八首抄 令和5年10月号
山口 美加代 選
四十七歳の娘はRXセブンにて走りぬけしか彼岸までをも
井手 彩朕子
八月の思い出は濃し母子四人敗戦引揚げ無蓋車の揺れ
上村 理恵子
激烈に舌にしびるるサイダーを立ちて飲み干す咲く鳳仙花
臼井 良夫
ラフマニノフピアノ協奏曲第2 昼の炎暑を耐へし夜の贅
高田 香澄
こうやって生まれてきたのか プールから小さき人を抱き上げる時
渡邊 富紀子
燃えあがれ陽に向かい咲くひまわりのごとぎらぎらと吾の心よ
北岡 礼子
投げやりに言いたることの後悔に疾走の如き雲を見ており
田中 春代
手のひらに水かきがあったあの頃は体揺らせばジャズが生まれた
森崎 理加
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