光回線⑧(真田君への営業:前編)
私個人でできる起業への試算はすべて完了した。
まずは妻に報告しなければならない。子供もいるし来月には二人目も生まれる予定だ。
「いいじゃん!今を逃したら次起業できるタイミングなんて来ないよ!?」
結論を出すのが早い妻である。
そして遂に真田君を起業に引き込む為の、真田君への営業である。
「真田君、昨年話したこと覚えてる?ちょっと二人きりで話したいことがあるんだけど」
夜、仕事を終えて二人で食事をとる約束を取り付けました。
正直その日は営業をする気が全く起きず、稼働時間もずっとぼけ~っとしてました。
「ちょっとこれ見てほしい」
私が一生懸命作成した1年間の予算表を見せながら今いる会社と私が作る会社の違いをしっかりと訴えました。
今まで様々なお客様を相手に数えきれないほど営業を行ってきましたがこの真田君を勧誘する営業は今後の私の人生を大きく左右させる一世一代の営業です。
若干緊張します。
私が提示した真田君のメリットは以下の
①今いる会社のインセンティブより1件につき5,000円多く支払う
②自宅から営業エリアまで直行直帰OK
③無意味な会議は一切しない
④新人の教育に関しては一切かかわらせない
⑤目標数字を達成すれば残りの稼働日は全て休みにしてOK
5つです。
どうなんだ?
今よりどう考えても真田君の理想に合致してるだろ
悩む必要なんてどこにもないだろ
・・・
・・
・
「④と⑤はめちゃくちゃ魅力的ですね」
!!!
「もう一人一緒に引っ張れませんかね?」
「誰が欲しいの?」
「西山さんです。」
あいつか・・・・
西山は真田の同期で仲良くしていたのは知っていました。
決して利益にならない人材ではないのですが私自身は別にほしい人材でもないし若干のリスクを感じます。
というのが環境に甘える傾向があるのです。
厳しい上司と同じエリアでの営業になればしっかり回るのですがゆるいメンバーと同じエリアになればサボる傾向にありそれは私の目から見ても明白です。
真田君から西山の名前が挙がったとき、私、真田、西山の3人で会社を興せば多分、なぁなぁな働き方をするんだろうなぁという懸念が一番最初に浮かびました。
「わかった。」
拒もうかとも思いましたがまぁ西山でも赤字の人材にはならないだろうと言う考えと更に言うとそのリスクを冒してても真田君がどうしても欲しかったのです。