広瀬美智子選
水光る岸辺へ行かう右の手を誰にも見えぬあなたにつなぎ
高田 香澄
セピア色の私のハートが明るんだ二千円分のギフトが当たる
髙間 照子
久びさに今日流し場のステンレス顔うつすまで磨きて足れり
藤峰 タケ子
オーロラの国より届く角封筒教へ子といふ白いかたまり
臼井 良夫
ありし日の金木犀は二度楽し咲き初むる香りと散り敷く彩と
谷脇 恵子
手を出せばずしり渡さるる子の鞄ほの温かく「お帰り」今日も
山内 可奈子
空屋敷と淋しむなかれ終日を小鳥ら来鳴き熟柿ついばむ
吉田 和代
帰っても帰る場所ある吾に言う「おかえり」と言う優しい呪縛
渡邊 富紀子