シックスシグマの現場から
本記事では、シックスシグマについて解説します。この手法は品質管理とリスク管理に不可欠であり、現代の製造業において非常に重要な役割を果たしています。最後に、「シックスシグマの現場から 課題・問題20選」として、導入した際に発生した20の問題や課題について記載しています(リンクがないのは執筆中です。随時更新予定なので気長にお待ちください)。
それでは、具体的な内容に入っていきましょう。
シックスシグマとは
シックスシグマの基本概念
シックスシグマは、1980年代に米国のモトローラ社で開発された品質管理手法であり、製品やサービスの品質向上とコスト削減を目的としています。その名の通り、6シグマという概念に基づいており、これは統計学的な考え方で、製品やサービスのばらつきを最小限に抑え、顧客満足度を高めることを目指しています。シックスシグマは、プロセス分析、データ分析、改善活動などを用いて、品質問題の根本原因を特定し、効果的な対策を講じることで、品質の安定化と向上を実現します。
シックスシグマの歴史
シックスシグマは、1980年代に米国のモトローラ社で、品質管理の専門家であるビル・スミスによって開発されました。当時、モトローラ社は品質問題に悩んでおり、スミスは統計学的な手法を用いて、品質問題の根本原因を特定し、効果的な対策を講じることで、品質の安定化と向上を実現しました。
その後、ゼネラル・エレクトリック社やフォード社など、多くの企業に導入され、世界的に広まりました。
シックスシグマのステップ
シックスシグマは、以下のステップを踏むことが一般的です。
定義(Define): 改善対象となるプロセスを明確化し、目標を設定します。
.測定(Measure): プロセスの現状をデータに基づいて分析し、問題点や改善の余地を把握します。Gage R&Rを用いて、測定システムを確立後、測定を開始します。
分析(Analyze): 問題点の原因を統計的な分析を駆使し、根本原因を特定します。このフェーズでは統計を駆使します。
改善(Improve): 根本原因に基づいて、効果的な対策を講じます。実験計画法はこのフェーズで用いられます。
管理(Control):改善されたプロセスを維持し、継続的に改善活動を推進します。SPC(Statistical Process Control: 統計的工程管理)が有効に働きます。5S(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」)の実践も非常に大切です。
これらのステップはそれぞれの頭文字から「DMAIC」と称され、継続的な品質向上を実現する手法です。
実践における事例
シックスシグマは、多くの企業で実践されていることで知られます。例えば、シックスシグマを用いて、製品の品質向上とコスト削減を実現した事例は一般的ですが、特に、自動車業界では、IATF16949では必須の製造工程の継続的改善活動では、工程のばらつき及び無駄の削減に重点を置く必要があり(10.3.1 b)、親和性が高い手法と言えます。
使用されるツール
シックスシグマで、使用されるツールは実はQC(Quality Control)で使用されているツールと類似しています。ヒストグラム、散布図、特性要因図、工程能力分析、回帰分析などの統計的なツールが用いられます。また、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)も組み込まれており、故障モードと影響分析表、リスク評価表などのツールも用いられます。潜在的な故障モードを事前に特定し、製品のリコールを回避した事例などは、企業の品質管理とリスク管理に有効な手法であることを示しています。
話題になった指標:COPQ
シックスシグマでは、課題にした品質指標をメトリックとして用いています(例えば、生産効率、歩留まり、機械稼働率、欠陥率など)。この他に財務的な指標としてCOPQ(Cost Of Poor Quality)と呼ばれる「低品質に起因するコスト」を注目しています。
シックスシグマの限界
手法の特徴から統計的管理の側面が強く、「シックスシグマはresearchにおいて有用でない*」というのは最もな主張です。実際のところ、R&D部門へ展開した経験では、実験計画法の使用であったり、試作ラインの課題を解決するものであったりと、必ずしもアイデア・コンセプトを生み出す手法ではありません。
* Albert Johnson, Beth Swisher, Research Technology Management, 46, pp12-15, Mar/Apr 2003.
シックスシグマを紹介する代表的な著書『シックスシグマ・ブレイクスルー戦略: 高収益を生む経営品質をいかに築くか』に記載されているケース・スタディ「ユーザーの声を活かす製品開発―ポラロイドの飛躍」は今となっては皮肉かもしれません。
また、シックスシグマがdefect - centricであるのに対し、value - centricへの展開として、顧客の視点(本当の価値を持つ)において、製品、サービスを提供できるもの*への展開も散見されます。
* Mikel J. Harry, Doug Crawford, Machine Design, 77, pp126-132, 2005.
まとめ
シックスシグマは古の手法として考えられがちですが、DMAIC;問題を定義し、測定&分析を経て改善し維持管理していく、というのはシックスシグマに限らず問題解決フェーズとしては一般的なものです。今後、「シックスシグマ」と謳うことは少ないかもしれませんが、本質的な問題解決フェーズは、より進化を続け、より高度な品質管理とリスク管理を実現していくことが期待されます。
特に、近年では、AIやIoTなどの技術革新が急速に進展しており、これらの技術をシックスシグマ(もしくは問題解決フェーズ)に活用することで、より効率的かつ効果的な品質管理とリスク管理が可能になると考えられます。
記事を読んでくださりありがとうございました。ここまではシックスシグマの簡単な概要でした。次に「シックスシグマの現場から」としてシックスシグマ(に限らず、問題解決フェーズ)に関する実践的な疑問や課題を解決するための情報を提供する場になればいいなと思います。
シックシグマの現場から
シックスシグマを展開していく上で発生した問題や抱えた課題について以下に20個記載します。読まれている方の業種や企業規模などにより?な部分もあるかと思いますが参考になれば幸いです。
記事は随時更新予定です。
*2024.8.31現在では記事はありません。記事をアップしましたら下の疑問質問にリンクを貼っていく予定です。また、疑問質問の内容は変更する場合もありますのでご了承ください。
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