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「申し訳ない」はもう卒業!仕事を贈るという新発想

マネジャーは仕事を任せることが仕事と言っていいぐらい、仕事をメンバーに任せることが日常的に発生します。特に介護業界では介助・介護以外の周辺業務が多岐にわたるため、委任力はマネジャーにとって必要不可欠な能力です。

ところがマネジャーの中にも、仕事を任せるのが苦手という人はたくさんいます。
実をいうと僕は、メンバーに任せることに対する苦手意識がありません。

仕事を任せることに対する考え方を変えるだけで、マネジャーの心理的負担は軽くなります。
今回は、仕事を任せるのが苦手な方も、任せ上手になる簡単な方法をご紹介します。

仕事を任せるときのよくある口癖「申し訳ない」

あなたはメンバーに仕事を任せるときに、どんなふうに声をかけていますか。

僕は介護事業所に行くと、マネジャーとメンバーの会話をそっと聞いています。
「申し訳ないけど、今度の感染症対策委員会に出てもらえますか。」
「行政に出す事故報告書を作成してくれる?ごめんねー」

特に違和感はない会話だと思います。
マネジャーが仕事を任せるときに使っているトップワードは「申し訳ない」「ごめんね」です。
ここでいう「申し訳ない」や「ごめんね」は嘘ではないものの、心からの謝罪というより、仕事を任せるときの定型句=口癖でしょう。

意味合いとしては「ありがとう」に近いのかもしれません。

社員は仕事をしたくて入社した

採用面接の場面を思い出してください。
応募者は何と言っていましたか?
もしくはあなたが応募した時には、面接でなんと言ったでしょう?

「利用者によろこばれる仕事をしたいです」
「責任ある仕事にチャレンジしたいです」

内容は人それぞれですが、共通しているのは、この会社(法人)に入社をして「仕事をしたい」とアピールしたはずです。

もし、応募者の中に「私は何もしたくありません」という人がいたら、おそらくあなたはその人を不採用にしたことでしょう。

仕事を通してメンバーを育てる

仕事を任せることには、単に手分けして仕事をこなすという意味だけでなく、仕事を通してメンバーを育成するという大切な目的があります。

人材育成というと、研修やOJTなどを思い浮かべるかもしれませんが、人材育成には「70:20:10」という有名な法則(ロミンガーの法則)があります。
これは効果的な学習の比率で、70%が業務経験、20%が上司や他者からの学び、10%が研修などの自己学習と言われています。

あなたも実感があると思いますが、仕事は「習うより慣れよ」です。
どれだけ研修を受けても、経験しなければできるようにはなりません。

能力的に少し挑戦的な仕事を任せることは、社員の人材育成に直結しています。(本当はただ実践するだけでなく、実践後の振り返りが大事です)

メンバーにとって仕事とは

仕事を任せる必要性は分かっているにも関わらず、いざ任せようとするときにためらってしまうのは、なぜなのでしょう。

この質問を研修や1on1でマネジャーに聞くと、以下のような答えが出てきます。
・嫌な顔をされたらどうしよう
・断られたらどうしよう
・相手に負担をかけてしまうのではないか

裏を返すと、マネジャーは仕事をメンバーに依頼することに対し、以下のように捉えているとも言えます。
・メンバーが嫌な顔をするかもしれない
・メンバーに断られたくない
・仕事はメンバーの負担になる

このように捉えた結果が「申し訳ない」や「ごめん」になっているのだと、僕は考えます。

一般的に「申し訳ない」「ごめん」と言いながら相手に渡すものって何でしょう?
ゴミや残りものなどの”汚い”ものですよね。

仕事は、ゴミと同様に汚いものでしょうか?
僕は真逆だと思います。

もともと仕事をしたくて入社した人に、仕事を与える
その人の成長のために、仕事を与える

仕事は、「申し訳ない」と言いながら渡すゴミではなく、「あなたにピッタリだから、ぜひ受け取って」と相手のよろこぶ顔を想像しながら渡すプレゼントだと僕はしんじています。

心を込めて仕事を贈る

「仕事はメンバーへのプレゼント」と考えると、任せる側の気持ちは大きく変わります。

「きっとあなたならできる」
「この仕事を通じて、あなたは成長する」
と信じて贈るのですから「申し訳ない」という気持ちはみじんも湧きません。
僕の場合は、仕事を任せたら相手はきっとよろこぶと信じ、心を込めて仕事を贈っています。
当然「申し訳ない」といった言葉は出てきません。

人から何かをもらうとしたら「これはゴミです。ごめんなさい」と言って渡されるのと、「これはプレゼントです。どうぞ!」と言われたのでは、印象が全然違いますよね。

仕事を依頼するときのマネジャーのマインドによって、「マネジャーから私に汚いものを押し付けられた」とメンバーが感じるか、「私が喜びそうなものを考えてプレゼントしてくれた」と感じるかほど違いがでます。

マネジャーは仕事を任せることが仕事なのですから、その仕事をプレゼントにしてメンバーに贈るというマインドで、どんどんメンバーに仕事を任せていきましょう。


めでたしめでたし

立崎直樹


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立崎直樹@めでたし〃
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