「夏の午後に、落ち着いて。」 (詩のようなもの)
夏場、水と混ざる鮮やかな空色の下で。
透明な袋が揺れる。
どこでもきっと、見るような光景。
……けれど、そんな夏はもう。
終わるみたいで。
考え深さと、未練を持って家に帰る。
息をつくコンクリートジャングルに、
見えてくるのは別世界。
普段見馴れた景色が移ろう。
生い茂る草木に。
反射する太陽光に。
日々、宝石のような美しさを感じていた。
階段を上り、玄関を開ける。
透明なその袋が、ドスンと音を立てる。
窓を開けて。
道すがらにみたコンビニに
置いていた夏。
(……そろそろ、夏とともに廃棄されるのだろうか。)
なんだか、寂しくなって。
手を伸ばした先。
……気付けば、チリンとかねの音が鳴っていた。
扉を開けて、考える。
「……さて、どんな風に食べようか?」
目の前には、
普通の冷やし中華。
なんの変哲もない、夏の風物詩。
少し思案して、
冷凍庫を開けて。
四角い氷を取り出した。
ついでといわんばかりに
冷蔵庫からサイダーを取り出す。
盛り付けながら、想いを馳せる。
色とりどりの具材達の上から、
シンプルにタレを流しかけた。
シュワシュワ、とくとくと。
サイダーが夏を鳴らす。
カラカラと、そこに氷が入る。
冷やし中華には、足した水とラー油を入れて。
扉からは、優しい風が吹いていた。
「いただきます。」
……そんな、何気ない日常が終わる。
そして、また別の何気ない日常が顔を出す。
こんな無常感と、夏を噛み締めて。
(……四季って、いいな。)
夏と、冷やし中華と、サイダーの。
ささやかな幸福に浸って。
そんなことを想い描いた、
……ただ誰かの、夏の昼下がり。