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目的と目標の違いを、AIに5歳児でもわかるように説明してもらった
年末にさしかかり、新しい年の目標を立てる時期になってきました。
3月決算の会社ならば、残り3か月でどのように目標達成するか、という戦略を今まさに立てているかもしれません。
僕たちは、子どものころから「目標」という言葉を日常的に使ってきました。
教室に張られた「クラスの目標」「今月の目標」。そして「県大会出場」などの部活の目標。
介護現場にも目標はあります。
マネジャーならば、「入居率90%」や「新規利用者5件」など数字の入った目標を持っていることでしょう。
では、
「そもそも目標とは何ですか?」
とメンバーに問われたら、あなたはどうに答えるでしょうか。
「目標」について調べてみた
①辞書で調べてみました。
まぁ、そうなのでしょう。分かったような分からないような。
②ChatGPT(愛称チャッピー)に聞いてみました。
質問:目標とは何ですか。5歳の子供にもわかるように説明してください。
目標とは、「やりたいこと」や「達成したいこと」です。たとえば、おもちゃを片付けることを目標にしたとき、最初におもちゃを一つずつ並べて片付けることが「目標」です。そして、すべて片付け終わったとき、お部屋がきれいになって、「目標を達成した!」と思えるのです。
だから、目標は、何かを頑張って達成するために決める「ゴール」みたいなものだよ。
少しわかりやすくなりました。
ただ、まだスッキリはしません。
「目標」は小さなゴール、本当のゴールは「目的」
目標と似た言葉で、目的があります。
目的と目標の関係を示すと、目標の意味がクリアになります。
もう一度、あらためてチャッピーに説明してもらいました。
質問:目標と目的の違いを5歳の子供にもわかるように説明してください。
目標は、「やりたいこと」や「達成したいこと」です。たとえば、「おもちゃを片付ける」や「絵を描く」といったものが目標です。目標は、小さなゴールのようなもので、何かをやるために決めることです。
目的は、もっと大きな理由や、目標を達成することで得られる「うれしいこと」や「意味のあること」です。たとえば、お部屋をきれいにすることが目標だとしたら、その目的は「お部屋で楽しく遊べるようにすること」や「家族が気持ちよく過ごせること」です。
つまり、目標はその途中でやること、目的はその先にある大きな理由だよ。目標を達成すると、目的が達成できるんだよ!
分かりやすい!
これ以上の説明は不要ですね。
「目的」のない「目標」に意味はない
目的と目標の違いが分かったところで、介護事業所に置き換えて、目標の意味を考えていきます。
目標例:老人ホームの入居率90%
入居率90%を目標(=小さなゴール)とするとき、目的(=本当のゴール)は、何でしょうか?
いくつか考えられます。たとえば・・・
・社員の給料を上げる
・事業を継続する
・地域に貢献する 等々
正解は目標を設定した人のみが知っています。
目標は、目的に合わせて決めるものだからです。
本来、目的がなくして、目標を設定することは不可能なのです。
ところが、僕たちの周りには目的の良くわからない(知らされていない)目標がたくさんあります。
「うちの会社は売上や利益のことばっかりで、何がしたいかわからない」という話を、僕はこれまで数多くのマネジャーから聞いてきました。
これこそ、目的不明の典型例です。
生粋の営業マンならばまだしも、介護医療現場で働くマネジャーで、目的もなく数字だけを追求できる人はほとんどいないでしょう。
ただ、同じことをマネジャーがメンバーにしている可能性はあります。
たとえば「残業ゼロ」という目標をメンバーに以下のように伝えたらどのような反応が出るでしょうか。
「今月から残業ゼロを目指します。皆さん残業はせずに帰宅してください。やむを得ず残業する場合は、その理由をマネジャーに提出してください」
・やることが多いのに残業ゼロなんて無理
・マネジャーは現場の大変さを分かってない
・どうせ上からの指示でしょ
では、目的を伝えるとどうでしょう。
メンバーが健康で良い仕事ができるように、残業ゼロを目標にします。
最近は皆さんの残業時間が増加しており、それに伴って体調を崩す人も増えています。
皆さんが健康で良い仕事をできる状態であることが、お客さまに良いサービスを提供するために必要だと考えています。ですから、私にとっては皆さんの生活や健康がいちばん大切です。
サービスの質は落とさずに、業務時間を短縮するため、止めても影響が少ない作業や簡略化できる仕事、みんなで協力することで時間短縮できる仕事など、残業時間ゼロの目標達成のために知恵を皆さんからも出してもらって、労働環境を改善していきたいと思います。
目標は同じて、目的を伝えるかどうかによって、メンバーが受け取る印象は全く異なります。
目的をこんなに丁寧に説明するのは煩わしいし、難しいと思われた方もいるかもしれません。
でも、「言葉にしなくてもマネジャーの考えは、メンバーが理解してくれるだろう」というのは幻想であり、よほどの関係性を構築していない限り不可能です。
目的を伝え続ける努力は、マネジャーにとっての重要使命です。
目的に立ち返るための問い「何のために」
これまで目的と目標の関係をあまり意識したことのない人にとって、目的を意識して言葉にするのは、難しいかもしれません。
目的を考えるときのとっておきの問いがあります。
「何のために」です。
介護現場のマネジャーは法人の中間管理職として、上位者からの目標を受け取り、それをメンバーに伝える機会も多々あります。
本来は目標を立てた人が同時に目的も伝えるべきですが、上位者から十分に目的を説明されないまま、目標だけが伝達されるケースも少なくありません。
それでもマネジャーはその目標をメンバーに伝達して、チームの目標達成に向けてメンバーを導かなければなりません。
その時、マネジャーが絶対に言ってはいけない言葉があります。
「上からの指示だから」
この言葉を発した瞬間、マネジャーに対するメンバーからの信頼はゼロになります。本当に一瞬です。
上位者に目的を問い、説明してもらうのがベストですが、なかなかそうもいかないでしょう。
明確な説明をもらえなかった場合は、自分で目的を考えるしかありません。
その時の問いかけが「何のために」です。
何のためにこの目標を追求するのだろう?
この目標を達成すると、どうなるのだろう?
このようにして考えた目的を添えてメンバーに伝達します。
また、「何のために」は目標設定時だけでなく、目標を追求している途中にも有効な問いです。
目標設定時は目的を意識していたけれど、目標を追及しているうちに、目的が意識から消えていくということも少なくありません。
サービスの質を良くするため、メンバーの健康に配慮して「残業ゼロ」を目標にしたものの、残業時間ばかりを意識していると、サービス品質を大きく落としてでも残業ゼロの達成を目指そうとしてしまいます。目標達成のための行動によって、目的から遠ざかるのでは本末転倒です。
目標は目的を達成するために設定あります。目的達成から遠ざかる目標は悪い目標です。
目標や目標達成に向けた行動が、目的に向かっているかどうか、自問自答するための問いも「何のために」です。
「何のために」は僕の口癖です。
迷ったときはいつでも「何のために」にかえって考えます。
「何のために」は僕の行く先を示すコンパスとして導いてくれる、頼もしいことばです。
めでたしめでたし
立崎直樹
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