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介護現場の数字①数値管理の基本は「比較と分解」

介護現場の新任マネージャー向けに数字の読み方を解説するシリーズ。

数字はうまく使えば物事を客観的かつ正確に表す便利なツールです。
数字から現実の様々な事柄を読み取ることができます。
苦手意識がある人に向けて誰でも数字の読み方、使い方を身につけられるように解説します。数値管理スキルを身につけて、マネジャーの皆さんには、もっと楽しく、楽にマネジメントできるようになってほしいと願っています。

では早速、前回の記事の最後に書いたお題の振り返りから。
前回の記事を読んでいなくても大丈夫です。以下のお題について考えてみてください。

ある介護施設。
現在入居しているお客さまが80人います。
多いでしょうか、少ないでしょうか?

あなたの答えは、どうでしたか。
自分の頭で考えることが大事ですから、ぜひあなたなりの答えを考えてから次へ読み進めてください。

80人は多いのか、少ないのか。
実はこの問題に、正解はありません。

もしあなたが「多い」または「少ない」と考えたなら、なぜそう考えたのか、もう一度考えてみましょう。

もしかすると、あなたが勤めている施設と比較して「多い」「少ない」と判断したかもしれませんね。

数字は、比較することで意味をもちます。
あなたの勤める施設には60名のお客さまがいる。だから「勤務先の施設と比較して多い」というように。

数字を扱う時の最初のポイントは、2つ以上の数字を比較するです。

数字が苦手な人は、1つの数字と睨めっこして「わからない」と言います。
1つの数字には意味がないので、わからなくて当然です。

では、どんな数字と比較したらよいのでしょう。
比較するときには「単位」をそろえます
たとえば、人数と金額の比較はできません。
「利用人数60人の施設」と「売上300万円の施設」では比較のしようがありません。
「利用人数60人」と「利用人数「80人」ならば比較可能です。

単位を揃えたら、次は何と何を比較したらいいのでしょう。
代表的な例を挙げます。
・前月と今月の比較
・前年8月と今年8月の比較
・目標(予算)と実績の比較
・他施設と自施設の比較  etc.

一番簡単なのは「前月と今月の比較」でしょう。
利用人数が増えたのか減ったのか。
売上が増えたのか減ったのか。
利益が増えたのか減ったのか。

はじめて数字を見るなら「前月と今月の比較」から見ることをお勧めします。

比較して終わりではありません。
比較してその差がわかったら、差が生まれた理由を考えます。
「先月より今月の方が入居者数が増えたのはなぜだろう」

「入居した人がいるから」では50点。
正解は「入居した人より退去した人の数が少なかったから」です。
今月は3人入居したとします。
退去が1人ならば、入居者数は2名増えたことになります。
しかし、同じ3名の入居でも4名退去したなら、入居者数は1名減ります。

このように数字を読むときには分解することが大切です。
前月と今月の入居者数の差=新規入居者数-退去者数です。
数字の分解は、数値分析の基本です。ぜひ覚えておいてください。

今日の話は、ものすごく簡単だったと思います。
数字が苦手な介護現場のリーダーでも「そんなことわかってる」という内容だったことでしょう。

そう、数値分析は実はかんたんなのです。
もっと難しいと思っていましたよね?
でも、これからシリーズで解説する介護事業所の経営数値の分析はすべて「比較と分解」が基本です。

中学生が連立方程式を解けるのは、小学生で四則演算を身につけたから。
介護現場のマネージャーが事業所の経営管理をするには、数字の比較と分解のスキルを身につけることが必須になります。

課題:
あなたの事業所の利用者人数や売上について、前月と今月の比較をして、その差が生まれた理由を考えます。

「介護現場の数字」についてはシリーズ化して不定期に記事を発信します。だんだんと難易度を上げていきますので、ぜひフォローしていただきあなたの学びにご活用ください。


めでたしめでたし

立崎直樹

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