五分前ルール、いつから?
もう何年も利用している施設で、とても気分の悪いことがあった。
利用終了時間を前に、片付けをしていると、男性の年配職員が飛び込んでくるなり言い放った。
「五分前なんで、早く出てください。次の方、待ってるんで!」
着替えは済んでおり、荷物をカバンに詰め終わる寸前だったため、10秒あれば出られたが、その強い語気に、一気に頭に血が上った。
「ここ…九時(私の利用終了時刻)までですよね?五分前なんて聞いてませんけど?」
反論に対し、同じ語調で男は言った。
「五分前ってなってるはずです。とにかく次の方、待ってるんで、早く出てください!」
ムカッと来た。
「そんなん聞いてませんけど?いつからそうなってるんですか?」
敢えて訊ねる。素直に出て行こうとしない女一名に、相手もムカついたのだろうが、引く道を選んだようで、しかし反って私の怒りを助長する。
「ハイハイ、すいません。とにかくそうなってるんで、早く出てください」
言い放って男は姿を消した。
ぷりぷりしながら荷物を抱え、電気を消して扉を開けると、中の確認をするために来たはずの男の姿は何処にもなかった。本来なら終了時刻前に内線で事務所に電話をかけ、職員が来て鍵を受け渡す。その後、中を確認し、コロナ対策のために始まった消毒等を行うはずだ。受け渡すはずの鍵を閉めるのか開けたままにするのか、しかし外には次に使う団体のメンバーが待っている。コロナになる前には毎週入れ違っていた前期高齢者風だがムキムキの、エアロビクスでもやっているのかな?と思わせる男性が、愛想良く挨拶してきた。怒り顔を愛想笑いに変えて挨拶を返し、鍵は、過去何度かそうするように直接言われた時だけしたように、靴箱の上に置いて部屋を出た。
五分前ルール…いつから?
ってゆうか、着替えている最中に部屋に飛び込んできていたら、これ、セクハラだよね?
次の団体が入ってる…なんて、私は知らんけど?先に言っといてくれへんかな?
ってゆうか、五分前どころか、時間過ぎても前の団体出てけぇへんうえ、確認の職員もけぇへんと待たされたこと、過去に何回もあったけど?その都度怒った方が良かったんか?
ぐるぐる思考が駆け巡る。駐車場で車に乗り込んで、エンジンをかけた途端、我に返る。落ち着け…危ない、危ない。自宅までは五分の距離だが、頭に血が上った状態での運転は危険だ。
施設を利用するようになって四、五年が経つが、今回の職員は初めて見る顔だった。そもそも利用を始めた当初から、職員の顔触れは様変わりしている。利用開始時に受けた説明とは、違う行動をする職員が増えたのは、管理業者が変わったせいかも知れないが、継続して使っている人間に対する変更による説明義務が、どの程度徹底されているのか怪しい。
それにしても要確認事項が目白押しだ。
五分前ルールが既に周知されていて、私の中で右から左だったのならこちらのミス。しかしその他に気になることは、聞いておかなければならない。ムカッと来たら6秒待つと良いらしいが、三日経った今も私はムカついている。次回、冷静を装いつつ、私はクレーマーになる予定だ。
そもそも内線があるのだから、こちらからの連絡が遅いならそっちから鳴らせばどうなのだろう?
「そろそろ終了時間なので、お部屋の確認に伺います」とか「鍵、受け取りに伺います」とか、何故一報入れることが出来ないのか?
次回、不躾な職員に対する苦情とともに、ひとつ提案してみようと思う。