ゲームセンターが恋しい
鉄拳のオフラインイベントがあったらしい。
ゲームセンターというのは、友達ができる場所だ。
いや…できる場所《だった》。
現代はインターネットの時代だ。インターネットが通っていない家庭はかなり少数派になったと思う。
ゲームセンターにある筐体も最近は漏れなくオンライン対応だ。遊び相手が近くにいなくても、遠くにいる全国のゲームセンターに集う人と通信遊戯ができる。
しかしこの現実に僕は寂しさを覚える。
元々ゲームセンターに行っていた理由は、オフラインで、つまり店内で向かい合って対戦していたから。
そうすると話す機会が自然と出来る。そして友達が出来るという流れになる。
ゲームがコミュニケーションツールになるのだ。
ネット通信なら家庭用の据え置きゲーム機器でも出来るし、もっと言うと家庭用ゲーム機器やゲーミングPCの方が高性能なのだ。
つまりゲームセンター限定のゲームをプレイする以外でゲームセンターに行く意味がなくなる。
インターネットは便利だが、生活をドライにしてしまう。
対戦したら用済みバイバイ。セフレのような関係。
便利と楽しさは比例しない。だからといって不便だから楽しいというわけでもないとは思うが、工夫しようと試行錯誤するのは楽しそうだ。
オフライン時代のゲームセンターでは、その不便さがあった。いい意味で荒削りというか。
モンスターハンターライズはストレスがないらしい。
理由としては、《ロード時間が短い》《移動が楽》《ハンター側が強い》というような理由だ。
しかしユーザーによるとすぐ飽きるとのこと。
タイムパフォーマンスという価値観なんだろうか。
とにかく効率よく、便利に、無駄をなくそうという価値観。
よくスマホゲームには反映されている。オート戦闘システムや放置成長システムだ。
この先、世の中はどんどん便利になっていくだろう。
僕にとっては楽しくなくなっていく世の中だ。
オフラインで会うのは不便だと思う。わざわざ交通機関なり労力なりを使わないといけないからだ。
しかしその分楽しさもある。人と仮想世界で接するのと、現実世界で接するのとでは、やはり気持ち良さが違う。
意思疎通もとりやすい。
初めてひとりでゲームセンターに行ったのは、高校生の時だったと思う。
本当に楽しかった。
「あの…対戦しませんか?」
オンライン機能が無いから、自然と話す流れになる。
自分から話しかけたり話しかけられたりと、コミュニケーションの練習にもなった。
同じ趣味を持った人間が集まる場所。そしてその趣味はそこまでメジャーなものではない。学校生活では出会えない類いの仲間。だからこそ刺激的だった。
この経験は僕の人生にとって間違いなく大きな財産になる。
しかしこの先ゲームセンターがオフライン路線に進むことは無いだろう。
現実世界に居場所が無い僕は、今日も仮想世界にのめり込むのであった。