H a p p a n o U p d a t e s - No.266
□【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!!
アフリカ短編小説集 もくじ 巻頭エッセイ(ニイ・パークス)
4. ナマニャの寛大で惜しみない体 ドリーン・バインガナ(ウガンダ)
ウガンダと言われてピンとくる人はそれほどいないでしょうか。タンザニアの北、ケニアの西にある東アフリカの国です。首都はカンパラ。Wikipediaによると英語とスワヒリ語が公用語、とありますが、実際に多く話されているのはガンダ語、そして英語のようです。
バインガナのこの小説は、ここまでの中で最もアフリカっぽい、アフリカの生活実感や暮らす人々の様子が描かれている作品です。タイトル画像にあげたオウィノ市場の写真からも想像できるように、街に人、モノ、騒音が溢れ、そこで生まれるカオスがとびっきりで、独特の世界を生んでいます。カンパラを訪れた日本人旅行者の中に、あの雑踏と喧騒がなつかしい、という人がいるくらいです。
もう一つ、この小説の特徴は、女性が自分の体に対して感じる様々な知覚、認識、理解のディテールを丁寧に描いていること。ボディ・ポジティブの流れで、日本の小説やエッセイにも最近たまに見られる傾向です。わたしの知るものとしては、谷崎由依の『妊娠牧場』や津野青嵐『「ファット」な身体』と通じるところがあります。主人公の古着販売で生計を立てている女性は、自分のたっぷりとした体を肯定的に捉え、愛情を感じています。
バインガナは今回の作家の中では最年長かもしれず、すでに作家として十分な経験があり、作品も成熟しています。とはいえ、オーストラリアの大学院(博士課程)に在籍中の学生でもあります。
ところでウガンダは水不足の傾向があり、この小説の中でも、朝のシャワーが洗面器一杯の水で済まされるシーンがあります。石けんも使ってです。どうやって?と考えてしまいましたが、このプロジェクトのコーディネーターを務めてくれているガーナの作家、ニイ・パークスも自分の学生時代の経験から「うん、十分」と言っていました。
□ 最近思ったこと、考えたこと(happano journal)
09.12/24 こんなの短歌じゃない(💢)、とあのお方はいう いや私は好きだけど(❤️)
09.26/24 タコス❌独立記念日、スペイン語と日本語とAI翻訳アシスタント
これまでほとんど縁のなかった「短歌」、その発見のエピソードを書きました。「文學界9月号」の特集に影響されてなのですが、この記事に対するnote読者の反応を見て(2週間で600ビュー)、ああ、短歌って今も人気あるんだとわかりました。わたしの発見は主に読みの面白さと可能性なのですが、かなり幅広いタイプの作品が、幅広い層によって書かれているところに好感が持てます。
タコスをホームメードで作ってみました。メキシコ人の友だちに独立記念日だからぜひ、と請われて。美味しかった(と自画自賛)! 数年前に知り合ったチリの友人に声をかけて、メキシコの友だちと3人で新たなプロジェクトを進行中。テキストはスペイン語です。うまくいけば、来年初頭くらいに公開できるかな。
Web Press 葉っぱの坑夫/エディター大黒和恵/editor@happano.org