角膜は生き続ける
うちの両親はアイバンクに登録していました。
登録の理由は、両親ともに身体障がい者で、障がいを持った人の気持ちが分かったのと、あの世には魂しか持っていけない。あとは灰になってしまうのだから、それなら困っている人のお役に立ちたいという気持ちからだったと思います。
父は私が29歳の時、69歳で肺がんを患い亡くなりました。
父はアイバンクと献体に登録していたので、アイバンクには片目のみを献眼しました。
お葬式の後、火葬場には行かず、検体の方のお迎えの車でさよならし、お骨が帰ってきたのは1年後で、何となく寂しかったです。
父の角膜は目の不自由だった女性を助けました。
目が見えるようになってから作ったと、鍋敷きや鍋つかみと、お礼のお手紙を頂きました。
諦めていた世界に光がさしたと、喜んで頂きました。
時々アイバンクからしおりのようなものが届いていました。
ある日、母がそれを読んで話してくれたのは、
アイバンクに検眼した角膜は、目の不自由な方のお役に立って、その方の光になって、人生を明るくしてくれる。
角膜をもらう人は、その角膜をまたアイバンクに登録して、検眼するしくみになっているそうです。
角膜に傷があったり、ご家族が反対すると、それは実現しません。
ですが、一度検眼した角膜は、綺麗な状態であれば、そしてご家族の了承を得られれば、ずっと受け継がれて生き続けるそうです。
その話を聞いた時、すごーい!と感動しました✨
母は生前この話を、自身が通っていたデイケアでお話させて頂いたそうです。
母はアイバンクのみの登録だったので、亡くなった後、両目を検眼しました。
お知らせの送付は辞退したので、母の角膜がどうなったのか分かりません。
ですが、きっと光のない世界にいらっしゃった方に、明るい未来をお届けしているのではないかと思います。
私は検眼の決心はまだできていないのですが、目は大切にしようと思っています。