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QTEって好きですか?(前編)
ゲームの「QTE」(Quick Time Event)と言われて、みなさまピンとくるでしょうか。
ゲームを進めていたら突然「Aボタンを押せ!」みたいな指示が出てきて、正しくボタンを押せたら相手の攻撃をかわせるけど、間違えたり遅れたりしたら攻撃を食らう…… みたいなやつです。
Wikipediaによると、QTEは「賛否が分かれる」システムらしいです。
QTEはプレイの簡略化や表現の幅を広げるといった効果があり、積極的に採用されるようになっていったが、さまざまな弊害もあり、賛否が分かれるシステムになっている。
先日購入した『超探偵事件簿レインコード』で、QTEの「良い所」と「悪い所」をどちらも感じることがありましたので、今日はQTEの功罪について少し考えてみようと思います。
……と思いましたが、ちょっと長いので、今日は「功」の話だけ。
「罪」はまたあしたにします。
QTEの「功」
QTEが多くのゲームに採用されている以上、当然ながらゲーム体験としてのメリットがあるはずです。
ぼくが思いついたメリットは以下です。
・入力に成功したら気持ちいい。
・重要なタイミングでユーザーに操作を委ねることで、臨場感を高めることができる。
・「いつ来るか分からない」要素として配置することで、プレイヤーに緊迫感を持たせ、気を抜かせない。
「入力に成功したら気持ちいい」
ゲームを遊んだことがある人ならイメージしやすいと思います。
「通常攻撃だと10ダメージだが、タイミングよくボタンを押せば20ダメージ与えられる!」みたいな仕様を入れると、QTEの成功が嬉しいモノになりますね。『マリオ&ルイージRPG』などでみられる仕様です。
そのほか、タイミングよくボタンを押すとナイスショットが出来る『みんなのGOLF』もQTEの一種と言えるかもしれません。
「重要なタイミングでユーザーに操作を委ねる」
このタイプのQTEで特に印象に残っているのは、『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』です。
廃棄物処理室の焼却炉に閉じ込められたファイと、拘束されこめかみに銃を突きつけられたシグマ。
シグマに突きつけられた銃には、実弾・空包が3発ずつ装填され、引き金を引いた際に実弾が発射される確率は50%……
一方、ファイの閉じ込められた焼却炉のドアは、銃声に反応してロックが解除されるつくりになっており、焼却炉からファイを助け出す方法は、銃の引き金を引く他にない。
この状況で、プレイヤーは「銃の引き金を引くかどうか」の選択を迫られます。
言い換えれば「Aボタンを押すかどうか」であり、「ファイを見殺しにするか、自らの手でシグマを危険に晒すか」でもあります。
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この場面ほど、手元にあるコントローラーのAボタンが重く感じたことはありませんでした。
まぎれもなくQTEの効果だと思います。
「プレイヤーに緊迫感を持たせ、気を抜かせない」
プレイヤーに緊迫感を持たせる演出として、QTEは機能します。
「いつ来るか分からない」仕様にすることで、プレイヤーを常に緊張させることができます。
「襲われたら、すぐにAボタンを押して抵抗せよ」というような感じのQTEは、いつ襲われるか分からないホラーゲームと相性が良いですね。
また「どのボタンを押せば良いか分からない」タイプのQTEも、緊張感に寄与します。
冒頭で触れた『超探偵事件簿レインコード』のQTEはコレにあたります。
襲撃を受けたとき、A / B / X / Y / スティックの上下左右のうち、どれを押せば良いのかは分かりません。敵から逃げる緊張感のある場面で、プレイヤーの緊張感をさらに高めることができますね。
このように、QTEにはさまざまなメリットがあると思います。
とはいえ、当然ですがQTEを入れればゲームが面白くなるというわけでもなく、デメリットも存在します。
QTEの「罪」
……については、また明日書きます。おたのしみに。
画像引用
扉絵:『Virgo Versus The Zodiac』スクリーンショット
※ゲームのSteam版公式サイト
[*1] 『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』公式サイトより