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小林幸子の歌う“Lemon”を語る
小林幸子のさっちゃんねるで小林幸子がうたってみた動画を投稿している!
その第4弾でなんと!米津玄師の『Lemon』を歌っていた。
投稿から3週間で20万回再生され、現在も再生回数を伸ばしているようだ。
(2万ぐらいいけばいい方かなと思っていてごめんなさい)
この曲は盆踊りのカラオケ大会に小林幸子が変装してLemonを歌ったら気づかれるかというテーマでTBSのモニタリングに出演し、初披露していた。
YouTubeで歌ってほしい曲を募集したところ、この曲に多くのリクエストがきたらしい。もう一度Lemonを聴けるなんて私が一番喜んでるよ!はい。
私は小林幸子のうたってみた動画が大好きだ。
ぶっちゃけると本人の持ち歌よりも好きなくらい!
なぜなら、小林幸子がこの曲を歌うのか!やっぱり上手い!という感動があるのと、歌い手として小林幸子が曲をどう料理するのか、こう歌ってきたかぁ!というのが非常に勉強になるからだ。
今回のうたってみたのLemonはすごい。
第一声を聴いただけで鳥肌立ちすぎて鳥になれるかと思ったぐらいだ。
せっかくnoteをやっているんだから、この感覚を文字に落とし込みたい。
クラシックを学んできた歌い手目線で、小林幸子がうたうLemonをきいて感じたことを語り散らかしていきたいと思う。
録音環境など関係ない
この動画はつかみのトーク→歌唱→締めのトークという構成だ。
トークが終わるとおもむろにスマホから音源を流し、小林幸子がうたい出したその瞬間度肝を抜かれた。
めちゃくちゃ声量がある!
いや、声量という言葉は適当ではないかもしれない。なんというか音圧?
圧がすごいのだ。画面からスピーカーからくりだされる圧が。つかみのトークが軽い感じ喋りだったから余計に歌声とのギャップに驚く。
しかもこの動画、ご覧になった皆さんもお分かりかと思うが、マイクも通していなければきっと音をいじるような編集もしていない。伴奏はスマホから流れる音源、撮影もスマホやタブレットかなんかでしているのであろう。
なんの装飾もないほぼほぼ生の歌声。
それでこれである。
多分風呂場で何気なくうたってもこのレベルの音が口から流れ出すのだろう。
プロ歌手の地力をまざまざと見せつけられた。
日本語を56年うたってきたということ
それにしても、この圧の正体はなんなんだろう。
声量はもちろんだが、私は日本語ではないかと思う。
発音が明瞭で歌詞がとてつなく耳に刺さるのだ。軽い気持ちで聞き流そうと思っても聞き流せない。
間の置き方、子音の扱い、日本語の響きやアクセント、どうすれば歌詞が伝わるか知っている。さすが56年ものあいだ日本語をうたい続けてきただけある。説得力が桁違いだ。
さすがの仕草と目線使い
普段の小林幸子コンサートは、演歌だけではなくジャズやシャンソン、ポップスからイリュージョンやらコント(!!)まで盛りだくさんで、一度見にきたら満足すること間違いなし!のエンターテイメントショーだ。
その中でも場面に合わせてくるくる変わる表情がとても魅力的だと感じるが、表情や仕草で曲の世界観をパッと表現できるのはさすがだと思う。
今回のLemonでも、伴奏が流れるとあっという間に『歌手 小林幸子』の顔に切り替わった。
目線のやりかた、手の動かしかたひとつで自身のLemonの世界を作りあげている。
きっとこれをずっとカメラ目線でうたわれていたらずいぶん違う印象になっていたはずだ。
自宅で撮影された家でうたってみました動画だが、小林幸子の後ろにはきらびやかなステージと華やかなダンサーが見えた。
いやぁ、パクりたいこの技術。
発声からみる小林幸子
以前キャパ200人の教会で小林幸子の歌を間近で聴く機会を得た。
うたっている人をみていると、その人がどこの筋肉をよく使っているか、逆に使えていないか見えてくる。自分の筋肉が共鳴する感覚なのだが、この人は背筋が凄く強いとか腹筋めっちゃ使ってるなとか感じることがある。それを私は声の通り道が見えると勝手に呼んでいる。
普段の小林幸子コンサートはキャパ1,000人オーバー、顔も米粒ぐらいにしか見えないし、整った音響設備から流れてくる音では声の通り道はよく見えなかった。
教会でのライブはアコースティックで願ってもいない距離感だったので、小林幸子はどんな発声でうたってるか突き止めてやる!というような勢いで目と耳を総動員して解剖にいそしんだ。
・身体に一本ブレない芯が通っている
・眉間と首の少し上にある後頭部の窪みを線で結び、その線から上の部分の頭蓋骨がよく響いている
・デコルテ周りの筋肉が強い
ブレない芯というのは、ダンスでも演劇でもはっと目をひかれる人には感じる。体幹なのかな?
声楽では頭のてっぺんから足の爪先まで全身を連動させて声を出すのだが、どこかブレていたら良い声が出ない。
小林幸子は腰と腹の支えがしっかりしていて、全身が連動していると感じた。
二つ目は頭蓋骨がよく響いているということ。
(上の文ではうまく伝わらないから図を書けばよかった…)
声楽で理想とされる歌い方“ベルカント”では、頬骨より上の部分(マスケラ)に声を響かせなさいと言われる。
ベネチアの謝肉祭で使われる仮面(伊語でマスケラ)
これで覆われる部分のことを指して“マスケラ”と言っている
それには頬骨の辺りをクッと上げたり、目の奥を開いたり、鼻の奥を感じたり、口の中の形だったり、もちろん腰とお腹で重心を下げる支えも重要で、色々と意識することが盛りだくさんなのだが、これができると鼻腔やらの自分のなかの空洞で音が響いて増幅されて、マイクを通さなくても劇場の後ろまで届く声になる。
それに近しいことを小林幸子に感じた。よく身体が鳴っていた。うん。
最後はデコルテ周りの筋肉が強いということ。
声楽では喉の周りに力を入れるのは御法度だ。
いかに喉周りにかかるテンションをマスケラや下半身に分散させるかが重要なのだが、日本の民謡や演歌歌謡曲は全くの真逆。
喉をしめて地声を響かせたり、こぶしやしゃくりなどのテクニックも喉を開けたり閉めたり(おそらく力を入れたり緩めたりということだと思う)して音を操作している。
きっと日本語という言語には民謡のような歌い方が一番合うのだろう。
(そのあたりもいつかnoteに書いてみたい…)
少し話がそれたが、喉を使って音を操作しているから喉周りの筋肉が発達しているように感じた。
この日は胸元が大きく空いたドレスを着ていたが、デコルテがめっちゃきれいだった。きっと常に使っているからなんだろう。
小林幸子はやっぱり“持っている”
今でもあなたはわたしの光
皆さんお気づきになっただろうか?
歌が終わりに近づくにつれ、窓から光が差してきたことを…!
まるでLemonの歌詞に合わせるかのように光が差してきて、最後には眩しいくらいになっている!
光なんて計算して撮影していないだろうし、こんな絶妙なタイミングがあるのかと。
これを見てやはり小林幸子は“持っている”と感じた。
さすがラスボスである。
終わりに
ここまで書いてはみたものの、正に書き散らしたというのが相応しい文章だ。
もう!私って文を書くのがなんて下手くそなんだよ!と言いまくりたい気持ちでいっぱいだ。
もっとうまかったら幸子さまの魅力を余すことなく伝えられるだろうに…
それもそれで仕方がない。
この小林幸子を語るシリーズ(誰も求めていないかもしれないが)を続けて文章力もアップさせていくことをここに誓う。
このnoteを読んでいただき、幸子さまのLemonを再生していただけたらこの上ない喜びです!再生してくれた人にサポートしてまわりたいくらい!
それでは今日も幸子さまが歌い続けてくれることに感謝を。
第二弾→小林幸子の”目線と仕草”を語る
第三弾→小林幸子フルコーラスでLemonを歌う
第四弾→小林幸子の歌う“脳漿炸裂バーサン”を語る
第五弾→小林幸子の歌う“茨の木”を語る【オンステージ】
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![長谷川晃子/happinessmusicst](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/42439641/profile_9b1ba1fd9d39a7ad689233ce48fe93ee.jpg?width=600&crop=1:1,smart)