井手彩朕子選
遠雷とわれの鼓動が響きあう記憶の底のひとつを揺らし
児玉南海子
それぞれの今日に向かえる戦士らを改札ギュッと集めて放つ
三上眞知子
わが背丈越えて繁れるプチトマトどうにもかうにも反抗期めく
岩本ちずる
ぽっとんとポストに落とし帰り道助詞の間違い一つに気づく
藤峰タケ子
今ならば彼の日の夫の呟きにもっと寄り添い共に泣けたに
田中昭子
何気なくかけた言葉に「わかってる!」矢が放たれる娘の言葉
上中幾代
幾たびもピースを嵌めてはまた外す完成しない自分未来図
津上恭子
おっ母さん心配なのは分かるけどこのやりとりは今日6回めです
田尻まぐろ