに理解できないほど、それはそれはショックが大きく、漫画で頭の上に大きな石が「ガーン」という効果音とともに落ちてくる絵を見たことがありますが、まさにそんな感じ。
今のところ大人になってからの食物アレルギーは治らないとのことで、小麦やグルテンの摂取を制限・除去する、「グルテンフリー(gluten free)」の食事法以外に対応できる方法が無いという説明でした。
「これから一生、パンとお別れ…」
にわかに受け入れがたい現実を突きつけられたまま、その日からわたしの「グルテンフリーライフ」は始まったのでした。
Gluten Free Madameの由来
「グルテンフリーライフ」が始まって1ヶ月くらい経った頃、海外に行くことになり、そのため事前に航空会社に問い合わせてグルテンフリーの機内食をお願いしました。
海外でも安心して食事ができるとホッとしていたのですが。
食事の合間に提供されるおやつ(ナッツ類だったと記憶しているのですが)が配られてしばらくすると、血相を変えてキャビンアテンダントさんが慌てて私のところに走り寄ってきました。話を聞くとどうやら配布したおやつに小麦が使用されていたらしいとのことで、平謝りで食べていないかと心配していただき、私が「食べていない」と伝えると、手つかずにしていたおやつは即回収となりました…
そして、おやつが回収されてしまった悲しみ以上に、このキャビンアテンダントさんとのやりとりで、心に残った彼女の一言がこちら。
「Sorry…Gluten Free Madame!!」
そう、そうなのね…
わたしは「グルテンフリーマダム」なのね、と(笑)
グルテンフリーライフも豊かに
私がグルテンフリーライフを始めた頃、テニスプレイヤーのジョコビッチ選手が実践していることで話題となり「グルテンフリー」の食事法というのが聞かれるようになっていましたが、当時、私の周りではそれほど身近なものではありませんでした。
グルテンフリーの製品を探そうとするとアレルギー対応という感じで自然食品のお店などでは見かけることがありましたが…トウモロコシの粉で作ったパスタや米粉で作ったパンなど…小麦大好きな私には正直、なかなか馴染めずにいました。
そう、「ほしいものが買えなければ、食べたいなら、作ればいい」のです…が!最近はYouTube動画などでも米粉を使ったスイーツレシピなど、たくさん見かけるようになったものの、当時はそんなになかったように思います。
それにわたしの場合、恥ずかしながら料理は苦手。まったく自慢にはなりませんが、息子が小学生の頃、学校で「お母さんの作ったお料理で一番好きなものは?」と聞かれたというので「なんて答えたの?」と聞くと「チキンラーメンっ!」という威勢のいい一言には心が完全に折れました…泣
とはいえ、料理がうまくいかなかったときのストレスが半端なく、ましてやきちんとした計量や時間配分などが求められるパンやお菓子作りにいたっては何度もチャレンジしようかと思いつつも、二の足を踏み続けて現在にいたります(笑)
というわけで、わたしは街やお店で見かける「グルテンフリー表示」を誰よりも目ざとく見つけては必ずゲットしますし、ネットでのグルテンフリーパトロールも定期的にしつつ、気になったものは購入したり食べに行ったりするようにしています。
今年に入り、今まで以上に「米粉」を使った製品が目につくようになり、高騰する小麦に代わる救世主として「米粉」の人気が高まっているように感じます。そういえば、2023年「今年の一皿」に米粉グルメが準大賞に選出されていましたね。健康志向の高まりもあり、アレルギーに関係なく低アレルゲンメニューの広がりも期待されるとのこと。
おかげで、「米粉」の良さを引きだした、おいしいパンやスイーツ、麺類などにもたくさん出会うようになりました。
そこで、独断と偏見ですが…笑、私の食生活を豊かにしてくれているグルテンフリー製品の数々などのご紹介もまじえながら、私のグルテンフリーライフを(不定期ですが、)綴っていこうと思います。