【血液型占い】
僕のリハビリ担当は、PTの黒川さんとOTの細野さん、彼らのお陰で当初60度しか曲がらなかった足が70度まで曲がるようになっていた。
メインはこの2人で黒川さんが休みだと代わりの人が入る時もあった。黒川さんは、2年目で同期が5人いた。黒川さんが休むとその同期の誰かが入ってくれた。
若者達の話を聞きながらのリハビリは、楽しかった。
細野さんは、僕よりちょっと下の方で昭和時代の話や、家族の話、なんでこの仕事に就いたのかとか色々な話をした。とてもユーモアのある人だった。
細野さんがリハビリを始める際に必ずすることがある。
ある意味、僕からすると儀式と言った方が合ってる気がした。
まず部屋に入って来て、自分が動きやすくするためにベッドを若干移動する。
そして、僕が使っているタオルケットやバスタオル類を四隅を几帳面に合わせてたたみ、サイドテーブルに綺麗に積んで行く。体交枕なども綺麗に積んでいった。
それが終わるとシーツの四隅を引っ張り、シーツのシワを取る。
この儀式に4,5分かける。
他の人だと、適当にたたんで無造作に置く。
これは、良い方で酷い人はたたみもせず、サイドテーブルに山のように積んでいき崩れないか心配になる。
ある時、細野さんに聞いた。
「細野さんの血液型って『絶対A型』でしょう!」
細野さんは、答えた。
「僕は、『B型』です。」
「マジですか?え~絶対ウソだ~」
血液型占い・・・敗北の瞬間だった。
ちなみに、酷い人は『A型』だった。
結論、血液型占いは、当てにならない。
つづく