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⑩愛のドイツ留学3週間🇩🇪いざ、修道院へ/1日目

貰ったチュニジアの餃子らしきものをもぐもぐしてしばらく経つと、チュニジア人二人との会話が終わろうとしていた。

もうひとつの国の団体が到着したからだ。ずいぶん人数が多かった。8人くらい。まあ、チュニジアの人達もそのくらいいたけど。ヨーロッパ系の金髪少女は2人だけ。私たち日本は5人。男3人(私・Y・K)と女2人(M・N)だった。

もう一つの国の団体が到着して、どうやら私たちは空港を出発するらしい。べトロイアーに、ついてきて、と声をかけられた。

新たに加わった国、その国とは「ウズベキスタン」だった。私たちが知り合ったウズベキスタン人は皆強烈な個性の持ち主で、彼らを抜きにして今回の留学は語れない。非常に強い因縁を結ぶことになる。



私たちは、3週間を過ごす修道院へ向かうバスの止まっているところへ歩いて行った。その間に、チュニジアの残りの人達と軽く話を交わした。ヨーロッパ系の少女二人とも少し話をしたら、彼らはポーランド出身であることが分かった。まだ二人とも15歳らしく、見た目・振る舞い、共に幼かった。でもとても人当たりが良い。私たちは全員バスに乗り込み、空港を発った。

私は、餃子らしきものをくれたチュニジア人、アチス、の横の席に座った。バスが動き始めるとべトロイアーが寄ってきて、何かを配り始めた。なんだろう。今日の予定表とか?なにかの説明?修道院の詳細?

・・・

・・・リンゴ?

だった。

丸ごと。

皮付き。

うーん、これを食うのか。日本では皮ごと丸ごと食べたことないから少し戸惑っていたら、横に座っていたアチスが威勢よくかぶりつきだしたので、私も後を追った。これがドイツで初めて食べた物となった。

丸ごと皮付きリンゴ

家に帰るまでに30個は食べた。今ではもはや恋しいくらいだ。



アチスから、ゲームはやるか?と聞かれた。やらないな、と答えるとなんかおすすめされた。スマホの広告に時々流れてくるような、私には退屈に見えてしまう、とるに足らないやつ。うん。


しばらく景色を見ながらバスに揺られていると、あれっ、寝てる。

アチスが寝てる。

そうか。寝るのか。寝られるのか。

私だったら、その日知り合った人の横ではなかなか寝られないなと思ったけど、アチスは私が気付く前にとっくに夢の中にいた。その早さはのび太に匹敵するくらい。

一瞬目覚めて、長い旅で疲れたから少し寝るね、と言ってきた。

そうか。

私は信頼されてるのかな。良かった。

ちなみに、Yのルームメイトとなり、3週間毎日Yに「殺されるような」思いをさせることになるのは、この「アチス」である。この時はまだ、私はその理由に気づくことも、予兆を感じることもできなかった。


(本日フランス語済み)

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