山口美加代選
夏空に映す君とのワンカット セットは半世紀前の街角
財前順士
惑星の光景のように眺めいる 施設の浴場に幼児が来て
高田好
しやうしやうと朝つゆ光る紫式部つぶら実映ゆるまで生きまほし
西尾繁子
いくつもの把手に触れて来たる掌を全開にして日昏れを洗ふ
臼井良夫
入道雲かぶさるように吾に迫るアクセル緩め右折して避け
浦山増二
ずっしりと重き校史を広げれば我も息子も小さく名あり
森本啓一
浸食の波に体を放るとき瀬に手を伸べよフランスは朝
伊雪佑
炎帝にひれ伏すごとく夏真昼つかのま音の消える時あり
髙橋律子