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海外で育つ子どもが日本の小学校を体験したら② 説得 もしくは合意形成
こんにちは。ユウと日本に4ヶ月滞在し、日本の小学校を体験して帰ってきてから、早4ヶ月が経ちました。もう同じくらいの時間が経っていることにビックリ!
ホームとなる場所での4ヶ月と、新しい経験をする場所での4ヶ月では、その濃さや時間の過ぎる早さが全く違うなと感じます。
あの4ヶ月を経て、今年はどうしようか?という話をユウやユウパパとしていたのですが
「今年はママの仕事もあって、日本の学校に行けたとしても夏休みまでの1ヶ月(またはもっと短い期間)になるけど、それでも日本の学校に行きたい?」
と聞いたところ
「行きたい!」
とのこと。ユウパパも
「去年、4ヶ月行ったのは良かったと思う。日本語と韓国語の使い分けが、明確になったよね。誰にどう話すのか、確実に分かっている感じがするね」
と、今年1ヶ月程度滞在することについても、まんざらでもない様子。
これ、実はかなりの進展なんです。
今回の記事では、日本での体験入学にある程度長めに行きたい!と考えた時の家族の説得、もしくは合意形成のプロセスについて、我が家のケースを書いてみます。
「数ヶ月ホームの国を離れて日本で体験入学をすること」への家族の考え方と感情を知る
我が家の場合、大きな事項は大体夫婦で話し合って決めています。夫はバイリンガル教育には賛成で理解・協力してくれる方ですが、数ヶ月韓国の小学校を休み、離れて暮らしてまで日本の学校を体験させたい…となると、すぐに賛成してくれるかどうかは微妙なラインでした。
折に触れて、彼がどんな考えを持っているのかアンテナを立てていたところ、どうやら「一ヶ月くらいの滞在やその範囲内での体験入学は、賛成。でも、それ以上は学校や習い事の中断も長くなるし、必要かどうか分からない」という意見を持っているようだということが判明。
当時まだ妹のまるちゃんが1才前だったことから、「そんなに長く離れて、まるちゃんがパパの顔を忘れたらどうする?」という不安や子ども達と長く離れる寂しさも感じていたようでした。
それなら、なるべく長く滞在する必要性とメリットを示すことが必要!と思い、夫にどんなタイミングでどう伝えるかを考えました。
気分良く話せるシチュエーションと雰囲気を作る
2022年3月のある日、夫が休みを取ってチャムシルにある湖の周り、マラソンをして一休みする人たちが立ち寄るおしゃれカフェへ二人で行くことになりました。
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「こんなところ、まるちゃん出産以来だね。ホントに久しぶり!」
「ユウも小学校生活に慣れて仲良いお友達もできたし、まるちゃんももうすぐ1才になるし、ちょっと一息つけるね。ここまで二人でよく頑張ってきたよね~」
と雑談しつつ、さりげなく自分たちを労い
「ここまでパパもたくさんサポートしてくれたよね」
感謝を表して穏やかな雰囲気作り。
「私も韓国に来て10年以上、1ヶ月以上日本に帰ることもなく、よく頑張ってきたと思うんだ」
「ユウも、ここまで日本語が理解できて話せるようになったのは、定期的に日本に行ってたこともあるし、パパの協力もあったし、本人の頑張りもあったし、今のところまではうまくバイリンガルに育ってると思う」
ここでパパが「いや、お前ががんばってたからだよ」と言ってくれて、ちょっと嬉しさを噛み締めました。
こうして徐々に、気分の良い環境で、リラックスした雰囲気で話せるように、話の本題が彼の気持ちに届くようにしていきました。
核心を伝える
本題に入る準備が整ったところで
「実は、ユウのことで話したいことがあるんだけど」と切り出し
・韓国の学校に行き始めて1年経ち、最近日本語で話そうとすると言葉が出てこないことが増えてきた。今はまだ日常会話はできているが、このままでは日本語は消えてしまうという危機感。
・本人も以前から日本の学校に通ってみたいと言っていること。
・語学習得の面からも、学習に必要な言葉まで年相応に身につけるには家庭だけでは足りず、学校に通うことが一番であること。
・学年的にも、私の仕事の都合からも、受け入れ先となる両親の年齢的にも、長期間行くには今年がベストであること。
・コロナ始め様々な条件が整えば、ということで無理に行こうとしているわけではないこと。
…などなどを、話していきました。
共通の目的を確認する
今思うと、私が息子のバイリンガル子育てをする上で持っていた「海外で育つユウが日本語をできるだけ年相応に身につけることは、私達家族にとってとても重要であり、家族の絆や息子自身の幸せにもつながっている」という価値観が、ある程度夫にも共有されていたからなのかな、と思います。
話を続けようとする私に、思ったよりも早く
「確かに、日本に長く行くなら今しかないね」
という言葉が聞こえました。
あれ?今、あっさり賛成してくれた?
「そ、そうだよ!もちろん、学校の方にも問題がないか確認するし、まるちゃんがパパの顔を忘れないように、毎日ビデオ通話するし!」
「そんなの当たり前だ!」
…ということで、大賛成、とまではいきませんでしたが、日本での長めの体験入学について、パパの理解を得ることができました。
心配事へのフォロー
とはいえ、手放しに大賛成!とはなりませんでした。
・いざ日本の学校に通ってみて、馴染めなかったらどうするのか?
・もしもいじめられたり、嫌な思いをすることがあったら?
・もう行きたくないと言い出したら?
良い体験をしてほしいと思って行くのに、ネガティブな経験をしてしまったらどうするのか?というのがパパの一番の心配事だったようです。
確かに、「絶対にない」とは言い切れない。しかし、そのことばかりを考えていたら前には進めません。
そこで、まずは夏休み前に1ヶ月通ってみて、本人がもっと行きたいと言ったら夏休み明けも可能な範囲で続けて日本の学校に行くという折衷案を取ることにし、息子にもそのように確認しました。
他の家族のやりたいことも応援する
余談にはなりますが、当時夫が打ち込んでいたことが山場に入っていたこともあり、しばらく一人で韓国を離れる計画があったのですが、そちらも応援することで背中を押し、私と子ども達は日本に行き、パパは自分のプロジェクトに集中する、という流れを作りました。
日本で体験入学をすることで数カ月間家を空けることになるので、残される立場の夫が孤独感を感じないように、ということも気をつけようと思っていました。
家族の誰かがやりたいことをすることで、他の家族が極端に我慢したり、辛い思いをすることがないように…というバランスは、体験入学だけでなくあらゆる事項でも通じそうですね。
まとめ
100%意見が一致しているわけではない事柄について、話し合いを通して説得、もしくは合意形成をする場合のプロセスについて書いてみました。
1.相手の考え方と感情を知る
2.気分良く話せるシチュエーションと雰囲気づくり
3.共通の目的を確認する
4.核心を伝える(現状維持のマイナス点・対策を講じた場合の予測など)
5.心配事へのフォロー(対策)
6.他の家族のやりたいことも応援する
この流れ通りきれいに会話が進んだわけではありませんでしたが、なんとか夫の同意を得ることができ、いよいよ韓国と日本、両方の学校に連絡を取って、体験入学に行くための手続きを始めることになりました。
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