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⑦仏式といってもいろいろある

実家が一応仏教であるのは知っていた。
南無妙法蓮華経ではなく南無阿弥陀佛なのも知っていた。
母の実家は曹○宗で、お盆に実家にいたときと同じように野菜で細工を作ったら前のご住職からうちの宗派ではやらない、と言われた、というのも聞いていた。
枕経のとき、母が仏壇から首から下げる布?を出してきて、弟にこれをしてと渡していたがそれをみた記憶はあまりなかった。(略肩衣というらしい)
仏様に備えるご飯の形が丸ではなく円柱なのは今回はじめて知った。

はじめて知った話の極めつけは、父は亡くなった瞬間?にすでに仏様になって極楽浄土に行ったらしいという話。
だから旅装束はいらないし、7日毎にお裁きを受ける必要もない。
お清めの塩もいらないらしい。まじか。
極端なことをいえば父が極楽浄土にいけるようにわたしたちが徳を積む必要はない。だってエスカレーター式にびゅんっと行けるから。

なにそれ、最高。

ちなみにお経(正確にはお経ではないらしい)は音程が上下してすごくよい。うちのおっさまは私達姉弟と同世代で親しみやすく、声が良い。いいのか悪いのか知らないがあまりの心地よさに正信偈をYouTubeで探してBGMにしながら弟と二人夜な夜な作業したくらい。本当はうちのおっさまの声を録音したい。

嫁ぎ先が神道なものでこのロックなお経でびゅーんと極楽浄土にいける権利をみすみす逃したのが口惜しい。
弟はいずれ友達が住職をしている臨○宗にかえようと思っていたらしいが、ロックなお経とおっさまの人柄に魅了されてか、このままでいいか、とあっさり心変わりしていた。

そういえばこちらの宗派の仏具はピカピカしているのが特徴なのに長い間に酸化?してしまいすっかり鈍い色になってしまっているのを亡くなった日の枕経のときおっさまが少し気にしておられたらしい。
手先が器用で凝り性な弟は翌日おっさまがくるまでにピカピカに磨き上げてきたのがウケた。(くっそ忙しいのにホームセンターで真鍮用の磨き粉まで購入していた)

長く父と喧嘩していた弟だけれどあれだけ喧嘩していて結局喧嘩別れした末に、ここまで誠実に喪主をやるとは思わなかった。
「生きてるうちに仲良くしてあげればよかったのに」
心の中では思うけれど決して口にはださない。
そうなっただけの父と弟の歴史がある。
若い頃から弟はたくさん傷ついてきた。父はそんなつもりはなかった、と言うだろうし覚えていない、と言うかもしれないが、断絶するにはそれ相応の理由があるのだ。

ピカピカに磨かれた鈴を見ながら喜ぶ母の顔を見てまた泣けた。


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