見出し画像

朝、1日のはじまり

ふと目を開ける。
瞬間、自分が今どこでどんな方向を向いて何をしていたのか分からなくなる。
しかし数秒も経てば、一人暮らしの部屋の隅っこに置かれたシングルベッドの上で、いつもの通り頭を部屋に向けて寝ていたことを理解する。

半分しか閉めていないシャッターからは、白い光が見える。
7時くらいかなと思いスマホに手を伸ばすも、まだ時刻は5時48分だった。
早く起きてしまった。ここ毎日だ。時には0時や3時に起きることもある。
少なくとも7時までは寝ていたい。

休職前もよく早く起きてしまっていた。
仕事の日は、断頭台(出社)に行くまでにはまだ時間がある・・・とほっとし、束の間ではあるが助かった気持ちになっていた。
そこからは10分置きに、ハっと起きて時間を確かめて、「もう少し寝れる・・・」を繰り返したが、いよいよ起きなければいけない時間になると、心臓が冷たく締め付けられ、全身にそのひんやりとした感覚が広がった。
これからまた1日乗り越えなければいけないのか。

いつからか、休みの日も起きた瞬間から力が漲ってくるような朝を迎えられなくなった。
休職した今も同じで、毎朝、悲しいことに、「1日を始めなければいけない」という気持ちが湧き上がる。
朝起きた瞬間から、自分のこれから始まる1日にうんざりしているのだ。
なんて贅沢なんだ。なんてひどい思考なんだ。
…こんな思考になるまで、なんで自分の悲鳴に答えてあげなかったんだ。

今は、仕事も人との関わりも全てが恐ろしい。
ほんの少しの頼まれごとをされるだけで目の前が真っ暗になり、動悸が始まる。

心療内科では、一応、鬱病と診断された。
薬も処方してもらい、これから元気になれると期待していたが、数日副作用に苦しんだ。腕を持ち上げるのさえ気合がいる程の体の重さは、熱が39度あるんじゃないかと錯覚するほどだった。

服用してから3日経ち、体の重さはほとんどなくなった。
ここからが本番だと思っている。
薬の力を借りて、自分の思考の癖を変えていきたい。

仕事で必要だった「自分のことを過信しない」「先を見据えて悪い出来事に備える」という考え方。
大事だと今も思っているが、いつの間にか自分のことを一切信じないという思考に変わってしまっていたことに、休職してから気づいたのだ。
自分のやることを信じるな、今日はミスしてしまうかもしれないから気を引き締めろ、と自分に対して呪文のように毎朝唱え続けた。

悪いことだと思っていなかった。社会人として当たり前だと思っていた。
でも、本当の自分はずっと泣いていた。
自分に信じてもらえないというのは、どれほど悲しいことか。

自分のことを、もう自分で泣かせないように。
朝に絶望しない日が来ることを願って。
自分が、幸せで健康でありますように。

おやすみなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?