44.卒業前の出来事

 私は、中学受験は女子校を考えていた。
母の勧めもあったが、女子校の方が自分には合っているのかなと考えていた。
周りからも、母からも
「Yちゃんと同じ中学受けるの?」
と、言われたが、私はYちゃんとは別の中学を受験しようと決めた。

なぜなら…
ずっと仲良しのまま、ずっと同じ学校に行った時、気を使う彼女は私にずっと寄り添ってくれるだろう。
それでもいいのだけれど、折角新しい環境になって、新しい友達も作らなければならない時に、私が妨げになってはいけない、なんかそう思っちゃったんですよね…

だから、Yちゃんとは同じ中学は受験しない、そう決めた。
Yちゃんとは、受験については話し合ってはいない。
きっと彼女も同じ思いだと思ったから。

あの時、彼女と同じ中学に入っていたら…
どんな人生になってたかな

時々、ふとそんなことを考える。

6年生、最後の年…だったからなのか…
お弁当は屋上で食べることを、先生が許可してくれた。
みんなで毎日遠足みたいな気分だった。
青空の下で食べるお弁当…
ちゃんとお祈りは忘れない。
みんなでおしゃべりしながらのお弁当の時間、楽しかった。

なぜあの時、屋上でお弁当食べたのかな。
先生に聞いても
「そんなことありましたか?」
と、笑ってる。

あれ…先生、忘れちゃってる…

6年生になると、放課後のお掃除当番も、教室の他に、おトイレ掃除や正門の前のお庭のお掃除も担当する。
おトイレは、手で触れるくらいピカピカにすること。(テレビに取り上げられたこともある)

その時に使うビニール手袋で一悶着。
みんなで使い回しするのだけれど、ある時、自分用のを持ってきた子がいた。
アレルギーがあるから先生の許可が出たとの事。
でも、周りは納得できない。

わたしも自分のを持って来たい…

そう思った。

他の生徒も、
「それならみんな、それぞれに持ってきてもいいのではないか」
という意見がたくさん出て、E先生に言いに行ったが、却下。

「彼女は、ビニールのアレルギーがあるから、許可を出した。
でも、他の人たちはないのだから、同じのを使いなさい。」

仕方なく、使い回しの手袋でお掃除した。
…ちょっとくだらないかもしれないけど、真剣に抗議したエピソード^^;

正門前のお庭のお掃除。
今でも忘れられない出来事が起きた。

その頃、サイン帳を回してみんなに書いてもらっていた。
私のところにも、回って来た。
Kちゃんから、
「そめも書いて」
と、赤いサイン帳(確か赤だったような)を渡された。
彼女は、成績も良くて、大人しくて読書が似合う、争いごととは縁遠い、優しい性格の女の子。
あまり話したことはなかったので、頼まれたことがとっても嬉しかった。

何を書こう…

たくさん考えながら、ずっと持ち歩いていたものだから、お庭掃除の時も持って行ってしまった。
履いても履いても、履いても…枯れ葉が落ちて来るので、Yちゃんが
「いい加減にしろ!!」
木に向かって叫んだ。

Yちゃんを見てみんなが笑った。

そんなことをしているうちに…
私は、Kちゃんの赤いサイン帳を…
…置き忘れた…

雨が降らなかったから良かったけれど、その忘れてしまった行為が、彼女の怒りを買い、怒ったのを見たことがない彼女が、怒鳴った。

「もう書いてくれなくていいから!!」

どんなに謝っても許してもらえず、最後まで口も聞いてくれなかった。

そりゃ…そうだよね…
そりゃ、私が悪い。

それは卒業後も続いた。
一度、年賀状はもらったが、同窓会も初めは来てくれていたが、
「もう誘わないでください」
という手紙が来た。

この、“サイン帳忘れた事件” が原因なのかは定かではないが、このことはずっと忘れられないでいる。

12月に入り、また学校中に母たちが焼くクッキーの香りと流れる讃美歌の曲が、ワクワク感と、最後のクリスマス会だという、何となく切ないような気分が同時に来る。

“お髭事件” というひと騒動があって一生忘れられないクリスマス会となった。

クリスマス会の様子は29話で是非(^^)

クリスマス会で歌う讃美歌。
仲良しYちゃんはソプラノ、私はアルト担当。
バスを待ちながら、よく二人で讃美歌を歌っていた。

今考えれば…とても恥ずかしい^^;
声を張り上げて歌っていた気がするので、余計。
制服を着ているので “M学園の生徒” ということは一目でわかる。
背のちっちゃい二人の女の子が、讃美歌をハモっているなんて、世間からはどう見えたのだろう。

目の前を通るおばさんが
「とても上手ね。」
と言った。

私たちは、その言葉を聞いて、更に大きな声で歌った。
本当に、迷惑な話。

世間の皆さん、ごめんなさい。

…続く……🍂


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