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しらす丼でニッポンの朝食〜凝らない自炊

オッサンが料理好きです、というと、凝った料理を手間暇かけて作るのが好き、と思われがちです。

もちろん時間やモチベーションが嚙み合えば、よっしゃいっちょやったるか、という料理にチャレンジしたい気分になることもあります。

台所で何かをすること自体が好きなので、「時短」「簡単」というのをうたったレシピにあまり魅力を覚えないのも確か。せっかくの趣味の時間を「めんつゆ」や「レンチン」で簡単に済ませてしまうのはもったいない。
常備菜は、平日の時間があまりとれないとき用に、事前に時間をかけて作るもの。なのでこれも時短料理ではないですよね。

ただ、そもそも料理好きとしての原点は、子供の頃に台所に立つ母の後ろに張り付いて、食材を切ったり、煮炊きするのを見ていた経験なので、属性としては、休日に材料を買い込んで、凝った料理を作る「お父さん料理」よりは、日々料理をする「お母さん料理」に近いです。

イチから材料を揃えるより、まずは冷蔵庫にあるものから献立を発想しますし、レシピに挑戦、というよりは、味をイメージして自己流で作ってみたら、だいたいそんな味にはなります。その辺は母譲りなのかな。

ある晩、冷蔵庫にいまあるものをメモに書き出しながら、優先して消費すべき食材をもとに翌日の献立と、その日の仕事帰りに買い足すべきものを整理していました。

当初の想定では、
・しらすおろし
・鶏皮ときのこの味噌汁
・きゅうり漬け
・ししとう揚げ浸し(常備菜)
こんな感じでした。メインのおかずとして、目玉焼きくらいあってもいいかな、などと考えつつ。

翌朝は、できればパパッと朝食を済ませて出勤したかったので、ご飯は一合、炊飯器にタイマーセットしておきます。

中途半端に残っていたきゅうりは、蛇腹に包丁目を入れてから一口大に切り、紫蘇ふりかけと少しの酢をまぶして、ポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

そのとき「もずく酢」を買ってあることに気付きます。味的にも栄養バランス的にも、もずく酢は欲しい。
ただそうなるとサブのおかずが増えて、小鉢と小皿ばっかりになりそうだな(自分の食卓はたいていそうなのですが)、と。
パズルを組み換える感じで少し考え、メインのおかずとして、しらすで何か作り、おろしに使うはずの大根は味噌汁に回そう、と方針変更。
もともと大根の味噌汁がいちばん好きだったりします。

しらすは玉子焼きにでもするかなー、と思って寝ましたが、寝て起きたとき、ああ、しらす丼いいな、と閃きます。玉子焼きより手間がいりませんし、その割にご馳走感もあります。

【ある日の朝食】
・ごはん、しらす、小葱、胡麻、鰹粉
・鶏皮(茹でて一口大にカット)、きのこミックス、大根
・もずく酢パック、生姜

☆大根は細切りに。鍋に入れ、お椀一杯強の水をはり、水から煮ます。煮えても強火を維持するのが、大根の芯を残さずに柔らかく仕上げるコツ。
鶏皮やきのこは火を通してあるので、大根が煮えてから、ほんだしと共に投入。
全体が温まったらいったん置いておき、他のメニューを用意。味噌は食べる前に入れます。

☆常備菜のししとう、昨日漬けておいたきゅうりを皿に盛ったり、毎日いただくオニオンスライスの用意をしたり(毎日のことなので、オニスラは意識せずとも、いつの間にか専用の小鉢が食卓にある、くらいの境地に達していますw)。
もずく酢にはおろし生姜。いただきものの、職人さんが目を立てたおろし金を愛用しています。パパッと準備したい朝食どきでも、「生姜をおろす程度の心の余裕」は持っておきたい、と思っています。
準備を終えたらしらす丼へ。

☆平鉢にご飯(半合強)を盛り、胡麻、鰹粉、小葱を散らします。そこにしらす。丼ものは、黄身を落としたくなります。珍しく黄身が崩れず成功。
白身は、味噌汁用の椀へ。

☆味噌汁を仕上げます。味噌を溶いて、軽く沸いたら、白身が待機するお椀へ注ぎます。
生の白身の食感が気になるなら鍋の方へ入れて温めれば良いですが、自分はこれくらいの火の通りで問題なし。

というわけで、文字にすると大袈裟に見えますが、冒頭の写真の朝食、大根が煮える時間を含めても、15分程度。ちゃんと測ってはいませんが、食べ始めるまで30分はかかっていません。
ちなみに食べ終えるまでは10分もかかりませんでした(笑)

和食ならこれを入れときゃだいたい間違いないでしょ、という、鰹、葱、胡麻の力添えも強力で、当然ながら申し分のない旨さで掻き込める、しらす丼。
味噌汁は大根の安心感に、鶏皮で肉系の旨味と程よい脂が乗り、きのこが深みを演出。
常備菜のししとう揚げ浸しは、和風出汁に生姜を少し効かせています。
もずく酢にも生姜。こちらはおろしたての清涼感。黒酢の酸味が良いアクセント。
きゅうりは醤油ひと垂らしでちょうど良い味に。昔から「お漬物にはひと塩」と言いますね。

しらす丼がメインとして決まったので、副菜と汁の味的な調和と量的なバランスがピタリとハマった、ニッポンの朝食となりました。

冷蔵庫の在庫整理と、朝の手軽さを求めた献立でしたが、なかなか見た目も中身も充実した食事に。
ああ、なんか自炊が「板についてきた」ってことなのかもな、と思えた平日の朝食でした。


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