![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170242479/rectangle_large_type_2_f0aa2233585111059900f1efc12648ad.png?width=1200)
10年ぶりにテレビでバレーの試合を見たら、すっかりファンになってしまった話
あの日、テレビを見なかったら、こんな毎日はなかったかも。
今では毎週末のバレーボールの試合を楽しみにしている私だけど、2024年6月8日までは、こんな日々を過ごしているとは思ってもいなかった。
「バレーボール男子日本代表の試合が放送されてるよ」と聞いて、久しぶりにテレビで試合を見ることにしたのが、2024年6月8日のことだ。
軽い気持ちで始めたバレー観戦。
だけど、それが私の日常を大きく変えるものになった。
「え?これが本当に日本のチーム?」
日本代表のユニフォームを着た選手を見ながら、我が目を疑った。
10年ぶりに見た男子日本代表は、自分の記憶を全て塗り替えなければならないほど、強くなっていた。
コート上にいる選手の動き表情も、試合の流れも、自分の記憶の中にある国際試合のイメージとあまりに違っていた。
私の日本男子バレーのイメージといえば、高さと速さとパワーが勝る海外チームが、サーブとスパイクをぼんぼん決めていく。海外チームが圧倒的に強い。そんなふうに記憶していた。
のだが…。
目の前で試合をしている日本チームは、対戦相手(スロベニア)の高さやパワーに負けていなかった。パワフルなサーブやスパイクでも、日本は上げている。劣勢な場面でも焦る様子がない。
日本チームのレシーブもスパイクも、サーブもブロックも素晴らしかった。全てのプレーが、一瞬でも目を離したらもったいない瞬間ばかりだった。
「何これ。めっちゃおもしろい!」
スマホを片手に試合を見ていたけれど、いつのまにか目は、試合に釘付けになっていた。
久しぶりに見た日本代表メンバーは、「石川祐希」という名前に聞き覚えがあるなぁというくらいで、他の選手のことは全く知らなかった。「あの選手のここがすごい」ということも、全くわからない。
ただただ「何これ!めっちゃおもしろいんだけどーーーー!!!」という興奮だけで、試合を楽しんでいた。
うぅわ!拾った!決めた!止めた!!という興奮が止まらない中でも、とくに目を奪われたのは、#1 西田選手の背中だった。
高く飛び上がって相手コートにボールを打ちつけるサウスポー。#1の背中が、とてもとてもかっこよかった。
「こんな選手がいたんだなぁ」と、すごくワクワクした。
西田選手が大爆発する試合だったけど、他の選手もすごかった。誰もがカッコよくて、目を奪われた。
日本のコートにボールが落ちないし、スパイクは決まるし、マッチポイントをサービスエースで決めてしまう。
レシーブがほんとにすごい。やばい。
と思っていたら、またミドルでも点をとってる!もうなにこの人たち!!
そんでセッターのトスきれいすぎん?
まじで意味わからんくらい、強くなってないか、日本。何があったん?
全く予想していなかった試合のおもしろさにうううとか、わぁぁとか声を上げながら、ずーっと興奮していたら、日本の勝利で試合は終わった。
なんだこれ…。
中継が終わった後もずっと興奮していた。
いつの間にこんなに強くなってたんだろう。
日本男子代表の試合を見てこなかった日々を、軽率に悔やんだりもした。
でもこの時は、一過性の興奮と感動だと思っていた。
「バレーボールおもしろかったな。日本強くなったんだな」で終わると思っていたのだ。
私が見ていた試合は、バレーボールネーションズリーグ(VNL)という国際大会で、日本(福岡ラウンド)での最後の試合だった。
大会は、フィリピンラウンドとファイナルラウンド(ポーランド)と続くけれど、地上波の放送予定はなし。BSとU-NEXTでのみ配信されるとのことだった。
我が家はBSは映らないし、U-NEXTも契約していなかった。
だから、「偶然見れた試合で、最高に楽しい時間を過ごせた〜。日本すごいな〜。がんばれ〜」って感じで、この体験は終わっていくものだと思っていたんだよ。
思っていたんだけどな。
自分でもなんでこうなったんだろう?と心の奥底から疑問に思っているけど、私は今も、男子バレーボールに夢中になっている。
フィリピンラウンドが終わる前にU-NEXTを契約して、VNLの全ての試合を繰り返し再生し始めたのは覚えている。
けど、こんなにもバレーバレーバレーの日々になるとは…想像もしていなかった。
U-NEXTで毎日試合を見始めて、気づけば、YouTubeの検索・再生履歴も、バレーボールだらけになっていた。全選手が魅力的すぎて、再生が止められなかった。
代表チームの試合はオリンピックで終了したが、国内では、「SVリーグ」が開幕した。代表選手が所属するチームを中心に追いかけ始めたけど、全チームが魅力的で、どこを応援していいいのか今とっても困っている。試合を見るためのサブスクにも加入して、楽しみな週末が続いている。
振り返ってみると、私がバレーボールに完全にハマったのは、朝3時からの準決勝を見たときだったのではないかと思う。
日本時間の6月29日(土)AM3:00から、VNL準決勝の日本の試合が行われると知った時は、「起きれたら見ようかな」くらいだった。その時はまだ「絶対起きて見るぞ!」というテンションでもなかった。
前日の夜は友人と飲んでいて、帰宅したのが2:00ごろ。そこからなんやかんやで時計を見たら、2:50。「お、ラッキー試合見よ〜」と、軽い気持ちで配信を見始めることにした。
寝落ちするだろうと思っていた。本当に、寝落ちするまで、と思っていたし、寝落ちする自信しかなかった。
だがしかし、だった。
準決勝が日本のブロックポイントで始まって、うはっと声が漏れる。
もうしょっぱなから眠気は吹っ飛んだ。日本リードの展開で進んでいく。私はコンタクトレンズを外したことを激しく悔やんだ。(眼鏡じゃよく見えないんだよ…)
朝の3時〜4時台に、バレーボールのおもしろさを、これでもかってくらい浴びていたよ。
対戦相手は、私が初めて見た福岡の試合と同じスロベニアだった。
みんなでかい、サーブもスパイクも速い。予選ラウンドトップで勝ち上がってきた。勢いのあるチームだ。だけどもう、日本は勝てるだろうか?なんて思わない。
覚えたての選手の名前を追いかけながら、応援していた。ここぞってところで流れを持ってくる選手の気迫に心が震えたり、嬉しそうな笑顔に安心したりしながら、ただただ夢中で見ていた。
第3セットの終盤、連続のサービスエースを取られる場面があった。
日本は負けないぞと思っていても、胸がギュッとなってしまう。頑張れ、頑張れ、って声が出る。この時、実況と解説の声が途切れていて、会場の音だけが聴こえていた。なんとも言えず心細かった…。
実況と解説の声が戻ってきたタイミングで、相手がサーブミス。ホッとしたよ。
23−21。日本が2点を追いかける場面。
1点ずつ、ここからここからと、思っていたら、小野寺選手がサービスエースを取ってしまった!ひゃあっと声が漏れる。
高橋健太郎選手のブロックの駆け引きなどで24−24の同点に追いついた。
取って取られてのシーソーゲームが続く。
29−29となった場面で、先ほど連続エースを取られた相手のサーブターンがきた。思わず手を合わせる。
大塚選手がきっちり返す。(リベロの山本選手も拍手をしていた!)
わははあっと声が出る。
関田選手がトスを上げて、西田選手が決める。吠えた(私も吠えそうだったと思うよ)
追いついて、追い抜いて、日本は勝ちきった。
VNL初めての決勝進出の瞬間の歓喜が、こちら側にも流れ込んでくる。
試合が終わっても、私は眠れなかった。
上がりきった体温を、どんな言葉にしたらいいのか掴みきれないまま、その日を過ごしていたような気がする。
試合の勝敗が決まった瞬間、選手がワッと集まるのだけど、配信とは違う角度から撮っているこの映像を、何度も何度も見返していた。(いいシーンだ)
配信にはないこの視点。さいこうだった。 https://t.co/z5fXtH88Zd
— 栗原京子|まろんとよばれています (@k_marron_k) June 30, 2024
「すごい」って言葉以外で、この試合を語れる人を、心から尊敬した。
そして、リアルタイムでこの試合を見てしまったことで、私のバレーボール熱は加速していった。
7月1日の決勝戦もAM3:00開始だったが、「試合を見るために」起きた。意思を持って、起きた。こんなのもう「好きだから」以外、言いようがない。
対フランスの決勝戦は、3-1で負けた。
決勝戦の後、続けて行われた表彰式を見ながら、改めて、他国の選手はでかいなぁと思った。でもそんなのもう関係ないんだろうな、とも思えるくらいには、日本代表の強さを感じていた。
もう一つ上の色を、オリンピックで。たった1ヶ月しかチームを見ていない私でさえ、そう思っていた。
7月1日の決勝戦を見終わった後は、ただただ日本代表の試合が見たくてしょうがなかった。U-NEXTで繰り返しVNL2024を見ていた。
ある試合見終わったらもう1回。気になるシーンを巻き戻しながら、再生する。
サーブレシーブの時に、”トンッ”と軽く跳ねる瞬間が揃うところをもう1回、とか。
スパイクを決めた後のセッターとスパイカーのハグをもう1回、とか。
コート上の6人の動きでさえ1回では追いきれないのに、ベンチにいる選手たちの動きも気になってくる。巻き戻し巻き戻し、進めていく。
戦術とか、選手の細かな動きの意味を理解しているわけではなかった。ただ、試合を見ているとすごくワクワクした。ワクワクして嬉しくなって、何度でも見たくなった。とにかく試合のあらゆる場面がおもしろかった。
眠れない夜は、試合を流しながら目を閉じたりもしていた。バレーボールのテンポが、私にはすごく心地良かったのだ。
そして、現地で観戦しているファンの方が撮影した動画が、繰り返し再生の楽しさを倍増してくれた。配信には映らない選手の様子や、「あのプレーを別の角度から見た場合」の動画がたくさんアップされている。
「スマホでファンのSNS、PCで試合映像を再生」なんてもことも始めてしまったのだけど、それがまたなんとも楽しくて…。
バレーボールの「見たい瞬間」がどんどん増え続けていって、どれだけ見ていても全く飽きなかった。気づけばスキマ時間が、バレーボールで埋まっていった。
こうなったら、もう、止められない。
もっと試合が見たい。もっと日本代表を浴びたい。
YouTubeに上がっている、2023年の代表戦も繰り返し再生した。2023年も、強くておもしろい日本代表だった。
なぜこんなに強くなったのだろう。
その理由が知りたくなって、選手のインタビューを探し始めた。丁寧に取材された記事が何本もある。ずっと日本男子バレーを追いかけている方々の記事から、強い「チーム」になっていった歴史を少しずつ知ることができた。
楽しむための強さを持った人たちの、強さを持つまでの物語の一部にふれて、立ち上がれないでいる。
— 栗原京子|まろんとよばれています (@k_marron_k) July 11, 2024
ああかっこいい!すごい!って試合を観ていても楽しいし、引き込まれる(現にそうだった)。直近のVNLを見ただけで、オリンピックの開催が初めて楽しみになるくらい、心を持っていかれるチームだった pic.twitter.com/YTyVS25aCB
チームの歴史を少し知ってから、2023年に行われたオリンピック最終予選を見たら、1年遅れで泣いていた。ああ。この瞬間、もっとリアルに、肌で感じたかった、と心底思った。
(日本がオリンピックの切符を獲得した時の試合の相手が、スロベニアだった!)
パリオリンピックは、リアルタイムで見ることができて幸せだったと改めて思う。すごくすごくもどかしくて悔しい時間もあったけど。4試合をちゃんと見れた。テレビの前だけど、応援できて本当によかった。
人生で初めてオリンピックの開催が楽しみだったし、オリンピックで日本が負けて悔しいという気持ちを初めて体験した。
バレーが好きっていうと、「誰が推しなの?」と聞かれることもあるのだけど、返答が難しい。
「推しは?」と聞かれたら、全日本の背番号1から順に、プレー集などを見ながら話してみたくなる。
どの選手も、むちゃくちゃにかっこいい。
しなやかで、力強い肉体が美しく飛び上がる瞬間。
ボールに触れる指のやわらかさ。
真剣な表情と、破顔した時のギャップ。
コミュニケーションをとっているときの表情。
咆哮し自分と仲間を鼓舞する姿。
どこを切りとっても、かっこよくて美しくて。言葉では拾いきれない魅力を、選手一人一人が持っている。
試合を見るたびに、全ての選手のことが大好きになっていた。
そして、何より私は、「チーム」としての魅力にも惹かれていた。
「チーム」としての雰囲気、関係性に、私はとことん魅せられた。それは、チームの2年間を追った映像の影響も大きい。
バレーボールはチームスポーツなので、良いチーム作りなんて当たり前なのだけど、「日本でもこんなににぎやかで、フラットで、力強いチームが作れるんだ」という驚きと感動が、ずっと続いている。(そしてチームになることの難しさも知った)
2023年以前の試合映像を見ても、とても楽しそうにプレーする選手の表情が見える。いいチームだなと感じる。いろんな選手がバトンを繋いできたんだなと、今なら少し理解できる。(10年前も、いいチームだよね、という雰囲気はあったのかもしれない。私が気づけなかっただけで)
「どの選手が推しなの?」と聞かれた時に、「この人!」とすぐさま答えられないのは、私は、「チーム」を好きになったからかもしれない。
「このチームにいる選手」「選手たちの関係性」を見ていることが、とても楽しいのだ。(どの選手も魅力にも溢れていて、知れば知るほど「この人が好き」と特定の名前をあげることが難しくなっていったという経緯もある)
日本代表の試合や練習風景なんかを見るたびに、「いいチームだなぁ。好きだなあ」としみじみかみしめていたし、いまだに、かみしめている。
SNSでバレーボールのことばかり投稿しているので、友人から「めっちゃハマってるけど、なんでハマったの?」と聞かれる。これもまた難しくて。
「なんで?」と聞かれたら、「試合が本当に楽しくて、選手がめちゃくちゃかっこよくて、見ているとすごく幸せな気持ちになっていたのだよ」と答えることもできるけど、それだけでもないんだよなぁ。
いまだにしっくりくる言葉が見つからなくて、「なんでだろう?めっちゃおもしろいから?」と微妙な疑問系を残しながら、答えている。
日常生活にゴリゴリっとめり込むくらいにハマるものって、ハマる理由が言えそうで言えないものじゃないかなと、思いながら、「なんでこんなにバレーボールを見たくてしかたないんだろう」と、考え続けている。
10年ぶりに見たバレーボール男子日本代表が、私の週末を変えた。
「日本の男子バレーボールがおもしろい」
その興奮は、今もまだ、続いている。
(最後に)
バレーボールの試合見てみたいんだよ〜と思っている方は、SVリーグの試合会場へぜひ足を運んでみてください。チケットが完売している日程もあるけど、全ての試合でチケットが手に入らない状況でもないんです。
代表選手が多く所属するチームもあれば、そうでないチームもあります。どのチームも個性があってめっちゃ魅力的でおもしろいです。
「このチームが見たかったのにぃ」となる場合もあるけど、「知らないチームだったけどめっちゃおもしろかった!」もあるんです。私は後者なことばかりでした。おかげで好きな選手やチームが増えすぎて、てんやわんやな週末です。楽しいです。
チケットは、SVリーグのサイトから、試合日程を確認して買うことができます。(アカウントの登録が必要です)
試合のハイライト映像もあります。映像も良いけど会場の空気を浴びながら見る試合も良いですよ〜。
いいなと思ったら応援しよう!
![まろん](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/3033254/profile_1c2d62b97538c508c69cc5b38ee634bd.jpg?width=600&crop=1:1,smart)