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【要約&実践】THE TEAM 5つの法則

こんにちは!消費財メーカーのマーケターとして働くmotuです。
マーケティングに関する書籍の"理解"から"実践"への架け橋となる記事を投稿していきたいと考え、活動しています。

書籍の内容を"実務"で活かすことができるよう、要約・体系化していくので、ぜひご覧ください。それではやっていきましょう!

書評

【再現性】   ★★★★
【面白さ】   ★★★
【おすすめ度】 ★★★★

私の記事では、上記3項目を5点満点で評価しています。
再現性は、筆者が自身の成功(失敗)を体系化して、私たちでも実践できるような形のノウハウとして提供しているかで評価しています。
面白さは、純粋に書籍としての面白さで、読みやすさなども考慮して評価しています。

今回紹介するのは、麻野耕司氏著書の「THE TEAM 5つの法則」です。この書籍からは、チーム作りの方法を学ぶことができます。チーム作りという曖昧な概念が、5つの法則によって学術的かつ体系的に整理されていておすすめです。それではやっていきましょう!


1. Aim (目標設定)の法則

目標設定は、①意義目標、②成果目標、③行動目標、の3つからなる。

①意義目標
最終的に実現したい抽象的な状態や影響を示したもの
②成果目標
チームとして手に入れるべき具体的な成果を示したもの
③行動目標
チームメンバーが具体的に取り組むべき行動の方向性を示したもの

チーム活動の意義が明確に言語化されてはじめて、メンバーは生むべき成果や取るべき行動に対して、自主性や創造性を発揮し始める。

2. Boarding (人員選定)の法則

チームに合った人員選定をするためには、チームの特徴を理解する必要がある。チームは、①サッカー型、②柔道団体戦型、③野球型、④駅伝型、の4つのタイプからなる。

①サッカー型
「環境の変化度合い 大」×「人材の連携度合い 大」
②柔道団体戦型
「環境の変化度合い 大」×「人材の連携度合い 小」
③野球型
「環境の変化度合い 小」×「人材の連携度合い 大」
④駅伝型
「環境の変化度合い 小」×「人材の連携度合い 小」

このとき、環境の変化度合いが大きいチームは、人員選定の際、出口(誰を入れ替えるか)にこだわるべきである。一方で、環境の変化度合いが小さいチームは、人員選定の際、入口(誰を加えるか)にこだわるべきである。

また、人材の連携度合いが大きいチームは、人員選定の際、多様性を重視するべきである。一方で、人材の連携度合いが小さいチームは、人員選定の際、似たタイプをそろえることを重視するべきである。

3. Communication (意思疎通)の法則

コミュニケーションを円滑に進めるためには、ルール設定が重要。ルール設定は、①WHAT (何をルールに設定するか)、②WHO (誰がルールを設定するか)、③WHERE (どこまで責任を負うのか)、④HOW (何を評価するのか)、⑤WHEN (どれくらい確認するのか)、の5つからなる。 

①WHAT (何をルールに設定するか)
環境の変化度合いが小さく、人材の連携度合いが大きいほど、細かくルールを設定する。
②WHO (誰がルールを設定するか)
環境の変化度合いが小さく、人材の連携度合いが大きいほど、チームで(リーダー)がルールを設定する。逆の場合は、メンバーがルールを設定する
③WHERE (どこまで責任を負うのか)
環境の変化度合いが大きく、人材の連携度合いが大きいほど、チーム成果に責任を負う。逆の場合は、個人成果に責任を負う
④HOW (何を評価するのか)
環境の変化度合いが大きく、人材の連携度合いが小さいほど、成果を評価する。逆の場合は、プロセスを評価する
⑤WHEN (どれくらい確認するのか) 
環境の変化度合いが大きく、人材の連携度合いが大きいほど、確認が多い

以上のように、チームに合ったルールを設定することでコミュニケーションの複雑性を減らすことができる。

また、効果的なコミュニケーションのためには相手の特徴を知る必要がある。相手の経験や感覚に加え、志向や能力といった特徴を掴む必要がある。このとき、思考や行動に対する欲求を表す「モチベーションタイプ」や仕事を問わず必要とされる「ポータブルスキル」によって、人の志向や能力を理解することができる

モチベーションタイプは、①アタックタイプ (達成支配型欲求)、②レシーブタイプ (貢献調停型欲求)、③シンキングタイプ (論理探求型欲求)、④フィーリングタイプ (審美創造型欲求)、の4つからなる。

①アタックタイプ (達成支配型欲求)
反応しやすいキーワード「勝・負、敵・味方、損・得」
嬉しい言葉「すごいね」
②レシーブタイプ (貢献調停型欲求)
反応しやすいキーワード「善・悪、正・邪、愛・憎」
嬉しい言葉「ありがとう」
③シンキングタイプ (論理探求型欲求)
反応しやすいキーワード「真・偽、因・果、優・劣」
嬉しい言葉「正しいね」
④フィーリングタイプ (審美創造型欲求)
反応しやすいキーワード「美・醜、苦・楽、好・嫌」
嬉しい言葉「面白いね」

ポータブルスキルは、①対自分力、②対人力、③対課題力、の3つからなる。

①対自分力
・外向的スキル「決断力、曖昧力、瞬発力、冒険力」
・内向的スキル「忍耐力、規律力、持続力、慎重力」
②対人力
・父性的スキル「主張力、否定力、説得力、統率力」
・母性的スキル「傾聴力、受容力、支援力、協調力」
③対課題力
・右脳的スキル「試行力、変革力、機動力、発想力」
・左脳的スキル「計画力、推進力、確動力、分析力」

このように、相手の志向や能力を知り、それを意識してコミュニケーションをとることが重要。このとき、心理的安全性の高い環境で行うことが求められる。以下に、心理的安全性を高める4つのポイントをまとめる。

・無知だと思われるリスク → 素直質問
・無能だと思われるリスク → 失敗共有
・邪魔だと思われるリスク → 発言促進
・批判的だと思われるリスク → 反対意見

4. Decision (意思決定)の法則

意思決定方法は、①合議・多数決、②独裁、の2つからなる。

①合議
意思決定に時間がかかるというデメリットを解消するために、まず初めに選択肢の基準を設定するとよい。次に、その選択基準に優先順位をつける。最後に、優先順位の高い選択基準に合致する選択肢を選ぶ。

②独裁
正しさにとらわれすぎず、「強く」「速く」決断することが求められる。また、意思決定そのものよりも、意思決定後に選んだ選択肢をどれくらい着実に実行し、正解にできるかが重要。意思決定者以外のメンバーが賛同し、実行するかどうかは、「誰が意思決定者なのか」にも影響を受ける。

影響力
①専門性「すごい」
②返報性「ありがたい」
③魅了性「すてき」
④厳格性「こわい」
⑤一貫性「ぶれない」

5. Engagement (共感創造)の法則

エンゲージメントは、①Philosophy (理念・方針)、②Profession (活動・成長)、③People (人材・風土)、④Privilege (待遇・特権)、の4Pからなる。どれでエンゲージメントを高めるのかを戦略的に絞り込むことが求められる。

エンゲージメント
=報酬・目標の魅力(やりたい)×達成可能性(やれる)×危機感(やるべき)

チームの落とし穴

最後に、以上で述べた「チームの法則」を実践するうえで、避けるべきチームの落とし穴について説明する。

①「自分1人くらい」という落とし穴 (社会的手抜き)
メンバーの「当事者意識」を高めることが重要。当事者意識を埋め込むためには、①人数、②責任、③参画感、の3点が重要。

②「あの人が言っているから」という落とし穴 (社会的権威)
時に肩書や経験にとらわれずにフラットに議論する場を設けたり、メンバーから意思決定者に提案するような場を設けることが重要。

③「みんなが言っているから」という落とし穴 (同調バイアス)
チームの雰囲気を意識的にマネジメントすることが重要。雰囲気をマネジメントするためには、「スポットライト」と「インフルエンサー」の観点が重要。

・スポットライト
チーム内である態度のメンバーに光をあてることで、チームの雰囲気をコントロールする
・インフルエンサー
チーム内で特に他のメンバーに影響力の強いメンバーに個別に働きかけ、転換させることでチームの雰囲気をコントロールする

④「あの人よりやっているから」という落とし穴 (参照点バイアス)
チームの中で基準を明確に示すことが重要。Aimの法則で示した「意義目標」「成果目標」「行動目標」、Communicationの法則で示した「責任範囲」「評価対象」について、メンバーにどれくらいの基準を求めるのか明確に提示する。また、チームの中で誰が基準を満たしているのか、満たしていないのかを共有する。

以上です。長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
本日紹介した書籍は以下のリンクにまとめてあるのでぜひチェックしてみてください。また次回!


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