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今季二度目のイカ塩辛〜料理は解剖学

立派なスルメイカがあったので、今季二度目の塩辛を仕込むことにしました。

スルメイカの捌き方は、前回の記事で説明しています。故郷の思い出話も。

この記事も、ふた月前ですか。いかに型のいいスルメイカに出会えていないかが分かりますね。

ワタが大きいかどうかは抜いてみてのお楽しみ

前回よりだいぶ型の大きいスルメイカ。
ワタを引っこ抜いてみると、良かった、けっこう大きなワタが入っていてくれました。

墨袋を処理するのが最初のミッション
ワタに塩をしてしばらく置きます

墨袋を破いてしまうと、意図せず黒造りになってしまうくらい、周囲に大きな被害が出るので、とにかく破かないように取り除きます。

イカに限らず、魚介類を捌くのに必要なことの半分は「解剖学」です。身体のつくり、骨の入り方、トゲの有無、内臓含め部位の種類と可食部位かどうか。
技術や道具よりも、その魚がどうなっているのかを知ることのほうがよっぽど大事だと思います。

いかの脚10本の生え方

写真は、ワタと連結していた軟骨部分を除いた脚。
10本のうち2本は他より長く、触手のような働きをします。最内に他より短い2本、その外側の一対が長い脚、あとの6本がだいたい同じ長さの脚、と左右対称になっています。
最内の2本の間から包丁を入れて開き、目や烏鳶(からすとんび)、クチバシですね、を外してから、脚を切り分けます。

衣を脱ぐように皮を剝ぎます

開いてからでもいいですが、今回は先に皮を剝ぎました。
耳を外したところを取っ掛かりにして、先の方を剝がせれば、あとはシャツを脱がすように。キレイに剝けると気持ちいいですね。内側は内臓を掃除してからペーパーで擦るようにして、気になる皮を除けばOK。

ゲソや軟骨、身と耳、ワタ

今回は身と耳でかなり量があるので、ゲソは塩辛にせずに、別でいただくことにします。
ワタは塩をして出てきた余分な水分を拭って、袋からしごき出すように、ワタの中身を刻んだ身と耳の上に搾り出します。

おまじない的に鷹の爪

風味付けと、しばらく置いておくものなので殺菌効果にも期待して鷹の爪。あとは塩と酒を適宜加え、よく混ぜ合わせます。
柚子の皮を擦り下ろして加え、少し風味を足しました。

美味しくなあれ

このまま、一日一回はかき混ぜつつ、冷蔵庫で漬けておきます。だんだん味がこなれて塩辛っぽくなってきますが、当日から食べても問題はありません。
実家でも、美味しくなった頃にはもうない、とよく言ってました。

約一日経っての味見

写真は、夜に平目の昆布締めを、と思っていたのが気が変わって外に飲みに出たので、翌日にいただくことになった平目の刺身定食。イカゲソマヨネーズも右上にありますね。

このとき味見したのが、ちょうど漬けて丸一日経ったくらい。
まだイカと漬け地の味が混ざりきっていない感じの「若い」味。
少し塩を足したほうがいいかな、と思いつつ、慌てることもない、とそのまま様子を見ました。

家飲みでもちょこちょこつまみがあると楽しい

二日目になると、だいぶ全体にまとまりが出た印象。塩は足さなくて正解だったかも。
自家製柚子胡椒をちょっと添えたら相性が良かったので、これからもやります。

型が大きく身が肉厚だったので、たっぷり作ることが出来ました。
一週間以上楽しめそうです。
冷蔵庫での保存なので大丈夫とは思いますが、日々の状態はチェックしておこうと思います。

イカを捌いて、塩辛にする際のポイントをいくつか。

☆イカを捌くときは、必要以上に水に浸けない→身が水を吸ってしまわぬよう、余分な水分はマメに拭います。キッチンペーパーを惜しみなく投入。

☆塩は控え目に→後から塩気が足りない、と思ったら足せまが、しょっぱ過ぎた、というとき、後から塩を抜くことはできません。
昔は塩辛含め漬物全般が、保存のために塩分を濃くする必要がありましたが、いまは冷蔵により、必要以上に塩分を加えなくても保存できます。塩分は控え目にしておくのがベター。

イカの塩辛は、自炊していないときでも、たまに自分で漬けていました。
市販の塩辛、別に嫌いではありません。ただ、昔から家で漬けていて、いまは自分で漬けるこの塩辛が「塩辛」だと思っているので、市販品は違う料理にしか思えないんですよね。

皆さんも、いまはスルメイカがあまり揚がらないらしく、見かけないor高いかもしれませんが、チャンスと興味がありましたら、ぜひ自身で塩辛漬けてみてください。
これまで塩辛だと思っていたものと、「全く違います」。

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