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八首抄 令和6年11月号

永田 賢之助 選



晩年の姉の齢に近付けり触れなば爆ぜん鳳仙花の実

青山良子


不可侵の条約破る旧ソ連現在いまも続けるウソつき外交

上村理恵子


「癌ですね」風ですねくらいあっさりと医師は告げおり吾は諾う

三上眞知子


少しずつ過去になる君を中指のダイヤに詰めて連れ歩くとす

伊雪佑


夫の死も妹の死も受け入れて蟬のリズムに読経をのせる

谷脇恵子


待ちかねたるタクトに始まる夏の「第九」わが庭に響くの大合唱

井手彩朕子


吾子の思い出孫の思い出てんか紛はるかな夏のアセモと匂い

髙間照子


五歳児が大泣きをして三歳に慰められてるそうめん流し

田中章




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