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西口郁子歌集『実生のままに』

西口郁子歌集『実生のままに』

実生のままに清水 信 (文芸評論家)

西口郁子の歌集『実生のままに』は「覇王樹叢書」の第204篇に当たる。堅牢な造りの歌集。奥付によれば、著者は大正十五年四月、津市生まれ。長男の罹病と急逝により歌作を始めたという。印田巨鳥、橋本俊明に師事。
生きるとは、親しい人を送ることである。二十三歳で長男が癌でこの世を去った時「戦死」と思った由。

八十三歳で父を失って、夫を送る日も迫ってくる。六十七歳の夫

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