Photo by satomi_a 選歌 令和6年11月号 短歌の会 覇王樹|短歌会 2024年10月17日 20:26 笛を琵琶を捨てて平家はほろびたりわが棄てるものどれ程のもの高田香澄久々の友からの誘いブランコから飛び出すように出向くと答う高田好濡れ縁の猫が食べるを見守りているかのような黒い蝶なり玉尾サツ子エジプトゆ休暇の次女のこぼすこぼす老老介護のための帰国と橋本俊明いつの間にか朝顔一輪咲いており 平和な朝のマゼンタの色山口美加代補聴器をはづして聴かむ夕は心の襞に深くかなしも渡辺茂子自己流の人生長く生きながら乾き過ぎたるシーツをたたむ臼井良夫いいんだよ泣いて笑って怒っても夏の大空高くて青い児玉南海もしあの日広島にさえ行かなければもしももしもと原爆忌来る(原爆で死し伯父)高橋美香子縁台の夕涼みとふ楽しみも今は遠くに令和の夏よ西原寿美子傷口をいたわるように緑濃く工事跡地の樹木伸びゆく宮本照男こっそりと最後のメールをまた見てるコロナの頃はもう消しますか森崎理加メヒシバの広がる株を抜きたれば真夏の畑に勝つた気がする岩本ちずるのび太の声優小原乃梨子の美しさ八十八で他界してゐた高貝次郎白玉を丸めいるがにゆっくりと言葉を選りて友と会話す田中春代孫達といつか遊ばんと残したるゲームの類 令和は化石よ成田ヱツ子いち族のしづまりゐたる夜半の月ひとへふたへにまなこうるほす西尾繁子新聞の配達員とわれに見せ月下美人は命をたたむ藤峰タケ子もう一度逢ってゆっくり話したい一人や二人は浮かぶ夜なり松下睦子残照の庭に雀ら遊びいる「早ようお帰り暗くなるから」佐藤愛子一〇〇円玉入れれば響くビール缶無人市場の朝は静かに浦山増二友は逝き私も老いたよ玄関の段差一つを「関せき」とし上る財前順士発熱を待つばかりなる仙北平野人影見ざる稲が答える田口耕生一面に張り詰む大気青く燃えクツクツクツと日本を煮る建部智美ひとり来てまた一人来てコンビニに児らの並べる夏の自転車髙橋律子バス停まで徒歩7分が9分にほとほと歩く燃える地球を小笠原朝子月は地を、地は陽を巡る、陽も巡る、銀河の渦の流れにまかせ鎌田国寿耳奥のポコンと鳴れる起き抜けの俄かに騒ぐ蟬時雨かな木下順造犬連れの若きカップル幾組も 少子化の意を少し解せり国友邦子道端にこんもりと咲く露草の俯く花にほだされている篠原和子短歌の会 覇王樹|公式サイト 短歌の会 覇王樹 | 公式サイト 短歌の会 覇王樹は、今年で103周年を迎える短歌結社です。 創設以来「清新自由」をモットーとし、口語短歌や伝統的短歌を各 www.haoujusha.com 短歌の会 覇王樹|公式X ダウンロード copy #短歌 #短歌会 #覇王樹 #覇王樹社