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私たちの自由や権利を守ってくれる日本国憲法について教えてくれる書籍たち

 今年になってはじめたデジタル監視社会についてのnoteの投稿ですが、今回はその監視によって私たちの権利や自由が大きく侵害されている社会において、私たちを守ってくれる、日本国憲法についての書籍をご紹介しようと思っています。
 緊急事態条項の導入など、憲法改正の議論が再び盛り上がってきたことも読んでみようと思い立った理由ですが、それ以前に新型コロナ対策でマスクを強要されていたころ、お店などでマスクをしていないことを注意されて、日本国憲法でマスクをしない権利は認められているといったネット情報の受け売りで切り抜けながら、憲法のどの条文がその権利を保障してくれるのだろうと、疑問に感じていたことなども憲法を意識しだす伏線としてありました。
 デジタル監視社会というものが、私にとって未知の領域であったように、法律関係も同様のところがあり、私がこの間に読んだ10冊ばかりの本で、日本国憲法について意見を書くことは差し控え、読みやすかったものをご紹介することにとどめます。憲法について知ってみたいという人や、インターネット上での検閲などを実感するようになってきて、私たちの権利や自由をどう守っていけばいいのかについて関心があるけれども、どこから始めていいのかわからないという人へのガイドになればと思ってまとめました。


憲法とは何かを知るためのお薦め

 まず私がこの間に読んだ10冊を列挙します。以前から持っていたもの、アマゾンなどの検索で選んだものと、それらから導かれて出会ったものです。

芦部信喜『憲法』岩波書店
浦部法穂『全訂憲法学教室』日本評論社
伊藤真『伊藤真の憲法入門』日本評論社
伊藤真『伊藤真の法学入門』日本評論社
伊藤真『憲法問題 なぜいま改憲なのか』PHP新書
伊藤真『やっぱり九条が戦争を止めていた』毎日新聞社
樋口陽一、小林節『「憲法改正」の真実』集英社新書
永井幸寿『憲法に緊急事態条項は必要か』岩波ブックレット
長谷部恭男、石田勇治『ナチスの「手口」と緊急事態条項』集英社新書
親子で憲法を学ぶ札幌の会編『ダメなものはダメと言える《憲法力》を身につける』寿郎社

 このなかで憲法の入門書としてよく取り上げられるのが芦部さんの『憲法』ですが、文章が難渋で入門書かなあという印象を今回も持ちました。この本を読むのは3回目かもしれないのですが、何度読んでも、私のような凡人には大事なポイントが見えてきません。そんななかで、私に法律の面白さに気づかせてくれたのが、伊藤真さんの一連の書籍です。
 まず『伊藤真の憲法入門』を読んでみてください。憲法が何かがよくわかります。芦部さんの本を読んでいると、憲法の条文があまり強弱なく並列列記されていて、単調さを覚え、退屈になってくるのですが、伊藤さんの本では大事なポイントがよくわかります。
  憲法は国家権力を制限して人権を保障するためにあり、国民主権や三権分立がそのために憲法で規定されているといった全体像が見えてきます。私たちの自由や権利を守るために、立法、司法、行政、国と地方の役割分担といった統治機構の在り方が規定されています。そういった憲法ができてくる歴史的背景の説明も興味深い点です。
 お薦めの二冊目が『伊藤真の法学入門』です。法律には、民法や刑法など、その他もろもろあって、文章も難しいだけでなく硬くてわかりにくいし、私のような記憶の苦手な人間には手に負えないものと感じられ、敬遠してきた分野ですが、それらが最高法規である憲法の下にあって、それらの内容は憲法と矛盾してはならないという、法律のピラミッド構造のようなものがこの本で理解できました。こまごまとした各種法律は憲法の精神を実現するために本来あるということが理解できると、一つ腑に落ちるというか、筋が通ってくるように感じたのです。そんなことで法律の本もこれからは読んでいこうという気持ちになりました。
 さて、憲法とはなんぞやについて伊藤さんの本で概略をおさえられたら、そのうえで余力のある方にお薦めするのが、浦部さんの『全訂憲法学教室』です。伊藤真さんのお薦め本として出会いました。分厚いけれども、芦部さんの本より、はるかにわかりやすいし、憲法をめぐって何が問題になってきたかも見えてきます。なによりも浦部さんの人間性が感じられ、好感がもてる一冊です。

憲法改正議論についてのお薦め

 以上が、現行憲法を理解するうえで読んだ本のご紹介ですが、ここからは、いま進んでいる憲法改正についての議論を理解するうえで役にたつ本についてのご紹介となります。憲法とは何かを知らない人は、この各論にはいる前に、少なくとも伊藤さんの本を読んだうえで以下のなかからお選びいただくといいのかなと思います。
 ここでも、やはり伊藤真さんの本をまずお薦めします。『憲法問題』では2012年にだされた自民党の改憲案について、個別の文言なども踏まえ、問題点を丁寧に網羅的に議論されています。当時書かれたものなので、そのあとの展開についてはこの本ではわかりませんが、今の議論がどこからきていて、自民党による一部改憲などの議論がどこにいこうとしているかが見えてくるので、是非読んでいただきたいです。
 そのうえで『やっぱり九条が戦争を止めていた』も、同じころの本ですがお薦めです。憲法九条をめぐる政府の見解が、アメリカ主導の無益な戦争に巻き込まれることを防いでいたことがよくわかります。
 この2冊を読むだけでも、自民党による憲法改正は絶対させてはいけないということがわかりますので、時間がない方は、この2冊だけでも読んでください。
 そのうえで、残りの本の特徴からお話しすると、護憲派の泰斗、樋口陽一さんと改憲派の重鎮、小林節さんとの対談本である『「憲法改正」の真実』では、自民党の世襲議員がどういう背景をかかえて憲法改正を推し進めているかといった、属人的で改正現場の雰囲気が伝わってくる点が面白かったです。
 よく話題になる緊急事態条項については、永井さんの本では自然災害のときに緊急事態条項が必要という改憲理由に絞って、反対意見を述べられていますが、この件の全体像を理解するには『ナチスの「手口」と緊急事態条項』を是非読んでいただきたいです。ナチスの反省を欧米諸国がどう消化していったかを踏まえて説明があり、自民党案の危険性がよくわかります。
 というようなことで、今の日本社会を規定している最高法規について、はじめて真剣に考えるきっかけを今回はえたので、法律は苦手と思っていらっしゃる方に面白いですよとお伝えしたくて、投稿させていただきました。
 私のなかで憲法への関心が高まる以前に、法律に関心を持てるようになったきっかけは、立憲民主党の原口一博議員を知ったことにあります。昨年の春ごろ、国会でディープステートのような話をしている原口議員のことをネットで知って以来、朝のエックスでの配信や投稿をずっと追いかけています。精力的に発信させるので、おっかけるのも大変ですが、国会議員が法律をどうやってつくっていくかを初めて肌感覚で理解し始めたのですね。
 原口議員が出会う人たちを通してえた問題意識をもとに、質問主意書や、国会の本会議や各種委員会での質問を通して政府の見解を引き出したり、国会で意見を通していくために議連をたちあげたり、いろいろな媒体を使って人々を啓蒙していったり、といった一連の循環構造が見えてきました。もちろん野党なので現実の法律として成立する過程までは見届けられていませんが、テレビや新聞などで取り上げられる事象の断片だけではわからないダイナミズムのようなものを感じるようになって、法律というものが少し身近になりだしていたことも、今回のご縁につながったようです。
 法律の文章は難しくて苦手と思っていた私が、一連の出会いを通して最高法規にまでいきつきました。私と似たような感覚をお持ちの方に、ご参考になればと思って投稿させていただきました。今の日本社会を規定している最も根源的な言葉の探求は、これからもはてしなく続きそうです。

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