2023年9月の読書まとめ
読書数
読書数トータル---15冊
紙の本---8冊
Audible---7冊
Kindle---0冊
ひとこと
いよいよ読書の秋が始まりましたが、残暑が厳しくてまだまだ字が目に入ってきません!
8月の10冊から冊数は伸びて9月は15冊の読書でした。とはいえ半分ほどはAudibleなので、耳で増やしたという感じです。
今月読んだ『独学の地図』という本の中で、独学とは、資格取得のための勉強の類のものではなく、自由研究のようなものである、という意味の記述があったのですが、なるほど私の読書は自由研究のようなものと考えたらより良くなるのか、という気づきがありました。
自由研究というからには、今後はもっとテーマ性を意識した読書を極めたいよね、と思った9月でした。
今月読んで良かった本6冊の感想(読み終えた順)
頭のいい人が話す前に考えていること 安達裕哉
特別な目的はなく、なんとなく手に取ってみた本ですが、今年読んだビジネス書の中で最も読んで正解だったなと感じた一冊です。
ビジネスの世界ではもちろん、プライベートの何気ない会話でも役立てられそうな法則と思考法が、大変わかりやすく書かれています。
ここに書かれていることを実践する事で、自分の思考が深められ、目標や目的の発見から達成まで持っていく事が出来そうな気がしています。
実践には習慣化も必要との事だし、あらためてノートを取りつつ再読する必要があるかなと思いました。
著者の方が書いた他の本もチェックしてみたいです。
リバー 奥田英朗
600頁越えの鈍器本なので、読み始める決心がつかず、しばらく積読にしていましたが、読み始めてしまえば結末を知りたい一心であっという間に読了。めちゃくちゃ面白かったです。
犯人はすぐにわかるんですが、その確証が得られないまま話が進み、これだけ読ませておいて、まさかこのまま終わるんじゃないでしょうね?!と疑いながら読む、そのドキドキハラハラ感がたまらなかったです。
ぜひ映像化して欲しいと思います。
『確信犯』の言葉の意味を間違って使っていらっしゃるのが、ちょっと気になりましたが…もう通俗的には通る意味だから良いのかな?
黄色い家 川上未映子
純文学作家の川上美映子さん新境地、という感じの本格長編小説です。
1人の少女がある女性と出会い、ひとつの家を作り上げていく、その数年を描いた物語。
狭い世界の中で、偏った価値観の中で、彼女にとって何が正しくて何が罪なのか、といった事に焦点が当てられています。
お金というものが彼女にとってどういう存在なのか、ということも興味深いです。
結局、主人公は自分のためにお金を使う事がなかったのではないかと思います。最初に奪われた経験が、お金への価値観を誤らせたのでは。
一生ついてまわるその価値観、意外と大切だなと感じました。
この夏の星を見る 辻村深月
辻村深月さんの100%純粋な青春小説。
コロナ禍が始まり、先が見えずに一番キツかった2020年の中高生たちが、星を見る、という事で繋がって、心の交流を持っていく物語です。
コロナ禍元年の特殊な状況下での、それぞれの気持ちや閉塞感がリアルに描かれているなと思いました。
その状況で青春するために何が出来るか?誰かのために何が出来るか?
登場人物一人ひとりがしっかり考えて、全員優しい小説なので、爽やか過ぎるという感想を持つ読者もいるかと思うのですが、私は久々に純度の高いものを読んだな、と心が洗われる気持ちになりました。
ガラスの海を渡る舟 寺地はるな
発達障害グレー?の兄と、幼少期から良い意味でも悪い意味でも特別視されてきた兄に嫉妬する人生を送ってきた妹、2人の10年を描いた物語。
お互いに避け合って生きてきたはずの2人が、一緒に祖父のガラス工房を引き継ぐ事になり、その関係性が少しずつ変化していくのですが、ガラス作品を制作する上で出会う人々との交流や、2人の心の有りようの描写が丁寧で素晴らしかったです。
もう少しテンポ良く話が展開するとなお良かったかなと思いましたが…。
道と羽衣子、それぞれが今後幸せに生きていけますようにと願いたくなる、温かい作品でした。
極楽征夷大将軍 垣根涼介
直木賞受賞作。2ヶ月以上かかってやっと読了。決してつまらなくてではなく、上下2段組の作品はじっくり読みたいので時間をかけて読みました。
足利尊氏の生涯を、実弟の直義と足利家の執事だった高師直の2人の視点から語った物語ですが、一言でまとめると『足利尊氏は能天気キャラだった』という話でした。
読者は直義らとともに『尊氏〜しっかりして〜』と思いながら、その活躍を見守るのですが、当の本人が別に活躍したいと思っていない様子なのがなんとも良い感じ。
この時代のドラマや映画はあまりないので馴染みがなかったですが、意外に面白いと思いました。
今月のリレ読み
※『リレ読み』とは、リレーションを意識した読書の略。
例えば、フィクションであるファンタジー作品とノンフィクションであるドキュメンタリー作品など、
まったく関係のない本と本との共通点や関連を、意識的に見つけながら読んでいく事です。
本から社会問題や世の中のトレンドを見つけていく読み方です。
頭のいい人が話す前に考えていること 安達裕哉
この夏の星を見る 辻村深月
今月読んだ、安達裕哉さんのビジネス書『頭のいい人が話す前に考えていること』と辻村深月さんの青春小説『この夏の星を見る』。
この2冊に共通するテーマは『知性が人生にもたらすもの』だと思って読みました。
両方ともとても良かったので、皆さんにおすすめしたいのですが、読む順番としては、先に『頭のいい人が話す前に考えていること』を読んで、頭が良いってそういうことなのね〜と感心してから、『この夏の星を見る』の登場人物である中高生たちが、困難の中で知性を使って自分たちの青春を取り戻そうとしていく姿に感動する、というのがオススメです。
私自身は、リレ読みを意識した訳ではなく、偶然その順番で読んだのですが、『この夏の星を見る』を読み進めていくうちに、2冊に共通するワードなどが登場することに気づき、次第に『知性が人生にもたらすもの』を考えながら感動を深めて行ったのでした。
皆さんも、もしよかったら合わせて読んでみてくださいね。
他の本でも、ノンフィクション系の本とフィクションの本の共通テーマを探しながら読むと、意外なものが見えてくるので楽しいと思います!
今月読んだ本一覧
頭のいい人が話す前に考えていること 安達裕哉
レーエンデ国物語 多崎礼
リバー 奥田英朗
黄色い家 川上未映子
なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか 渡瀬裕哉
試着室で思い出したら本気の恋だと思う 尾形真理子
日本の消費者はどう変わったか 松下東子
「お金」で読む日本史 本郷和人
古本食堂 原田ひ香
この夏の星を見る 辻村深月
ガラスの海を渡る舟 寺地はるな
忘れる読書 落合陽一
独学の地図 荒木博行
おいしい子育て 平野レミ
極楽征夷大将軍 垣根涼介
今読んでいる本
鈍色幻視行 恩田陸
レーエンデ国物語 月と太陽 多崎礼
未明の砦 太田愛
ペテロの葬列(上) 宮部みゆき
21世紀の「男の子」の親たちへ
高大接続の本質 溝上慎一
来月に向けて
年末も見えてきて、今年のトータル冊数も気になってくるところ。
一方で、冊数だけでなく、自分の中での読書テーマも持ちながら読書を進めたい気持ちも大きいです。
興味の持てるテーマを探りつつも、面白そうな小説もたくさん積読しているので、どんどん読み進めていきたいと思います。
具体的には、青山美智子さんの『リカバリー・カバヒコ』、東野圭吾さんの『あなたが誰かを殺した』などなど。楽しみです。
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