4月28日

 不採用通知が届いた。
 約束通りのきっかり一週間。そして、とても丁寧な文面だった。
 少数精鋭で頑張っている会社。女社長の両手両指のきらきらは気になったものの、車が去るまで頭を下げて見送る徹底ぶりには、頭が下がった。
 採用されたら働いただろうか?
 行きはよいよい帰りは怖い…どころか、行きから怖い車通りの殆どない山道を、これから日の長い夏に向かうとはいえ、通える気はしなかった。三件受けて、何処で一番働きたいかと問われたら、きっと此処を選んだだろうが、働ける気がしなかったのは山道だけでなく、聞いたところで興味を持てない業界用語や、縁を感じない第六感のせいもある。
 落とされて…嬉しいはずはない。自分が身を置ける場所が、また、見当たらなくなったということだから。しかし、落とされて良かったのだ。受かっていたら、私はまたひとつ、折角採用してくれた恩を、仇で返すことになっただろうから。
 一勝二敗。しかし一勝の賞杯を、これから返還する。

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