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月またぎの入院費用は損をする?

私は、病院で入退院に関わる仕事をしています。

今月、ある患者さんの退院の調整を行っているのですが、退院日を決める段階で難航しています。

その患者さんのご家族が言うのです。「8月の上旬に退院しても、中旬に退院しても、払う金額は変わらないじゃないですか。それなら、中旬に退院させてほしい。」

まぁ、そうなんですけどね・・・。



入院費用の自己負担額

入院の費用って、同じ病気、同じ治療、同じ入院期間だったら同じだと思うじゃないですか。

でも、実際は、同じ20日間の入院だとすると、月をまたぐか、またがないかで大きく違ってくるのです。

これは、高額療養費制度が関わってきます。

高額療養費制度とは
同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
月をまたいだ場合は月ごとにそれぞれ自己負担額を計算します。

高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)全国健康保険組合協会けんぽ より

入院の費用は、高額になってしまうので、家計を守るために高額療養費、つまり支払いの上限額が決まっているのです。

これはこれで、とても素晴らしい制度だと思いますし、安心して医療を受けられる制度だと思っています。ただ、医療費が何にいくらかかっているかがわかりにくくなっているのも事実。

あと、医療費は月末締めになってしまうので、月ごとに高額療養費が適応になり、月をまたぐとそれぞれの月での上限となってしまうのです。

支払う方は、なんだか損をしている気持ちになりますよね。損はしていないのですけどね。

入院費の豆知識

高額療養費の話をしましたが、これは医療費の上限額です。上限額は、収入によって変わってきますし、課税世帯、非課税世帯かでも変わってきます。

これは世帯でみるので、例えば、私の家は、夫と義父母との4人暮らしですが、義父が入院した場合、私たち夫婦と生活していて世帯としては課税世帯になってしまうので、年金が少なくても一般になってしまうわけです。

実際、義父は国民年金に農業者年金が少しあるだけですし、義母は国民年金に少し厚生年金がある程度。義父母だけで生活していれば非課税世帯だと思うのですが、同居しているばかりに課税世帯となってしまいます。ここが難しいところですよね。

時々、同居していても世帯を分けている人があるのは、そういう面があるのかもしれません。でも、世帯分離は、地域により判断が分かれるところという印象が強いですし、私も一応役場に相談してみましたが、あまり勧められないと言われて、断念しました。

あとは、この上限は医療費に適応されるので、食事代やお部屋代など、自費部分については上限が適応されません。ただ、減額の対象であれば、食費などの減額を受けることができます。

入院期間が長くなった場合、高額療養費の適応が3か月以上になったら4か月目から上限が下がる(低所得者除く)、なんてこともそーっと書いてあるのです。

詳しくは、やっぱり診療明細をしっかり確認することですね!!

患者さんの退院日

冒頭で紹介した患者さん。

最初の話し合いで、家族は退院日を15日前後で希望したのですが、主治医からはもう1週間早めるように指示あり、家族へ提案したところ・・・。

「8月の上旬に退院しても、中旬に退院しても、払う金額は変わらないじゃないですか。それなら、中旬に退院させてほしい。」

という発言になったのです。
そして、最終的には7月中に退院しますというのです、びっくり。

お金が絡むと、難しくなりますね。
でも、7月中って、あと2日です。さて、7月中に退院できるでしょうか。

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