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ゲノム編集で血液の難病を治療する。ゲノム編集医療、世界初の実用化へ…ノーベル化学賞「クリスパー・キャス9」で難病治療

ゲノム編集医療、世界初の実用化へ…ノーベル化学賞「クリスパー・キャス9」で難病治療

読売新聞より引用



ゲノム編集で血液の難病を治療するイメージ図


狙った遺伝子を効率良く改変できるゲノム編集の技術を使った医療

米欧のバイオ企業が、血液の難病の治療法として米食品医薬品局(FDA)などに承認申請した。ゲノム編集による医療の実用化は世界初で、年内にも承認される可能性がある。

これによって、病気の原因となる遺伝子を直接改変することができ、治療の効率が上がります。

承認申請したのは、米マサチューセッツ州バーテックス社、スイス企業クリスパー・セラピューティクス社。

この治療法は、「クリスパー・キャス9」と呼ばれるゲノム編集技術を使い、血液の難病の「鎌状赤血球症」と「βサラセミア」の治療方法を共同開発しました。世界で年間約30万人もの人が発病する鎌状赤血球症や、約6万人の人がかかるβサラセミアという病気が対象で、患者自身の造血幹細胞を体内から取り出して、遺伝子異常を改変することで、正常な赤血球を作り出し、体内に戻します。

鎌状赤血球症(かまじょうせっけっきゅうしょう)

遺伝性の貧血病で、赤血球の形状が鎌状になり酸素運搬機能が低下して起こる貧血症。鎌状赤血球貧血症ともいう。ICD-10分類ではD57。ほとんどが黒人に発症し主にアフリカ、地中海沿岸、中近東、インド北部で見られる。

常染色体不完全優性遺伝をする。現在,遺伝子型がホモ接合型患者の予後は改善しており、平均生存期間が60歳前後となっている。しかしその結果、慢性的な多臓器障害を有する患者の割合は増加している。一般的な死因は,急性胸部症候群,併発感染症,肺塞栓症,重要臓器の梗塞,および慢性腎臓病である。遺伝子型がヘテロ接合型の場合、低酸素状態でのみ発症するので通常の日常生活は営める。

βサラセミア

βサラセミアは,βグロビン遺伝子の変異または欠失によりヘモグロビンβポリペプチド鎖の産生が低下することで発生し,結果としてヘモグロビンAの産生障害が生じる。 変異または欠失により,βグロビンの部分的な機能喪失(β+アレル)または完全な機能喪失(β0アレル)が生じる。


これまでの治療法

他人からの造血幹細胞の移植で治療する方法が一般的でしたが、提供者が不足するため、治療が難しい状況がありました。しかし、この治療法なら患者自身の細胞を使って治療できるため、治療の可能性が広がります。


治験者の症状緩和

実際に、この治療法を試した患者たちは、病気による苦しみが軽減され、重篤な副作用も見られませんでした。この治療法は、年内にも承認される可能性があると言われています。これからも、ゲノム編集技術を使った医療は、ますます進化していくことが期待されます。

臨床試験では鎌状赤血球症の患者31人全員で、血管の詰まりによる痛みがなくなった。βサラセミアの44人中42人は約3年の観察期間中、輸血が必要なくなり、残る2人も輸血量が大幅に減少。重篤な副作用もなかった。

いつごろ承認がおりる?

両社は4月、FDAへの承認申請を完了した。審査期間は1年で、優先審査が認められれば8か月に短縮される。欧州医薬品庁へは昨年12月に申請済みで、1年程度で審査されるという。

ゲノム編集の可能性

ゲノム編集は、農林水産物の品種改良や創薬など活用例が拡大。日本では、肉厚にしたマダイの開発など、食品分野での実用化が進む。医療では、白血病やがんなどの治療法の研究で米欧や中国の競争が激化している。

 小沢敬也・自治医科大名誉教授(遺伝子治療)の話「臨床試験の結果は良好で、承認される可能性は高い。ゲノム編集は様々な病気の治療に応用が可能で、その先駆けになる」

◆ゲノム編集=生命の設計図・ゲノム(全遺伝情報)をピンポイントで編集し、特定の遺伝子の働きを改変する。高効率で簡単に改変できる技術「クリスパー・キャス9」を開発した米欧の研究者2人は2020年のノーベル化学賞を受賞した。

日本では稀な難病の為、認知も薄いですが日本の医療機関にも早く取り入れられて欲しいですね🤗🤗🤗



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