4月22日

 現状で、応募した3件目の面接に行った。
 道中、怖くなって、面接に行かずに帰ろうかと本気で思った。面接が怖かったのではない。想像以上に山の中で、ここを毎日バイクで通うのかと思ったら、とてもじゃないが無理だと実感したからだ。
 雨上がりで薄暗く、車一台通らない。この日は道に不安を感じたので、母の車を借りてナビ通りに進んだ。無ければ遭難していたかも知れない。
 マイカーを持っていないので、万が一採用されてもバイク通勤だ。母が私用で使わなければ、悪天候時には交渉して車を借りようかと企んでいたが、ガソリン代を払ったからと言って、自分の車が普段から自由に使えないのが嬉しいわけはないのだろう。かといって通勤のために新たに車を購入するほど、我が家は豊かではない。一家に二台あれば色々と便利ではあるが、一家に二台、日常的に必要になるほど、車は必要ないのもまた事実である。私はお金を稼ぐために働こうとしているのに、その通勤のために大枚をはたいては何にもならない。しかし、バイク通勤はとてもじゃないが無理だと思った。
 どれも短いが、トンネルを三つ潜る。片道18キロの半分は国道で、残りが山道だ。怖いのは、車がビュンビュン走る国道ではなく、車が全く通らない山道なのだ。早々と暗くなる冬でなくても、バイクでなく車であっても、恐怖で笑いがこみ上げるという、奇異な状態に陥った。
 面接は十分ほどで済んだ。
 女社長はバリバリのやり手に見え、しかしはっきりものを言う一方で、決してきつい印象は与えなかった。帰りには外までついて出て、頭を下げて見送るほど手厚い。相手が客商売とはいえ、こんな経験は初めてだった。
 3件受けて、どれも同じだったのは、求人票と勤務条件が異なる点がそれなりにあるということだ。
 1件目は、記載されていない仕事内容が目白押しだった。挙句に、甘いことを書いておきながら、条件は大きく下げられ期待からも外れた。
 2件目は大方内容通りだったが、勤務環境に大分難を感じた。約1週間で面接結果をメールするとあったし、直接そう言われたのに、十日経った今も連絡なしである。
 今回の3件目は、推定残業時間が3時間と書かれてあったものの、話を聞けば10時間であった。ロシアとウクライナの戦争が絡んで、業務が拡大し、忙しいらしい。
 1件目以外は、割と難しい要求もされた。厳しいことを言って、こちらの覚悟を試しているのか、それとも、「あんたにそれだけのことが出来るのか?」と威嚇されているのか、どちらなのかは判断出来なかった。
 面接…どれも緊張しなかったのは、どれもピンと来なかったからかも知れない。私の働く場所になるかも知れない…というドキドキが、全くなかった。
 生きて行くために仕事は必要なのに、外で働いている想像がまるで出来ない。我ながら大分ヤバさを感じる。
 因みに、求職サイトから応募した残り2件からは、うんともすんとも言って来ない。一体どういうことなのか、せめて【書類選考に落ちました】的なケリぐらいつけてくれたら良いのに、完全無視って、一体どうなっているのだろう。
 面接が上手くいかなかった後の癖で、いつも以上にパソコンに噛り付き、不毛な職探しをしてしまう。いつも通り、収穫なんてものはなく、唯々自己嫌悪に陥るだけなのに…。
 しんどいまま、今週も終わる。

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