ラルシュかなの家

ラルシュかなの家 障がいを持つ人と持たない人の相互関係を中心にするコミュニティ、静岡市…

ラルシュかなの家

ラルシュかなの家 障がいを持つ人と持たない人の相互関係を中心にするコミュニティ、静岡市の社会福祉法人です。 世界に150あるラルシュに属しています。 就労継続支援B型、生活介護の作業所 3軒のグループホームがあります。

最近の記事

ラルシュかなの家の「音」             土本 恵里子 (どもと えりこ)

ラルシュかなの家の「音」 それは部屋にあふれるほど置かれている楽器からの「音」だけでなく 入り口に置かれた仲間たちの自由な造形物 階段に飾られた仲間たちの鮮やかな絵 花が好きな仲間がみんなへ摘んできたコップにさされた草花 窓ガラスに字を書くのが好きな仲間が描いた楽しい文字 壁いっぱいに塗られたペンキ画 汗を流して草取り耕された敷地に広がる自然農の田畑 そこに力強く育ち実る野菜と稲たち 洗うという動作の中で毎回感じられる仲間たちが汗水垂らし作り上げた石鹸たち ほかにも何があ

    • 「恥を忍ぶ」            田中 千尋 (たなか ちひろ)

      早いものでもうすぐかなの家に来て3年が経ちます。  かなの家の仕事に不満があるわけでもなく、以前一般企業で働いていた時よりも、たくさんの事が経験でき、なかまや職場の人間関係にも恵まれています。  かなの家にいて楽しいと思えることもたくさんあり、もっとなかまと過ごす時間を大切にしたいと思えることも多いのですが、長くいるとそれぞれの意見を大切にする反面、上下関係や決定権が曖昧なラルシュかなの家の良さが逆に苦しく感じる瞬間もあり、悩むことも多いです。  少し前に、支援に関する

      • 「正義を手放したい」              畠中 宏(はたなか ひろし)

        去年と今年の二年間で、自分を取り巻く環境がずいぶん変わりました。  去年三月に父が他界、今年三月に母も昇天し、長く暮らした兵庫県とも繋がりがなくなりました。今は、住み込みでなかまと一緒に暮らしているグループホーム「こころ」が唯一の居場所です。  自分もずいぶん歳をとり、独り身のままで、両親に孫の顔を見せてやれなかったのは悔やまれますが、かなの家を自分の家、なかまを自分の家族と思いながら暮らしています。  仕事のほうでは、去年八月からすまいの管理者をやっています。この何年

        • 「一緒にいることの不思議」             佐藤 言(さとう げん)

          ラルシュかなの家のアシスタントから「障がいのあるなかまは優しい」と聞くことがあります。  障がいのあるなかまのすばらしさを言っていますが、この言葉にはアシスタントとの比較があります。なかまは優しいけどアシスタントはあまり優しくないという意味も込められています。  ただ、けっして、かなの家のアシスタントが優しくないのというのではなく、なかまとの違いが顕著になると説明したほうがいいかもしれません。  私は子供の頃からかなの家で知的障がいのある人と育ってきました。知的障がいの

        ラルシュかなの家の「音」             土本 恵里子 (どもと えりこ)

          「共に踊り、共に生きる」                 平石 祐哉 (ひらいし ゆうや)

          かなの家で仕事をしていると、踊る機会が多いです。  月に1回の誕生会やかなの家まつりでは、なかまが音楽に合わせて踊りを踊ることがあり、アシスタントもなかまに招かれて踊ることがあります。  過去に行っていたダンス大会では、なかまもアシスタントも1人で好きな曲に合わせて踊り、チームに分かれて勝敗を競いました。その時は私も恥ずかしながらはっぱ隊の「YATTA!」を踊りました。  昨年の10月には盆踊り大会を行い、「炭坑節」や「マツケンサンバ」に合わせて、自由に盆踊りを行いました

          「共に踊り、共に生きる」                 平石 祐哉 (ひらいし ゆうや)

          「一緒にご飯を食べよう」                佐藤 啓(さとう けい)

           昨年の秋、娘が堅信式をカトリック浅草教会で受けました。  堅信式を受けるまでに司式をしてくださる晴佐久神父による堅信の勉強会があり、私も参加させて頂きました。  晴佐久神父から目から鱗なお話を沢山聞かせて頂き、自分も再度、堅信式を受けたような気持ちを新たにできる機会になりました。  自分自身の堅信式は中学生の頃に大人数で行われたことを朧げに覚えています。その頃に受けた勉強会は難しい言葉のテキストを見ながら覚えていくというテスト勉強のようなものだった気がします。  しか

          「一緒にご飯を食べよう」                佐藤 啓(さとう けい)

          「関係性の築き方を教えてくれる、なかま」                 保田 智美 (やすだ ともみ)

          私は長年、障がい者福祉に携わるお仕事をしてきました。ただ、特別な思いがあってこのお仕事を選んだわけでなく、このお仕事の中に自分の“居場所”があるように感じさせていただけたりするので、長年にわたって携わることが出来てきたのだと思います。  その時、お世話をさせていただく相手がどのような方であっても、その方から受ける恩情は計り知れないと思うこの頃なのですが、この思いはラルシュかなの家で過ごすようになって一層強くなりました。  私がかなの家に来てから、もうすぐ一年が経とうとして

          「関係性の築き方を教えてくれる、なかま」                 保田 智美 (やすだ ともみ)

          「ありのままで共にいる」       越 聖美 こし きよみ

           かなの家に来てから、いつの間にか1年半となりました。  最初は「めぐみ」という生活介護のなかまと過ごす時間がほとんどでしたが、今はめぶきというせっけん販売の発送所で「だいち」という就労継続支援B型のなかまと一緒にせっけん販売の仕事に携わっています。  せっけん販売の仕事に変わり始めた当初は先輩アシスタントに苦手なパソコン業務を教えてもらいながらなかまと一緒にせっけんを磨いたり、包んだり、たくさん話し笑い合い共に作業をしていました。  新しい仕事を覚えるのに奮闘しながら

          「ありのままで共にいる」       越 聖美 こし きよみ

          「ラルシュかなの家の賜物」 カンミンギョン

           ここ『かなの家』には毎日のようにお客様が訪ねてきます。しかも定期的に来られる場合がほとんどです。  ふと、その理由が知りたくて何人かのお客様に質問をしてみました。    質問内容  ① かなの家に来てよかったことは何ですか?  ② かなの家にまた行きたいと思っている理由は何ですか?    お客様からの返答を紹介します。 ① 「ひとりの人間としてありのままに受け入れてくれるってことかなと思っています。かなの家のみなさん自分らしく生きている姿を見て、なんか勇気をもらえ励まされ

          「ラルシュかなの家の賜物」 カンミンギョン

          『怒りと向き合う』  鈴木 悠(すずき ゆう)

           Tさんは、誕生会とカレーが嫌いです。その理由は「誕生会もカレーも何十年もやってきたし、食べてきたから嫌だ」とはっきりしています。今日は、いつも通りの誕生会のはずでした。私は司会を担当し、Tさんはいつものように誕生会が始まると「もぐる」と言って休憩室に向かいました。いつもと同じかと思っていましたが、今日は、誕生会が終わった後も「くだらない」と大きな声を出していました。  私は頭の中では先月渡せなかったTさんへの誕生日カードのことがとても気になっていました。なぜならTさんが誕

          『怒りと向き合う』  鈴木 悠(すずき ゆう)

          ちいさい秋             林 健二(はやし けんじ)

           四年ぶりにラルシュリトリートが再開されました。夏空に青い富士を見上げる山中湖、その畔に建つ山中雪の聖母修道院でこの九月初めの二泊三日、各地から懐かしい人や初めての人が訪れました。  かなの家からは八名の「なかま」の人と十六名の「アシスタント」が参加しました。    ドミニコ修道会の渡辺裕成神父が司式するごミサでは、カトリックの方はご聖体を拝領し、ほかの方々は神父様から祝福を受けました。典礼の間、かなの家の創立メンバーであった加藤正さんが懸命に祈っている姿に惹かれました。この

          ちいさい秋             林 健二(はやし けんじ)

          「お母さん元気?」  能登部直美 (のとべ なおみ)

           「お母さん元気?」いつもそう聞いてくれるなかまの政一さん。  父と母が初めてかなの家に来た四年前、なかまと私が住むグループホームいぶきに宿泊し一緒に過ごしました。  それから数年後その父が癌になったと知った政一さんはずっとお祈りをしてくれ、その事は母の心を震わせました。 昨年の秋、父が亡くなり、その後、母は大雪で引きこもる生活を余儀なくされていました。  その事を政一さんに話すと「ダメだ!ここに連れておいでよ」と心配してくれ、その言葉を母に伝えると感謝の言葉は聞けても母

          「お母さん元気?」  能登部直美 (のとべ なおみ)

          地境が広がる (畠中 宏)

          今年の2月にフィリピンで行われたアジア太平洋地域のラルシュの研修に、なかまの小野田さん、理事の村本さんとともに参加する機会が与えられました。  フィリピン、台湾、インド、オーストラリア、そして日本のコミュニティから総勢約20名が集まり、ワークショップや施設見学などをしながら5日間いっしょに過ごしました。英語は苦手ですし、最初は正直気が乗らなかったのですが、ほかに行ける人がいないということなので引き受けることにしました。私にとって初めての海外体験でした。  ワークショップの

          地境が広がる (畠中 宏)

          ラルシュかなの家に戻ります 平石祐哉(ひらいし ゆうや)

           私は2021年5月まで5年半ほど、ラルシュかなの家のアシスタントとして働いていました。「別の障害福祉の現場も知りたい」「コロナ禍の中、一旦、地元に戻りたい」ということで、2021年5月から2年間ほど出身地の横浜市に住み、横浜市内の施設で働きました。  今年の7月からまた静岡に戻り、かなの家のアシスタントとして再び働き始めます。  「また静岡に行って前の職場で働く」ということを、横浜で周囲の人に話した時、訝しがられることもありました。 「平石さんは横浜出身なのに、また静岡に行

          ラルシュかなの家に戻ります 平石祐哉(ひらいし ゆうや)

          なかまから学んだこと事         田中 千尋 

              「かなの家」との出会いは今から一年半ほど前になります。最初は本当に驚きとハプニングの連続で一喜一憂の毎日でしたが、早いものでアシスタントになり一年半が過ぎました。  今まで一般企業でしか働いたことのない私がかなの家に入ってみてまず感じたことは、お客様や仕事の同僚相手のコミュニケーションとは違うもっと深い信頼関係を作っていくことの必要性でした。  しかし、人見知りの私はなかなか自分の殻を破りみんなの中に飛び込んでいくことが難しく、はじめはなかまとの間に壁を感じていま

          なかまから学んだこと事         田中 千尋 

          かなのすまいのアシスタントに異動となって 田邊 豊

           ラルシュかなの家は、知的障害者の就労支援という作業を行う就労訓練と生活介護をしている作業所と、障害者(なかまと呼んでいます)の人たちが、寝泊りして生活するグループホーム(かなのすまい)があります。私は、作業所でなかまの人たちと農作業をするアシスタント(支援員)でしたが、すまいのほうに移動になりました。  通所してくるなかまの人達とは会うことが減ってしまうので、「さみしい」「行かないで」などと言ってくれる人たちがいました。朝にグループホームのなかまの人を作業所に、一緒歩いて

          かなのすまいのアシスタントに異動となって 田邊 豊