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『廃』を巡る食の旅

「今日の夕飯、何を食べようかな」

あなたは何を基準に選びますか?

今日の気分?
自分や家族、一緒に食べる人の好み?
外に食べに行く?家で作って食べる?
栄養?安心安全?
食材はどこで買う?

1日3食、間食やお茶を含めればもっと頻繁に私たちの日常の中にある「食べる」ということ。

それだけ選択する機会はたくさんあるけれど、日常だからこそ無意識に行っていることでもあります。

またさまざまな情報が手に入る時代だからこそ知識は増えても、今まで慣れ親しんできた食を変えることは簡単ではありませんよね。

まずはさまざまな環境に身を置き、その地の食を巡る暮らしや歴史を感じること。

「食べることは生きること」だからこそ、味覚で感じる美味しさだけでなく、その地の匂い、空気、人と接して全身で感じとることが、私たちの食に対する意識になにか小さな変化をもたらしてくれるのかもしれません。

今回のツアーのテーマは「廃村」。
今はなき村の姿に思いを巡らせることで、日々の食を見つめ直してみませんか。

秋山郷とは

ツアーの舞台となるのは、長野県と新潟県にまたがる秋山郷。苗場山、鳥甲山という2,000m級の山岳に囲まれた谷間にあり、日本の秘境100選にも選ばれる自然豊かな地域です。

両側に山肌が迫る渓谷や信濃川の支流である中津川に削られた岩壁、360度眺める限りの大自然には何度訪れても圧倒されます。同時にこれだけの厳しい自然環境の中に集落が点在していることを前に、この地の人々はどのように暮らしを営んできたのかと興味をそそられることでしょう。

また冬は雪に閉ざされる豪雪地でもあり、長い冬を生き抜くためにさまざまな知恵が生まれ文化を作ってきた歴史もあります。

なぜ「廃村」?

秋山郷には水田はほとんどなく、「カンノ」という焼畑農業で栗や稗などの穀物を作り、大根や蕪などの野菜を育てていたと言われています。また栃や楢などの木の実を採って保存し、冬の間の食料にしていたようです。そのほか、山菜や魚、キノコや野生肉を保存する知恵と技が受け継がれ、厳しい自然環境の中だからこそ育まれた食文化がありました。

しかし1700年代から環境変化と天候不順によって農作物が収穫できず、自然の恵みに頼れない年が続き、食料不足が原因で廃村になった村があります。それが今回訪れる甘酒村と大秋山村です。廃村跡の周囲には栗の木が多く見られるなど、当時の食文化を感じとることができるでしょう。

ツアーでは秋山郷の自然や暮らしをよく知る地元ガイドとともに廃村を回ります。この地域ならではの植生や地元のおじいちゃん、おばあちゃんから語り継がれた話を聞きながら、食を巡る歴史や日々の食べることについて一緒に考えてみませんか。

限られた環境のなかで、いかに豊かに生きていくか。秋山郷には、そのための知恵と工夫があふれ、いまも13の集落があり人々が暮らしを営んでいます。その傍らで途絶えた集落もあるということ。その現実は私たちに何を語りかけてくれるのでしょうか。

さまざまなサービスにあふれ、食の選択も容易にできる現代。「食べる」ことが「生きる」ことに直結するということを、廃村は私たちに思い起こさせてくれるのかもしれません。


食文化を現代につなぐ「地層食堂」のランチ

廃村をまわったあとは栄村を拠点に活動する「地層食堂」によるランチを楽しみましょう。秋山郷に伝わってきた食文化を現代版にアレンジします。

「土地の文化、人は、その土地の土の上に成り立ちます。土にはその場所の風土と変化、生き物との関わりの積み重ねで出来上がっています。その層の上に植物が生え動物が育ち、それらを見て食べて関わって人の文化は出来上がってきました。

人が作った関わりと同列に自然環境はいつもそこにありました。地層食堂は食材が手元に来るまでのストーリーを意識することをコンセプトにしています。それは食材の育った環境、土地の歴史、育てた人の想いなど、色々な形でひっそりと存在しています。

そのような層を食という手段を通して伝えていきたいと考えています。​」

ツアーで思いを巡らせてきた秋山郷の歴史、食文化、暮らしはまさに地層。それぞれが感じた層と「地層食堂」の表現するランチが交じり合うことで、廃村の歴史と現代がつながり、私たちの日々の食へも層がつながっていくでしょう。

「どう食べるか」は「どう生きるか」

生きるために食べる。そのために知恵と工夫を凝らす。「廃村」が教えてくれるのは、ある意味究極的なことです。

でもその中には、私たちの周りにある自然や生き物と関わりながら「どう生きていくか」のヒントが隠れているはずです。

身近にある「食べること」を通して、一緒に考えてみませんか?

雪と山とともに ~廃を巡る食の旅~


開催日
2022年7月11日(月)-12日(火)<1泊2日>
2022年10月15日(土)-16日(日)<1泊2日>※予定

集合場所
新潟県越後湯沢駅発着

料金
大人1名様 36,000円(税込)
※マイクロバスを予定 

宿泊施設
秋山郷マタギの民宿及び周辺の民宿を予定

ツアー予約先・運営
森宮交通株式会社 長野県知事登録2-396号
サスティナブルツーリズム秋山郷実行委員会

企画協力:長野県北信地域振興局 新潟県十日町地域振興局
後援:秋山郷栄村観光協会 長野県栄村 雪国観光圏 津南町観光協会
食事:地層食堂 稲見朋子
アドバイザー:H3 Food Design
​企画:HAPPY COMPANY(株)

​■この事業は2022年「長野県地域発元気づくり支援金」を活用しています。