鹿児島大学の研究成果が話題に!T細胞性白血病の生存率を90%台に押し上げる新薬の効果が明らかに
鹿児島大学小児科の岡本康裕教授は19日、T細胞性急性リンパ性白血病に対する、新たな治療法の臨床試験で3年生存率が約70%から91.3%に向上したと発表した。日本小児がん研究グループらとの共同研究。論文は岡本教授が筆頭著者の一人となり、英医学誌「ランセット・ヘマトロジー」のオンライン版に5月8日付で掲載された。
治療は新しい抗がん剤「ネララビン」を追加し、従来使用する抗がん剤やステロイドの投与方法を工夫した。臨床試験は2011年から開始し、全国125施設から0~25歳未満の349人が参加した。
3年生存率のほか、再発や二次がんの発生がなく生存できる割合も75・9%から86.4%へ向上した。不妊や低身長など副作用の強い造血幹細胞移植や放射線照射を受ける患者の割合も半減した。
急性リンパ性白血病はリンパ球ががん化したもので、小児や若年成人で年間約600人が発症し、うち10~15%がT細胞性とされる。急性リンパ性白血病全体の生存率が90%を超える中、T細胞性の治療成績は悪く、治療の開発が課題だった。
岡本教授によると、現在、この治療は実際に試験の参加施設などで進められており、65歳未満を対象とした臨床試験も始まっている。「今回の成績は世界でもトップレベル。小児だけでなく、今後は成人の患者にも応用していけたら」と話した。
将来において大きく期待できる10の項目
新しい抗がん剤「ネララビン」の有効性
従来の抗がん剤やステロイドとの組み合わせ治療の工夫
再発や二次がんの発生の割合の低下
副作用の強い治療法の割合の減少
急性リンパ性白血病全体の治療成績向上に対する一歩
他の年齢層や成人患者への応用の可能性
さらなる臨床試験や研究の展開による治療法の進化
小児がん治療の改善に対する貢献
鹿児島大学の研究チームの知見や成果の発信と国際的な注目
T細胞性急性リンパ性白血病の治療法の臨床試験による生存率の向上