選ばれた人
世の中には選ばれたくても選ばれない人と選ばれたくなくても選ばれる人がいる。
ちなみに僕は選ばれたくても選ばれなかった人間だ。
漫画家になりたかった。
そして今回記事に取り上げるのは、漫画家の鳥山明だ。
鳥山明のエピソードを聞けば、紛れもなく選ばれた人だということが分かるだろう。
集英社に持ち込み、1発で才能を見抜かれてDr.スランプアラレちゃんを連載開始。大人気になる。
多忙のために連載終了を持ちかけたところ、編集部から3か月後に新連載をすることを条件提示され、鳥山は承諾してアラレちゃんは終了。
お分かりだろうか。
選ばれた人間だと、雇うがわ側が《辞めさせてくれない》のだ。
選ばれなかった人間は、辞めたい時に辞められるし、酷いとむしろ辞めさせられる。
僕はどちらかというと辞めさせられる人間だ。
そこからドラゴンボールが開始したが、これまた選ばれた人の宿命か、大ヒットを記録する。
当初はピッコロ大魔王を倒すところまでを予定していたが、あまりに人気が出たため今度はアラレちゃんと違い編集部は辞めさせてくれなかった。
スターの宿命だろう。
そうしてナメック星編、セル編…と節目の度に鳥山は連載終了を持ちかけたが、やはり人気があるため辞めさせてくれなかった。
魔人ブウ編が終わったことで、やっと連載から開放されたが、当初は「どうせ売れない」と思っていたのだそう。
なのでペンネームなどを考えずに本名でやっていたが、これは本当に後悔しているらしい。
本人は自信もなく無欲だったため、本当に《選ばれた人》なんだろう。
背景を描きたくない、ベタが面倒くさいという妥協の理由で闘う場所に荒野を選んだり、スーパーサイヤ人を作ったりをしているが、結果的にそれがむしろ斬新かつセンスがあるため、人気を後押しする結果になっているという凄さ。
求められないどころか辞めさせられる…、力を入れてもセンスが良くならない…僕とは真逆だ。
選ばれた人は本当に凄いと思う。