眼鏡がない!

 パソコン作業をしようとして、手帳などを入れている仕事用のポーチを開けた。中にはブルーライト加工を施した眼鏡が入っている。仕事でパソコンを常用するようになってから、知らず知らずに眼精疲労が蓄積されていたのか、トイレで鏡を見る度、白目の充血が気になって仕方が無かった。少しでもマシになればと、奮発して作ったものだ。ブルーライトのシャットアウト率が最も高いものを作っただけに、値段もそこそこしたが、それなりに効果はあるように思え、仕事には行っていないが、自宅で〝仕事〟しているつもりでパソコンを触るときは常用している。
 眼鏡ケースを開けると、中が空だった。何故に⁈
 暫し固まるが、ふと思い出して、今来た道を戻った。そういや前にもやったことがあったっけ…。
 自室のビューローの、引き出しを開ける。入っているのは生活用の眼鏡だ。持っている中で一番古く、そして一番軽いそれは、暗くなってくると取り出される。
 近視で乱視だが、日中、普通に生活する分に、眼鏡は必要ない。真剣にテレビを見たりするときになら、日中でもかけるにはかけるが、大方使われるのは車を運転するときぐらいだ。
 外出時には外出用のコレクションからチョイスする。これらはお洒落だが、少々重くて肩が凝るので、最近は外へ出ても、映画を観るとか舞台を観るとか、買い物先で品定めするとき以外は、外してカバンに入れてしまう。
コンタクトレンズが苦手で、一応使い捨てを持ってはいるが、もう何年も使っていない。使用期限が切れているのも、はっきり自覚している。
 陽が落ちて暗くなると、どうしても眼鏡は必要になる。そうしたら登場するのがビューローの眼鏡だ。
 私が探しに来たのはそれではなく、ブルーライト加工された方だが、探していたその子は、ビューローの引き出しの、生活用眼鏡が入っている眼鏡ケースの中にあった。因みに、生活用眼鏡も、その中に入っていた。
 昨日、パソコン作業を片付けて、生活用眼鏡を取りに行った。その時に、かけていたブルーライトを外して生活用とチェンジし、そのまま入れたのだろう。日常的な動作ではないので、夜、生活用眼鏡を片付ける時に、何も気にせずビューローの引き出しの、眼鏡ケースに入れた。このケース、元々小さめで、蓋がきっちり閉まらない。日常的に使っているものに関しては、何処に何があるという把握はしているため、わざわざ部屋の電気を点けて明るくしなくても、眼鏡くらいは片付けられるのだ。
 暗闇の中で片付けた眼鏡。ケースの中に、既に別の眼鏡が入っていることまで目に入らなかった。しかし先客がいても自宅には入れたから、眼鏡は折り重なるようにふたつ、狭いケースの中に納まってしまったのだ。
 以前もやったから思い出した。やっていなければ、あちこち探し回って、大騒ぎしたかも知れない。

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