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無関心オットと戦うヨメ!㉖〜史上最悪のバトル〜
季節外れな見出し画像は、今年撮った八重桜🌸桜の品種は八重桜が一番好き。密集してぽってりと咲くそのフォルムが可愛い。
さて前回はアスペルガーの特徴を持つ主人(オット)と、その妻(ヨメ)である私が結婚する前に同棲をしていた時の話を書きましたが、今回もその続きです。
オットの屁理屈(当時私はそう思っていたが本人は大真面目だった)に呆れて取り合う気も失せた私は彼に関わる面倒なことは放置して考えないようにしていました。
いつも、話し合いに至る前にどんどん問題の本質からズレていくオットの思考を、その都度軌道修正し向き合い続けながら、更にこちらの意思も伝えていくのはあまりにも果てしない作業に思えて、オットとのコミュニケーションから逃げ出す方が楽だったのです。
前回の記事↓
大きな違和感
前回の記事にあるように生活費の事で揉めた数日後に少し落ち着いてから、とりあえず彼が囚われていた「消耗品」についてだけはどうにかしなきゃと思い、彼に分かるよう丁寧に、それは言葉のあやであり誤解だという事を説明し、
"2人で共有する生活用品"と訂正したので、彼がいちいち細かくそれが消耗品かどうかを確認する事はなくなりました。
ただ私の中には依然としてモヤモヤしたものが残っていて、たった一つの"言葉の見解違い"を正したところで、問題解決とは思えませんでした。根本的な問題はそこではない別の大きな部分だと思っていたからです。
最初はオットが屁理屈を並べて私に喧嘩を売っているか、ドケチすぎてお金を出したくないかのどちらかだと思っていましたが、オットの様子を見ているうちに、どうやら彼は私をおちょくってるわけでも、お金を出し渋っているわけでもなさそうだという結論に至りました。
私がオットとの生活を始めた時に細かい約束事を取り決める際、彼との会話の中で発言した内容は
「じゃあオットは食費と生活用品ね、生活に使う消耗品とかそういうの」
というものでした。そこを額面通り捉え、大真面目に私が購入してきた物が消耗品かどうか確認し、きっちりとその消耗品の代金をくれていたのです。(今ならわかりますが、恐らく消耗品であればどれだけ高額でも疑問を持たずに出してくれていたに違いありません)
私は、そんなオットと生活していく上で違和感を感じ続けていました。
ーーー彼は根本的に人と違う。何が違うかと言われれば説明はできないけれど、他の人と明らかに違うーーー…
…それをオットに指摘出来るほど明確な言葉が見つからないし、いつも本質からズレたところで物事を解釈するような彼に、この微妙な違和感を伝えるのは一生かかっても無理な気がしてなりませんでした。
根本的な問題から目を背け続けた
そんなモヤモヤを抱えつつも、結局のところ私はオットが好きでもちろん愛情もありました。それは今も変わりません。愛情がなけりゃとっくの昔にこんな面倒くさいやつとはサヨナラしてさっさと海外留学していたはずです笑
当時も普段は普通に仲良く楽しく過ごしていたので、喧嘩をして心身共に疲労するのも嫌でした。心の中でモヤモヤが渦巻く問題を、
(まあいいや…喧嘩したくないし考えないようにしよう)
と保留にしたまま放り投げるようになりました。本当は、その都度問題が起こるたびに軌道修正していかなければいけなかったのに、私はそのまま目を背けるばかりでした。
彼は失言が多いタイプだったので、私は心の中ではしょっちゅう彼の発言に引っかかっていました。
(は?今のどういう意味?)
(それわざわざ言わなくて良くない?)
…とイラッとしつつ、極力揉めたくなかったのでグッと言葉を飲み込んでいました。
史上最悪の大喧嘩
そんなある日、事件は起こりました。
当時私達の住んでいたアパートは、彼の職場までは車で5分で行ける距離でしたが、私の職場までは電車を乗り継いで1時間以上かかる場所でした。
そんな事情から、彼の方が先に帰宅している事が多かったのですが、もちろん何か家の事をしてくれているわけではありません。
その頃私が勤めていた会社が繁忙期だったので、
"強制ではないと言いつつ暗黙の了解で断ってはいけない残業"
をしてヘトヘトで帰路につきました。地下鉄に揺られながら、私はため息をつきました。
(オットは2時間くらい前に帰宅しているはずだけど、スマホをいじっているかテレビを見ているに違いない。あーあ、帰ってからご飯作って家事するの面倒くさ…)
…と、私はとても気が重くなっているのに、手にはオットの好きなケーキショップの箱。
その日の昼休み、職場近くのケーキショップで、オットの大好きなロールケーキを買い、職場の冷蔵庫で帰宅時間まで冷やしておいたのです。残業したら閉店時間内には行けないので、昼休みにいそいそとオットの好きなお店に足を運び、そのお店で彼が一番好きなロールケーキを購入していた私…彼に対してどれだけ心の中で悪態をついたって、行動はいつも彼の為、何事も彼優先。惚れた方の負けというよく聞く言葉が身に沁みました。
私の一日の流れは、朝食と2人分の弁当を同時進行で作り、その後洗い物と時間があれば夕食の下拵えをしてから出勤し、帰宅したら洗濯を回しつつ急いで夕飯準備、食べ終えたら洗い物しつつキッチン片付け、洗濯物を干し、オットの作業着を手洗いし再び洗濯機を回す…というものでした。
そんな中、当然のような顔で何一つ家の事をしようとしない彼の態度にいつもイライラしていましたが、もしその事に私が何か言及をして、また見当はずれな答えが返ってきて、話が一方通行になり、私だけが疲弊する想像しか出来ず黙っていました。
私はまだこの頃、これだけ私が毎日バタバタ忙しそうにしていたら、さすがにいつか気づいてやってくれるかな…なんて、一生待ってもあり得るはずのない期待をしていました。
当時彼は技術系の仕事をしており、ある日汚れた作業服が洗濯かごに入っていました。
私はその汚れた作業服を見て彼に、
「この作業服って何の汚れ?」
と、尋ねました。汚れの種類よって洗濯する前の工程が変わるからです。
『オイル』
テレビから目線を外さず、一言そう答えた彼にイライラしながらも、私は洗面台でその作業服をサーッと洗剤で下洗いしました。
他の洗濯物もあったので、作業服だけ避けて、後から再度洗濯機で個別に洗う事にしました。他の洋服を洗濯機で洗っている間、作業着はそのまま浸け置きしておきました。
洗濯を回している間、私は食器を洗っていました。
彼は夕食が終わってからずっとテレビを見ていたので、私は声をかけました。
「今回してる洗濯がもう少しで終わるから、まずそれを全部干してくれる?その次に洗面所のバケツに手洗いした作業服が浸け置きしてあるから、それだけ別でもう一回洗濯回しておいてもらってもいい?」
すると彼は
『うん』
とだけ答えました。
私はその返事を聞き、やる事が山積みな中、とりあえず洗濯のことはもう考えなくていいのだと一安心し、食器を洗い終えると、明日のお弁当の下拵えを始めました。
小一時間が過ぎた頃、ふと旦那がいるリビングを見ると旦那は相変わらず座ってテレビを見ていましたが、私はてっきり、既に洗濯物第一弾を干し終わり、第二弾の作業着を洗濯中なのだと思っていました。そろそろ第二弾が終わる頃かと洗面所に行くと、洗濯機の電源が切れていたので、ああ、もう終わってると思い洗濯機のふたを開けました。
そこにはなんと…
第一弾の洗濯物が入ったままでした。
「え!?」
私は思わず声に出しました。
すぐ側にあるバケツに目線をずらすと、つけ置きされたままの作業着が…
能天気にテレビを見ているオットに沸々と腹の底から怒りが湧いてきました。
「ねえ洗濯干してって言ったよね、作業着も洗濯してって」
『ああ、あとでやる』
「あとでって…私、1時間前に言ったんだけど」
『やらないとは言ってない。自分のタイミングでやるから』
ここで私の堪忍袋の緒はブチッと切れました。
本当にブチッて音がなった!と思うほど見事にブチギレました。
「何様だよ。何も出来ないくせに毎日偉そうにしやがって。いい加減にしろよ」
低い声でそう言った私をオットはギョッとした顔で見ました。
それまで色んな感情を飲み込んで言うことを聞いてきました。何か意見がある時も冷静に伝えていましたが、さすがに我慢ができませんでした。堰を切ったようにとんでもない言葉使いでオットを罵りました。ここまでむき出しの怒りを露わに人にぶつけたのは初めてで、内心ここまでの暴言がポンポン出てくる自分にゾッとしていました。それ程までに鬱憤が溜まっていたと言う事でしょうか…
「人を家政婦かなんかだと勘違いしてるよな?なら金払えよ。こっちだって朝から晩まで仕事して帰って来てんだよ」
ここまできて、オットはやっと口を開きました。
『だからやらないとは言ってねえだろ。何なんだよお前その態度』
「態度!?毎日身の回りのことやってもらって当たり前みたいな顔してクソみたいな態度しかとれねえやつに態度云々言われたくねえんだよ!たかが洗濯干すくらいで自分のタイミングとか言ってんじゃねえよ!今やらねえとお前の作業着朝までに乾かねえんだよ!こっちは帰宅してから一度も休む暇なく動いてんだよ!タイミングなんてねえんだよクソじじい!」
く、くそじじい?…と、内心自分の言葉に動揺しつつ、私は自分の暴走を止められませんでした。
私はオットの胸ぐらを掴み、
「早くやれよ!」
と言ってシャツの襟を引っ張り上げて立たせました。
『わかってるよ、離せ』
オットは私がつかんだ彼のシャツを離そうとしてきたので、私は何の意地なのか、その手を振り払おうとしました。
その無言の攻防が続き、私はオットの胸ぐらを掴んだままオットを振り回しました。
(自分より20cm以上背が高い人を必死で振り回す小さい女…今思うと滑稽でじわる…)
振り回されてよろけたおっとは食器棚にぶつかり、その食器棚はものすごい音と共に倒れました。
ガシャーン!パリーン!
私とオットははぁはぁ息を切らしたまま、その食器棚を呆然と見つめていました。
どのくらいそうしてたか、ふとインターホンがなりました。
ーーーまずい。
私は直感でそう思いました。時刻は21:30頃でした。
インターホンのモニターを見ると、40代くらいの、見覚えのある女性の姿が映っていました。
私の部屋はアパートの2階で、1階の住人がこの騒音を聞きつけて来たのだとすぐにわかりました。
急いでドアを開けるや否や私は平謝りをしました。
「何?うるさいんだけど。どうしたの?」
女性は怪訝そうに、迷惑そうに尋ねました。
「はい、ちょっと喧嘩して、その…小競り合いのような…よろけてぶつかった衝撃で食器棚が倒れてしまって…こんな夜分に大変ご迷惑をおかけしました。お恥ずかしいです。お互い冷静に話し合いますので、本当に申し訳ありませんでした」
私は深々と頭をさげ謝罪したのち、彼女に少しお待ち頂いくよう伝え、急いで食後にオットと食べようと思っていたロールケーキをせめてものお詫びとして手渡しました。
下の住人が帰った後、私はめちゃくちゃなリビングに呆然と佇むオットを睨みながら、
「寝る。それ全部片付けて」
そう言って家事を全て投げ出し寝室へ向かいました。
それでも変わらない気持ち
とんでもない暴言を吐いて大暴れして、私はやっと布団の中で冷静になりました。
ーーー行為こそやりすぎたけれど、私の言ってることは間違ってないと思うしオットに謝る気もないーー…
私はぐるぐると考え始め、眠れなくなりました。
ーーー下の階の人に迷惑かけちゃったな。ロールケーキあって良かった。本当は家事が片付いたら、お茶入れてオットとゆっくり食べようと思ってたのにな…何でこんなことに…
カチャ、カチャ…
オットが割れた食器を片付ける音が聞こえてきました。私は、その音聞いて胸が痛くなりました。はらわたが煮え繰り返っているのも事実ですが、同時にやるせない気持ちにもなりました。
ーーー私は彼の事を心の底から愛している。本当はこんな馬鹿げた争いをしたいわけじゃない。ただわかり合いたいだけなのに、どうしてこうもコミュニケーションがうまくいかないんだろう…
もうダメなのか、別れた方がいいのか…と、私は本気で考えましたが、オットと別れたいとはどうしても思えませんでした。
逃げずにちゃんと話さなきゃダメだーーー…
私は起き上がると、リビングへのドアに向かいました。
長くなったので続きます☆