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なかまから学んだこと事         田中 千尋 


  

 「かなの家」との出会いは今から一年半ほど前になります。最初は本当に驚きとハプニングの連続で一喜一憂の毎日でしたが、早いものでアシスタントになり一年半が過ぎました。

 今まで一般企業でしか働いたことのない私がかなの家に入ってみてまず感じたことは、お客様や仕事の同僚相手のコミュニケーションとは違うもっと深い信頼関係を作っていくことの必要性でした。
 しかし、人見知りの私はなかなか自分の殻を破りみんなの中に飛び込んでいくことが難しく、はじめはなかまとの間に壁を感じていました。

 また前職では他者と仕事の出来や、お客様からの印象を比較され採点されることも多かったため、自分の評価や、ほかのアシスタントと比べどのくらい劣っているのかなど常に周りの目を気にしていたように思います。

 社会人として会社に生き残っていくには常に人より何かの分野で頭一つずば抜けないといけないと教育されてきたことも大きかった様に思います。

 とにかく早く仕事を覚え一人前にならなければと必死でした。しかし現実は甘くはなく、他のアシスタントの様に上手に仲間と関係を作れない自分に焦りを感じ、更に慣れない仕事も思う様に出来ず、非力さに落胆する日々が続きました。

 私には向いてないのかもしれないと何度も考えました。出来ない事を隠すように変に頑張って、から回ることも多くそんな自分が嫌で仕方なかったです。

 そんな時にあるなかまとトラブルとなり、通りすがりに蹴られ罵声を浴びせられる事がありました。もちろん相手も相手なりの理由や抱えているものがある事を後で理解したのですが、当時はあまりの行動に私も我慢できなくなり、「いい加減にしてくれ!」と怒ってしまう事がありました。私は今まであまり人に怒ったりするという経験がなかったので、色々な感情が溢れて涙が出てきてしまいました。

 その後、そのなかまとは仲直りしましたが、普段感情をあまり出さない私の様子にほかのなかまは心配してくれ、今までほとんど話したことがなかったなかまが「困った事があったらなんでも相談しなさい」と優しくポンと肩をたたいてくれたり、他のなかまは「私がいるから大丈夫」と言ってくれたり、非言語コミュニケーションをするなかまは私の所にいつもより何度もふらっと来て、そばにいてくれました。

 今思うと心配かけて申し訳ない思いなのですが、本当に心から心配してくれるなかまの温かい心に触れ、ああ、壁を勝手に感じていたのは自分だけで、なかまはとっくに私を受け入れいつも純粋に温かい心で見守ってくれているのだなと彼らの優しさに心から感謝しました。

 そして無理に頑張ってコミュニケーションをとる必要も、私自身をよく見せる必要もなく、仕事ができなくても、ダメな自分でも現実をしっかり認め、できる事を頑張っていけばよいとなぜか素直に思えた瞬間でした。今までの自分の考えていた事が自己中心的に思え、なかまからもらった優しさに感謝し、どう答えていくべきか考える様になりました。

 なかまはどんなにいがみ合っている相手でも困ってる人や弱い人には当たり前に優しくて、その心が本当に素晴らしいなといつも感じます。



 最後にもう一つ忘れられないエピソードがあります。それは私が十二月に車いすのリフト車に足を挟んでしまった時の事です。私は大した事はないと思い「大丈夫!」と言っていたのですが、近くにいたなかまの勝美さんが以前、同じように足を挟んだ事を思い出し、その日の午前中はずっと「大丈夫?」「痛くない?」と心配してくれていました。

 痛みが続いたので病院に行く事になったのですが、その時も玄関までずっと付き添ってくれて、私の車が見えなくなるまで手を振って見送ってくれた事がありました。

 大人になってから、家族にもそんなに心配してもらった事はなかったので、申し訳ない気持ちと勝美さんの大きな愛を感じました。 
 
 誰かのためにも、自分自身にもいつも一生懸命で、面白くも楽しい、そして純粋で愛情深い彼らを、私は一年半の生活を通して大好きになりました。 
 
 その気持ちは私が家族に感じているものと似ています。彼らと素直な気持ちで笑い合える事で今では不安も消え自分の事も少し好きになれた気がします。アシスタントとしてはまだまだ半人前な私ですが、この気持ちを大切にこれからもたくさん学び成長していけたらと思う今日この頃です。

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