
第七回海洋大日本美術展覧会出品「海空」絵葉書

1943(昭和18)年 5月18日から6 月 2 日まで、東京府美術館にて行われた第七回海洋大日本美術展覧会出品、青柳謹衛作「海空」の絵葉書です。
海洋大日本美術展覧会はとは、『1905(明治38)年、日露戦争の日本海海戦で、日本海軍がロシアのバルチック艦隊に勝利した5月 27日を祝した「海軍記念日」の行事として、海軍協会主催、海軍省の後援により「海軍思想を鼓吹し海洋に対する認識を高める」
ことを目的として開催された展覧会』です。

この第5回展でも、漁業や海洋風景などの海景画が多く出品されていますが、戦線拡大に伴い海戦画が増加していったようです。
海洋大日本美術展覧会は、絵画の展覧会であったのですが、「海空」はこのように彫塑です。聖戦美術展や大東亜戦争美術展の盛況をみて、第7回展では彫刻も展示されるようになったのかもしれません。
さて、この「海空」ですが、海軍搭乗員の姿を描いた彫塑ですね。
特徴的なのは、粘土を盛り付けてボコボコしたテクスチャーです。
これが実際の素材を感じさせてます。
それに、歌舞いた見栄の様なポーズ。映える彫刻であったと思います。
それと、右手に何かしら(フライトグローブ?)を握っているのですが、その姿が独鈷を握った「空海」の姿にも見えます。

つまりこの彫刻「海空」と「空海」とを掛けているのかも。
こじつけすぎでしょうか?
そんな作品を生み出した青柳謹衛ですが、あまり知られている作家とは言えません。
この素晴らしい作品も現存しているかどうか…
戦争画の一部は海外に持ち出されたことで残りましたが、戦争彫刻の多くは破棄されたのでしょう。
残念です。