【エッセイ(ミニ)】コンサート思い出話 ~小田和正2018 ENCORE!!~より
コロナ禍ではありますが、演劇やコンサート・ライブは感染対策をとるという条件のもとで開催されるようになりましたね。
私は観劇へは感染対策をとってなんとか出かけられるのですが
ついつい声を出して一緒に盛り上がりたくなるコンサート・音楽ライブへ出かける機会は減ってしまいました(普段からあまりレスポンスしないんですけどね…)。
それでも早く以前のように観たいコンサート。これまで観た数百?のアーティストやバンドのコンサートの中には、もちろん印象にのこるコンサートも多くありました。
たとえば
2018年に沖縄県宜野湾市の宜野湾公園野外劇場で観た小田和正さんのENCORE!!ツアーは本当に素晴らしかった。
夜空の下、小田さんの透明な声が身体を突き抜けてゆくことに感動し、場内スクリーンに映し出される歌詞を見て、改めて小田さんが紡ぐ言葉のストレートなメッセージを知ることができたあの時間は
今でも私の中で大事なことが飛んで無くならないよう、ペーパーウェイトのようにしっかりと存在しています。
当日の場内では、小田さんにマイクを向けられた方、満面の笑みのお客様や、体いっぱいリズムをとる方、ステージへ声援を送る方、涙声の方と、皆さん思い思いに楽しんでおられました。
そしてその会場で私は一瞬だけ、息を止めてしまった瞬間がありました。
私の席のすぐ近くにいらした40代くらい(に見えた)の男性の方が、
客席が手拍子で盛り上がる曲の中で
手を叩くこともなく
リズムをとることもなく
会場を歌い、走る小田さんを
目で追うこともなく
舞台スクリーンを見て
ただまっすぐに立っていました。
場内の照明が客席を照らすと、男性の頰が涙で濡れていました。
泣いていました。顔を歪めることもないまま泣いていました。
私ももらい泣き…。
ライブへ行くお客様はそれぞれのライブ、人生も持って行くんですね。
そして歌に心揺さぶられたとき
抱えている人生は色づいてゆくのだと思います。
このツアーは後にテレビドキュメンタリーとしても放映されていましたから記憶にある方も多いかもしれませんね。
番組ではお客様にご自身のENCOREとは?とインタビューしていましたが
あの男性ならなんと答えたのでしょう。
やっぱり何度でもコンサートに行きたいですね。