
「分かります」はダメですか。想像力で共感するということ。
「分かります。」は気に障りますか。
人の話を聞いて、自分が経験していないことについて、「お気持ち分かります。」と言ってはいけないということを本で読んだことがあります。私の知人にも「分かります。」と安易に言われると気に障るという人がいました。私はそのことを深く考えたことがありませんでしたので、もしかしたら、私も気に障るかもしれないとその時はふと思いました。
しかし、人の辛い経験を聞いたときに、ただ「そうなんですね。お辛いんですね。」と返答するのも、なんとなく冷たい印象に思えてしまいます。
私は、人の辛い経験を聞いたときに、「相手に寄り添う言葉」をかけてあげることがとても大切だと思っています。
聞き手の「想像力」と「感受性」で、共感すること。
人は、本を読むときや映画を見るとき、登場人物の気持ちと一緒になって、嬉しくなったり、悲しくなったりすることがあると思います。登場人物と同じ経験をしたことがなくても、そういうことはあります。
なぜならば、「感受性」の豊かな人は、自分の今までの経験を元に「想像力」を働かせるからです。「自分が登場人物と同じ立場だったら」と考えて共感してしまうからです。その「共感」が「お気持ち分かります。」になってしまうことがあると思います。
相手への伝え方には気を付けなければなりませんが、聞き手側の「想像力」と「感受性」を働かせた「共感」という意味での「お気持ち分かります。」はとても人の心に寄り添っていると私は思います。
「分かります。」ではなく、「自分が同じ立場だったらと想像するだけで○○な気持ちになります。」
人に寄り添う言葉をかけることは難しいです。世の中、色々な性格の人がいて、言葉の受け取り方も様々です。
「感受性」豊かな聞き手は、自分が経験していなくても、自分の今までの経験を元に「想像力」を働かせて、「気持ちが痛いほど分かる」と「共感」することもあるでしょう。そして、「相手に寄り添おう」として、「あなたのお気持ち分かります。お辛いでしょう。」と言う人もいると思います。
しかし、伝え方次第では、相手の気に障るかもしれません。共感することは人に寄り添うために大切なことですが、伝え方には細心の注意を払わなければなりません。
例えば、「お気持ち分かります。お辛いでしょう。」ではなく、「自分があなたと同じ立場だったらと想像すると、とても胸が苦しくなります。」という伝え方をする方が相手の心にすっと入るのではないでしょうか。
その時に、「なぜそのような想像ができるのか」、「どういう経験を元に想像できたのか」もプラスアルファで伝えられたら、相手の心に響くかもしれません。