昨日と同様

 昨日と同様の症状で苦しんでいる。鎮痛剤をやめてはいけなかったらしい。朝の散歩は犬がちーとうんを完了させるだけのために行った。雨だったから、それだけ済ませて帰った。
 体調に違和感はあったが、一通りの用事は済ませた。やはりきついから布団に入ったものの、昨日と同様、左下腹部痛から太腿の痺れるような痛みを併発。どんな体勢をとっても痛みは和らがず、のたうちながらネットを検索する。
 雨で畑へ行けないからと、母は近くのモールにある本屋へ行った。帰りに、薬剤師の居るドラッグストアで意見を聞いたうえで、過敏性腸障害に有効な薬か、なければロキソニンを買って来て欲しい…と言いたくて電話をしたが出ず、LINEを送ったが既読にならなかった。
 日曜なので各所にあるドラッグストアに問い合わせた。ココカラファインは常駐無し。ウェルシアは平日の決まった時間のみ常駐。スギ薬局は土日祝日も夕方5時までは常駐していて、薬の相談は聞いてくれたが、過敏性腸障害に有効な薬の判断は難しいとのことだった。後で家族に、ロキソニンを買いに行ってもらうから…と伝えて電話を切る。そして折り返しがないままに、母は帰って来た。
 痛くてのたうち回る。身を起こせば痛みのあまり、吐き気がして手指が震えた。顔が蒼白になっている気がする。多分、血圧も下がっている。昨日と全く同じだった。未だ少し残っている、軽めの鎮痛剤を飲んで再び布団に入った。
 二年前に受診した、消化器内科のホームページを見ようとしたら、【チャット】の問い合わせ窓口があるのに気付き、休診日であるのを承知で相談を書き込んだ。救急車を呼ぶことも考え始めていたが、目安がわからなかった。
 一時間弱して、返信があった。その間、悶え間苦しみながらも検索を続け、ひとつの病名に辿り着いていた。
【腸管子宮内膜症】
 これではないかと思った。
 過去、何度も同じような症状に陥っている。
 初めて受診した婦人科では、「生理で腸痙攣起こす人もいるから…」と言われ、この痛みは腸痙攣なのだと思っていた。薬も処方されず、それからその病院には二度と行っていない。
 二度目は泌尿器科に行った。エコーで見たら、「S字結腸が腫れている」と言われた。下腹部以外に、下半身の穴という穴が悶絶するほど痛く、膀胱炎のような症状も出ていたから、市販の膀胱炎の薬も飲んでいた。何の効果もなく、やはり痛みに耐え兼ね、身体を折り曲げるようにして受診したのだった。ここでも薬は出ず、真冬でしかも、当時の職場が山の上の方にあり、唯一の暖房器具であるガスストーブも、カウンターに阻まれて顔以外温まらないという過酷な労働環境だったから、冷えが原因でそうなったのだと思っていた。
 三度目が、二年前に受診した消化器内科だった。
 季節は七月。忘れもしない。身動きできないほどのストレス過多で、一週間ほど不調が続いていたが、良くなるどころか悪化の一途を辿り、終業後何とか帰り着いた途端、ソファに倒れ込んだ。横たわりながら病院を検索し、一駅程度先にある新しい病院を見つけたのだが、自力で行けないので母に車で連れて行ってもらった。レントゲンの結果、恐らく過敏性腸障害だろうと診断を受け、ビオフェルミンと下痢止め、漢方薬の長い投薬生活が始まった。
 マシになったのかわからない。原因は恐らく、ストレスだろうと言われたのに心当たりがあったから、そうなのだと思っていた。レントゲンを見ながらの説明では、酷いガスだまりと酷い便秘を指摘された。実際、ガスは滞っていたが、個人的には便秘だと思っていなかった。元々は酷い便秘だったが、その頃に比べるとそうではなくなっていたし、また、受診の時点で便秘には苦しんでいなかったからだ。
 不調の原因がわかって、ホッとした気になっていたが、以後も毎月、大なり小なり不調はやって来て、鎮痛剤は欠かせなかった。
 2年前、病院に飛び込んだ時と同じくらいの苦しみだった。今回はきつかった。絶対乗りたくないのに、救急車を呼ぶことも考えたくらいだから、自身の中では相当である。出産経験が無いから、陣痛とどっちが痛いのかと考えてもわからない。経験者によると、陣痛の痛みが人生で一番の痛みだと聞くから、私の腹痛なんて大したことないのかも知れない。救急車を呼ぶ目安もわからないし、自分がどの程度の我慢強さを備えているのかもわからないから、呼ぶに呼べないのだった。
 今まで苦痛に耐えかね、何度も検索をかけてきたのに、【腸管子宮内膜症】という病名に辿り着いたのは初めてだった。説明を読めば読むほど、自身の症状に合致した。その辺りで届いたチャットの返信に、病名までは記されていなかったものの、やはりそうではないのだろうかと思える記述が記されていた。救急車…呼んでも良かったようだ。
 鎮痛剤でいくらか痛みは治まっていたため、この一日薬に頼って様子を見、翌日、受診することにした。休診日なのに返信をくださった医師には、感謝しかない。
 CTかMRIか、大腸カメラか…。検査の必要性も示唆されている。無職無収入だが、そんなことは言っていられない。自分のために、ちゃんとお金を使わなければならない時もある。最近、それをかなり怠っていた気がする。
 痛みに苦しむ日々が長引くことが増えていた。毎月、毎月…。その度に、『仕事決まって働き始めたらどうなるのだろう…』と思っていた。家に居てもこんなに辛いのに、仕事先でこの苦痛に耐えきれるのだろうかと…。
 ちゃんと検査を受けて、原因を究明して、効果のある治療を受ける。仕事が決まらないことに悩むのは、それからにしようと思った。不安なまま働き始めても、やっぱり不安には違いないだろうから…。
 休日が明けたら、病院へ行く。

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