6.シックスシグマと既存のQCサークルとの違いと統合の課題
シックスシグマとQCサークルは、どちらも品質改善を目指す手法ですが、そのアプローチや目的には明確な違いがあります。この記事では、これらの違いを解説し、どのように両者が組織の改善に貢献するかを探ります。
1. アプローチの違い
シックスシグマはトップダウンのアプローチで、統計的手法を用いてデータに基づく大規模な改善を行います。一方、QCサークルはボトムアップで現場従業員による自発的な改善活動が中心です。
2. 目的と成果の違い
シックスシグマは、コスト削減や品質向上など、企業全体のパフォーマンス向上を狙った明確な数値目標を設定します。これに対して、QCサークルは現場の士気向上や日常業務の改善を目的とし、短期的な成果を重視します。
3. 活動範囲と手法の違い
シックスシグマは、全社的なプロセス改善を対象とし、DOEや回帰分析など高度な統計ツールを使用します。QCサークルは、特定の工程や職場内での改善活動に限定され、基本的なQC七つ道具を活用します。
4. 成果の評価
シックスシグマでは、定量的なデータを基に経営指標に直結する成果が求められますが、QCサークルは現場レベルでの改善が評価されます。
5. 現場の実際
本記事執筆者は電機メーカーでシックスシグマを経験しました。その組織では一昔前はQCや提案制度も実施されていましたが、その頃には形骸化されており、カンフル剤的にシックスシグマを導入した面は否めません。
ある程度の企業規模であると、QC大会(成果報告会)が社外メンバーを招待して実施されているケースに見られるような”伝統的過ぎて止められない問題”があります。これにシックシグマを加えることは従業員が疲弊してしまいますし、使用する技法が似ているからと言って、安易に銀の弾丸を求めるのは危険です。
(プロジェクトで解決することも多い課題も多く、全社的な活動としてのシックシグマはますます従業員の本業への活動時間を削ってしまいます)
対照的に、規模の小さな企業において、メンバーにQCの素養が認められない場合は、QCサークルは有効です。問題解決に加え人材育成も視野に入れることができるからです。さらには、QC手法を使用し日常管理が実施されれば、カイゼンにつながります。
いずれにせよ、”統合”を考える際は、シックスシグマの何に惹かれて、言い方を変えれば、QCサークル(もしくは当該企業でのカイゼン活動)での過不足を再考し導入の可否を決めることが大切です。
*実際、「シックスシグマを導入した」と言いたいだけの場合もあります。手段が目的化しないよう、課題に対してリソースに気を配りながら決めるしかありません。
まとめ
シックスシグマとQCサークルの特性を理解し、どちらが自社の改善活動に最適かを見極めることで、効率的な品質向上が期待できます。
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