涼介

エンジニアの経験をもとに、設計理論、シックスシグマやビジネスケースについての考察を発信しています。また、カーボンニュートラルなど、技術と環境に関するテーマにも興味を持ち、これらの話題について深掘りしています。*Amazon のアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

涼介

エンジニアの経験をもとに、設計理論、シックスシグマやビジネスケースについての考察を発信しています。また、カーボンニュートラルなど、技術と環境に関するテーマにも興味を持ち、これらの話題について深掘りしています。*Amazon のアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

最近の記事

20. シックスシグマ・ブラックベルト:現場と経営層の間で板挟みになった時の対処法、 4. シックスシグマ導入による現場のモチベーション低下の防止策

シックスシグマの導入は、生産効率の向上とコスト削減を目的としています。しかし、ブラックベルトは現場と経営層の間で板挟みになることが多く、この課題にどう対処するかが重要な役割の一つです。 この問題の原因は、つまるところ、お金(効果金額)、雇用の不安です。 板挟みの原因は「効果金額の問題」にあり 現場と経営層の間で板挟みになる主な原因は、シックスシグマ導入による効果の金額的な評価にあります。経営層は数値化された効果、つまり生産性向上やコスト削減の目標に注目しますが、現場では

    • 5. シックスシグマプロジェクトの選定基準はどうする?

      筆者が転職活動をしていた時の話です。ある企業の面接でシックスシグマの話になりました。 「シックスシグマではどのような活動をされていましたか?」 との質問に対し、一般的な回答;ブラックベルトとして、対象製品は〇〇、工程では△△を対象に、□□の効果を得ました、と答えたところ; 「そんなことは聞いていない、もっと具体的なことを言ってください」 と、いわゆる圧迫系の面接がしばらく続きました。 後で伺ったところ、シックスシグマを導入していたX社に在籍していたとのことで、その方の言葉を

      • 16. 19. シックスシグマのメリットを現場に納得させる方法、及びシックスシグマ導入初期段階での小さな成功体験をどう共有するか?

        シックスシグマは製造現場での品質改善やコスト削減に大きな効果をもたらしますが、導入に際して現場の理解と納得を得ることが重要です。シックスシグマは工程のばらつきを減らし、品質を向上させることで、製品の不良率を低減します。これによりリワークや廃棄コストが削減され、安定した生産プロセスを実現できます。 とは言うものの、組織がある活動を展開し始めるのは大変なエネルギーが必要です。ただ、その第一歩は、当該手法が当該組織にどの程度のメリットがあるのかを示すことではないでしょうか。 この

        • 17. シックスシグマ;現場での測定システムの限界とその克服法

          シックスシグマにおける測定システムは、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。早速、例を挙げてみましょう。 あるプロジェクトの効果金額を算出すると、数百万円/月に及ぶことが判明しました。それは製品の強度を検査後、所定の強度に満たない製品の廃棄コストが算出根拠に挙げられていました。 各事業部門のブラックベルトが参集する会議でこのことが議題に挙がり、そのプロジェクトでは、製品の強度が低いことが問題なのではなく、測定の精度が低いことが問題であることが推定されました。実際、測

        • 20. シックスシグマ・ブラックベルト:現場と経営層の間で板挟みになった時の対処法、 4. シックスシグマ導入による現場のモチベーション低下の防止策

        • 5. シックスシグマプロジェクトの選定基準はどうする?

        • 16. 19. シックスシグマのメリットを現場に納得させる方法、及びシックスシグマ導入初期段階での小さな成功体験をどう共有するか?

        • 17. シックスシグマ;現場での測定システムの限界とその克服法

          12, 13, シックスシグマと他の改善手法の融合およびデータ分析ツールの課題と解決策

          シックスシグマは、品質管理やプロセス改善のための強力な手法として広く知られていますが、他の改善活動、例えばカイゼン(継続的改善)との併用によってさらに効果を発揮することができます。そういった中で、シックスシグマのプロジェクトで使用されるデータ分析ツールには現場からの不満が多く、その解決策を考えることも重要です。本記事では、シックスシグマと他の手法をどのように融合できるか、また、データ分析ツールに関する現場の声とその解決策を探ります。 1. シックスシグマと他の改善手法の融合

          12, 13, シックスシグマと他の改善手法の融合およびデータ分析ツールの課題と解決策

          7. シックスシグマがもたらす現場の「疲弊感」とその対策

          シックスシグマは、業務の効率化や品質向上に非常に有効な手法です。しかし、シックスシグマのプロジェクトが長期化するにつれ、現場やプロジェクトチームに疲弊感が広がることがあります。本記事では、シックスシグマが現場にもたらす疲弊感とその対策について詳しく解説します。 1. プロジェクト疲れーブラックベルトに漂う疲弊感シックスシグマプロジェクトのリーダーであるブラックベルトやグリーンベルトは、プロジェクト管理や改善活動に大きな責任を持っています。しかし、プロジェクトが複数にわたった

          7. シックスシグマがもたらす現場の「疲弊感」とその対策

          3. シックスシグマを導入したが、目に見える成果がない場合の対処

          シックスシグマは、多くの企業でプロセス改善やコスト削減に利用されてきた効果的な方法です。しかし、導入しても目に見える成果がなかなか出ない場合、企業や現場で不安が高まることがあります。本記事では、成果が見えない場合にどのように対処すべきか、効果的な見直し方法や現場での受け入れ方について解説します。 1. 効果金額が少ないと感じるプロジェクトの見直し方シックスシグマを実施したプロジェクトの効果が、期待よりも少ないと感じることはよくあります。いや、ブラックベルトは、その上司にあた

          3. シックスシグマを導入したが、目に見える成果がない場合の対処

          2. シックスシグマを実践する上での大きな落とし穴

          シックスシグマは、多くの企業で品質改善やプロセス効率化のために採用されています。しかし、導入の過程では思わぬ落とし穴に直面することがあります。本記事では、シックスシグマを成功させるために避けるべき落とし穴と、それに対処する方法を紹介します。 経営陣がシックスシグマに無関心!!銀の弾丸、魔法の勘違い シックスシグマの最大の落とし穴の一つは、経営陣がシックスシグマを「銀の弾丸」として誤解し、具体的な関与を怠ることです。シックスシグマは単なる一時的なプロジェクトではなく、継続的

          2. シックスシグマを実践する上での大きな落とし穴

          1. シックスシグマ導入の際、抵抗勢力との向き合い方

          シックスシグマの導入は、企業が品質管理やプロセス改善に取り組む上で非常に効果的な手法です。しかし、導入過程で多くの企業が直面する問題の一つに、従業員や現場リーダーの「抵抗勢力」が挙げられます。特に、長年同じ業務プロセスで働いてきた従業員や、既に別の改善活動を浸透させた場合、反発や抵抗が発生することが少なくありません。本記事では、シックスシグマ導入時に遭遇するであろう抵抗勢力とその対処法について記載します。 ZD(ゼロ・ディフェクト)が浸透した従業員との確執と解決策ZD(ゼロ

          1. シックスシグマ導入の際、抵抗勢力との向き合い方

          6.シックスシグマと既存のQCサークルとの違いと統合の課題

          シックスシグマとQCサークルは、どちらも品質改善を目指す手法ですが、そのアプローチや目的には明確な違いがあります。この記事では、これらの違いを解説し、どのように両者が組織の改善に貢献するかを探ります。 1. アプローチの違い シックスシグマはトップダウンのアプローチで、統計的手法を用いてデータに基づく大規模な改善を行います。一方、QCサークルはボトムアップで現場従業員による自発的な改善活動が中心です。 2. 目的と成果の違い シックスシグマは、コスト削減や品質向上など

          6.シックスシグマと既存のQCサークルとの違いと統合の課題

          シックスシグマの現場から

          本記事では、シックスシグマについて解説します。この手法は品質管理とリスク管理に不可欠であり、現代の製造業において非常に重要な役割を果たしています。最後に、「シックスシグマの現場から 課題・問題20選」として、導入した際に発生した20の問題や課題について記載しています(リンクがないのは執筆中です。随時更新予定なので気長にお待ちください)。 それでは、具体的な内容に入っていきましょう。 シックスシグマとはシックスシグマの基本概念 シックスシグマは、1980年代に米国のモトロー

          シックスシグマの現場から

          設計理論の考察(公理的設計:まとめ)

          「設計」―技術者にとっては耳心地のいい用語です(この部門に属することが心地いいかは?ですが)。とはいえ、設計と言っても、プロダクトを設計するのか、プロセスを設計するのか、いや、製造系ではなく建築系の設計なのか、言葉の概念が広いため、その理論も構築しにくいことが現状です(それがいいのか?)。 この記事では、公理的設計をキーワードに;  ①文献調査  ②設計公理とは?  ③上記をもとに設計者が陥りやすい共通の失敗の考察 について記載しています。 1.「設計」の概念ここでは、製

          設計理論の考察(公理的設計:まとめ)

          設計理論の考察(実践への応用): リサーチ段階(公理的設計)

          設計理論は、問題解決のためのシステマティックなアプローチとして非常に重要です。それは、製品やプロセスの設計において、品質、効率性、コスト削減、およびイノベーションを最適化する方法を提供します。 とはいえ、設計といえども、様々な分野があり(製造系、建築系など)、また、製造系に絞ってもプロダクト、プロセスなど多岐に議論があるかと思います。ここでは、製造系に絞り、この理解を深めることを目的にしていきたいと思います。 まずは、この理論の理解のために、第一歩として、「公理的設計」に

          設計理論の考察(実践への応用): リサーチ段階(公理的設計)

          電気自動車の需要減退とエンジン開発の復活

          *GPTs 自動ブログ記事作成を利用しています。 概要 近年、電気自動車(EV)の需要に変化が見られ、一部の自動車メーカーがエンジン開発を再び活発化させています。特に日本の自動車産業では、独自の技術開発によるエンジンの復活や、EV化への対応の遅れとそれに伴う巻き返しの動きが見られます。 エンジン開発の復活 マツダのロータリーエンジン復活: マツダは、11年ぶりにロータリーエンジンを復活させました。このエンジンは、プラグインハイブリッド車に発電用として搭載され、小型であ

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          コストと品質のジレンマ:X社の新素材開発の敗戦(ケーススタディ)

          *新素材の開発における典型的なケースです。 X社は、革新的な新素材の開発に取り組んでいました。顧客企業数社に加えて研究機関と共同で開発した素材は性能と環境面で優れており、業界からも高い評価を受けていました。 しかし、製造工程における課題が多く、特に、歩留まりは量産レベルには程遠いレベルでした。この時の開発チームは、性能面、環境面での業界からの絶賛がチームの眼を曇らせたのか、医薬品のように、出来てしまえば売れるものと錯覚させたのか、製造プロセスの効率化に注力せず、結果的に、

          コストと品質のジレンマ:X社の新素材開発の敗戦(ケーススタディ)

          新分野進出の落とし穴(ケーススタディ)

          *新分野へ参入する際によくある話です。 このケースは、長年、産業機器製造に特化していたX社が、自社の技術を用いて全く新しい市場に進出した事例を記載しています。新しい素材の採用と異なる業界の顧客への対応が主な焦点です。 長年にわたり産業機器の分野で特徴的な機器を製造してきたX社は、ついに産業機器以外の分野への進出機会を手に入れました。ある会合での出会いが、新たな商談へとつながったのです。 新しいビジネスでは、X社の既存技術を活用することになりましたが、使用する素材は従来の

          新分野進出の落とし穴(ケーススタディ)